給与・賞与全規模
賞与支払届の書き方と提出期限:支給日から5日以内に届け出る
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先日、うちの会社で夏の賞与を支払う準備をしていたとき、総務の先輩から「賞与支払届、出し忘れたら大変だよ」と念を押された。月次の給与計算とは別に、賞与のたびに専用の届出が必要だとは知っていたけど、細かいルールはあいまいなままにしていた。木村先生にひとつひとつ確認することにした。
賞与支払届とは何か

山田
木村先生、賞与を支払うたびに「被保険者賞与支払届」を出さないといけないって聞いたんですが、そもそもなんで必要なんですか?
木村先生
月次の給与は標準報酬月額をもとに保険料を計算するんですが、賞与は月給とは別に保険料が発生するんです。その保険料を正しく算出するための届出ですね。それだけじゃなく、将来の年金額にも影響するので、適切に提出することが従業員さんの保障にも直結します!
山田
年金額にも関係するんですか、それは知らなかった!
木村先生
厚生年金保険料は毎月の給与と賞与の両方に基づいて計算されるので、賞与支払届を出さないと、従業員が将来受け取る年金額が正確に反映されないんです。会社の義務というよりも、従業員さんへの責任として捉えてほしいですね。
山田
なるほど、届出は会社の義務だけじゃなくて、従業員を守るためでもあるんですね。じゃあ、どんな「賞与」が届出の対象になるんですか?
木村先生
公式の定義だと、「賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、年3回以下の支給のもの」が対象です。名称は関係なくて、年3回以下なら全部「賞与」扱いになります!
山田
えっ、「○○手当」でも賞与になるんですか!?
木村先生
そうなんです。たとえば給与規程に「7月と12月に業績手当を支給する」と書いてあれば、名前が「手当」でも年2回の賞与扱いです。逆に年4回以上支給されるものは「報酬」として月次の標準報酬月額に含める必要があります。名称で判断しないことがポイントですね。
山田
結婚祝金とかはどうですか?
木村先生
結婚祝金などは「労働の対償」ではないので対象外ですね。あとは退職金も対象外です。「働いた対価として受け取るもの」かどうかで判断するとわかりやすいですよ。
提出期限と提出先
山田
提出期限って厳しいって聞いてるんですけど、実際どのくらいなんですか?
木村先生
賞与支払日から5日以内です!これが絶対的なルールで、月次の給与と違って余裕がほぼない。
山田
5日以内!(笑) 月末に払ったら翌月5日がデッドラインじゃないですか!
木村先生
ほんとにそうなんです。賞与計算が終わって振込したら、同時進行で書類を準備するくらいの心構えが必要ですね。健康保険組合に加入している場合はさらに注意が必要で、年金事務所と健康保険組合の両方に提出しないといけないので、書類が2セット必要になります。
山田
提出先はどこですか?
木村先生
日本年金機構の管轄の年金事務所か、事務センターです。方法はいくつか選べて、電子申請・電子媒体(CDまたはDVD)・郵送・窓口持参の4つから選べます。今は電子申請が一番スムーズですね。e-Gov(イーガブ)や日本年金機構の事業所向けオンラインサービスから送れます!
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出期限 | 賞与支払日から5日以内 |
| 提出先 | 管轄の年金事務所または日本年金機構事務センター |
| 提出方法 | 電子申請・電子媒体(CD/DVD)・郵送・窓口持参 |
| 対象者 | 賞与支給日に社会保険の被保険者である従業員および70歳以上被用者 |
| 添付書類 | 原則なし(標準賞与額の累計が573万円超の場合は累計申出書が必要) |
山田
なるほど、じゃあ次のセクションでは実際の保険料の計算方法を教えてもらえますか?
標準賞与額と保険料の計算

山田
賞与の保険料ってどうやって計算するんですか?月給と同じ計算式ですか?
木村先生
月給の場合は「標準報酬月額」という区分表を使いますが、賞与は実際に支払った賞与額(税引き前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額がそのまま「標準賞与額」になります。区分表は使いません!
山田
ほんとに?シンプルですね。
木村先生
たとえば、夏の賞与が50万3,500円だったとすると、1,000円未満の「500円」を切り捨てて50万3,000円が標準賞与額です。そこに保険料率をかけた額が保険料になります。
山田
保険料率はいくらですか?
木村先生
健康保険の保険料率は都道府県によって異なって、協会けんぽの場合はだいたい10%前後です。厚生年金保険の保険料率は全国一律で18.3%です。で、保険料は事業主と被保険者(従業員)が折半なので、会社が半分・従業員が半分を負担します!
山田
折半ですね。ということは、従業員の手取りから半分引かれるんですか?
木村先生
そうです。事業主は賞与の支払い時に、従業員負担分を賞与から控除して翌月の保険料と一緒に納付します。賞与にかかる保険料は賞与支払月の翌月の納入告知書でまとめて通知されますね。
山田
上限とかってありますか?高額賞与だと保険料も高くなりそうで。
木村先生
上限があります!健康保険は年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計額573万円、厚生年金保険は1カ月あたり150万円が上限です。この上限を超えた分は標準賞与額が0円になるので保険料がかかりません。
山田
573万円って年度単位なんですね。
木村先生
そうです。たとえば夏に500万円の賞与を払って、冬に100万円を払うとします。夏の時点で500万円を届け出て、冬に100万円を追加すると年度累計600万円になりますよね。でも上限は573万円なので、冬の賞与の標準賞与額は73万円(573万円−500万円)として届け出ることになります!
保険料計算の基本ルール
- 標準賞与額: 実際の賞与額(税引き前)から1,000円未満を切り捨てた額
- 保険料率: 健康保険は都道府県別(協会けんぽは概ね10%前後)、厚生年金保険は全国一律18.3%
- 折半負担: 会社と従業員が各50%ずつ負担
- 上限: 健康保険は年度累計573万円、厚生年金保険は月150万円
- 納付タイミング: 賞与支払月の翌月に毎月の保険料と合算して納付
届出書の書き方
山田
実際に届出書に何を書けばいいんですか?
木村先生
日本年金機構から事前に被保険者の氏名や生年月日が印字された届出用紙が送られてきます。賞与支払予定月の前月に届くので、それに賞与額を追記する形ですね!
山田
事前に送ってくれるんですか!?それは便利。
木村先生
ただし、印字されているのは賞与支払予定月の前々月の19日までの情報なので、その後に入社した従業員は印字されていない場合があります。その場合は手書きで追記します。あと、印字されている従業員に賞与を払わなかった場合は、その欄に斜線を引いて提出してください。
山田
斜線!ちゃんと消しておかないとダメなんですね。記入する主な項目はなんですか?
木村先生
主な記入項目は次の通りです。
| 記入項目 | 内容 |
|---|---|
| 被保険者整理番号 | 健康保険証や年金機構から送付される番号 |
| 被保険者氏名(フリガナ) | 変更がある場合は修正 |
| 生年月日 | 元号(昭和・平成・令和)で記入 |
| 賞与支払年月日 | 実際に支払った日付(必ず正確に) |
| 賞与額(通貨・現物別) | 税引き前の総支給額(現物給与がある場合は別記) |
山田
賞与額は税引き前なんですね。手取り額で書いちゃう人いそう!
木村先生
それよくあるミスです!(笑) 税引き前の総支給額、つまり社会保険料控除前・所得税控除前の金額を記入してください。あと、同月内に2回以上賞与を払う場合は合算して記入します。
⚠️ 記入ミスに注意!
- 賞与額は必ず税引き前の総支給額で記入する(手取り額は不可)
- 賞与支払日は実際の支払日を記入(振込日が基準)
- 印字されている従業員で不支給の場合は斜線を忘れずに引く
- 同月内に複数回払う場合は合算額で届け出る
- 記入ミスを修正液(修正テープ)で消すのは原則NG。二重線で消して横に正しい数字を書き、事業所の印鑑を押す
手続きの流れ(ステップバイステップ)
山田
実際の手続きの流れを教えてもらえますか?賞与を支払ってから、どうやって進めればいいんですか?
木村先生
流れはシンプルですが、5日という期限があるので段取りが大事ですね!
手順
-
賞与支払額の確定 賞与の支給総額(税引き前)を確定させる。賃金台帳などで各従業員の支給額を整理する。
-
届出用紙の準備 年金機構から送られてきた印字済み届出用紙を確認。入社したての従業員や印字漏れの方がいれば手書きで追記する。電子申請の場合はe-Govまたは事業所向けオンラインサービスにログインして入力画面を開く。
-
標準賞与額の計算と記入 各従業員の賞与額(税引き前)から1,000円未満を切り捨てて標準賞与額を計算。届出用紙の賞与額欄に記入する。
-
賞与支払日から5日以内に提出 管轄の年金事務所または事務センターへ郵送・窓口持参・電子申請のいずれかで提出する。健康保険組合に加入している場合は組合にも別途提出する。
-
保険料の徴収と納付 従業員の賞与から本人負担分の保険料を控除する。賞与支払月の翌月に毎月の保険料と合算して納付告知書の金額を口座振替または納付書で納める。
-
標準賞与額決定通知書の確認・通知 届出後、年金機構から標準賞与額決定通知書が届く。決定された標準賞与額を必ず従業員本人へ通知する。
山田
提出してからも通知書が来るんですね。それを従業員に知らせる義務もあるんですか?
木村先生
あります!届出に基づいて年金機構から「標準賞与額決定通知書」が送られてくるので、必ず従業員本人へ通知してください。不支給の場合は通知書が来ないので、その点も覚えておいてください。
よくあるケースと注意点
山田
退職した従業員に賞与を払った場合はどうなりますか?
木村先生
これは少し複雑なんです。資格喪失月(退職月)に払った賞与は、保険料の対象外です。ただし、届出自体は必要なので賞与支払届は提出してください。一方、厚生年金保険ではなく健康保険の場合は、資格喪失日の前日までに支払われた賞与は標準賞与額に含めます!
山田
ちょっと待って、保険料はかからないけど届出は必要なんですか?
木村先生
そうなんです。年度の累計額(573万円の上限計算)に含める必要があるからです。届出しないと後でまずいことになる可能性があるので、退職月でも忘れずに提出を!
山田
育休中に賞与を払った場合は?
木村先生
育児休業等による保険料免除期間中に払った賞与は保険料の対象外ですが、これも標準賞与額の年度累計には含まれます。届出は必ず必要です!
山田
賞与を払う予定だったのにキャンセルした場合はどうするんですか?
木村先生
賞与支払予定月として年金機構に登録している場合は、「賞与不支給報告書」を提出してください。提出しないと、翌々月に催告状が届いちゃいます。
| ケース | 保険料 | 届出 |
|---|---|---|
| 資格取得月に賞与支払い | 対象(保険料あり) | 必要 |
| 資格喪失月(退職月)に賞与支払い | 対象外(保険料なし) | 必要(累計額に含む) |
| 育児休業中に賞与支払い | 対象外(保険料なし) | 必要(累計額に含む) |
| 賞与不支給 | 対象外 | 不支給報告書を提出 |
| 同月内に2回賞与支払い | 合算額で対象 | 合算額でまとめて1回届出 |
山田
総括表は最近廃止になったって聞いたんですが?
木村先生
令和3年3月に「被保険者賞与支払届総括表」は廃止されました。ただし、電子媒体(CD・DVD)で申請する場合は「電子媒体届書総括票」は引き続き必要です。電子申請や郵送・窓口の場合は総括表は不要です!
提出忘れ・遅延のリスク
山田
もし提出を忘れたりしたらどうなりますか?
木村先生
まず催告状が届きます。それでも無視すると、最悪の場合は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金の対象になる可能性があります(健康保険法第208条)!
山田
罰金!(笑) それは怖いですね。
木村先生
現実的には遅れても受け付けてもらえることが多いですが、遅延は厳禁です。従業員の年金記録に空白が生まれて、将来の年金額に影響が出る可能性もあります。気づいたらすぐに提出するのが鉄則ですね。
山田
提出後に金額の間違いに気づいた場合は?
木村先生
その場合は「賞与支払届の訂正届」を提出します。内容によって処理方法が変わるので、管轄の年金事務所に確認しながら進めてください。修正自体は後からでもできますが、なるべく最初から正確に記入するのが一番です。
チェックリスト: 賞与支払前に確認すること
- 支払予定月の登録: 年金機構に賞与支払予定月が正しく登録されているか確認
- 印字済み届出用紙の受領: 前月に届出用紙が届いているか確認(未着の場合は年金事務所へ連絡)
- 新入社員・退職者の把握: 支給日時点での被保険者一覧を最新の状態に更新
- 健康保険組合への提出: 組合加入の場合は別途提出が必要か確認
- 電子申請の準備: e-Gov等のアカウントが有効か事前に確認
まとめ(基本情報)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届 |
| 提出期限 | 賞与支払日から5日以内 |
| 提出先 | 管轄の年金事務所または事務センター |
| 管轄省庁 | 厚生労働省 |
| 実施機関 | 日本年金機構・協会けんぽ(または健康保険組合) |
| 標準賞与額の上限 | 健康保険:年度累計573万円 / 厚生年金保険:月額150万円 |
| 保険料率 | 健康保険:都道府県別(協会けんぽは概ね10%前後)/ 厚生年金保険:18.3% |
| 公式URL | 日本年金機構 従業員に賞与を支給したときの手続き |
山田
今まで「とにかく5日以内に出す」くらいの理解しかなかったんですが、これでかなりクリアになりました!
木村先生
賞与支払届はシンプルに見えて、退職者・育休中・上限超えなど特殊ケースがたくさんあります。毎回の賞与前に「誰に払うか・誰は対象外か」を必ず確認する習慣をつけると、ミスが減りますよ!
山田
最後に、他の関連する手続きってありますか?
木村先生
標準賞与額と関連が深いのは、毎月の標準報酬月額です。月給は算定基礎届や月額変更届で届け出て、賞与はこの賞与支払届で届け出る、という2本立てで社会保険の保険料が決まります。あわせて理解しておくといいですね!