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毎年7月提出|算定基礎届の書き方と提出期限を完全解説

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山田
ぼくは総務担当の山田です。毎年6月末が近づくと、上司から「そろそろ算定基礎届の準備をしろ」と言われるんですが、正直、何をどうすればいいのか毎年迷ってしまいます。今年こそちゃんと理解して、7月10日の期限を余裕で乗り越えたい。そう思って、社会保険労務士の木村先生に教えてもらいました。

算定基礎届とは何か:毎年7月に必要な理由

山田
木村先生、「算定基礎届」って毎年7月に出さないといけないって聞いてるんですけど、そもそもなんでこんな手続きがあるんですか?
木村先生
いい質問ですね。社会保険料って、「標準報酬月額」という金額をもとに計算されているんです。要するに「この人の月収はざっくりこのくらい」という基準額なんですが、これを毎年一回、実際の給与に合わせて見直す必要があります。その見直しの届出が算定基礎届です。
山田
へえ。じゃあ、社員の給料が上がったり下がったりするたびに変えてるわけじゃないんですか?
木村先生
原則はそうなんですよ。給料が大きく変わったときは「月額変更届」というのを都度出しますが、算定基礎届は年1回、定期的に全員分をまとめて届け出る「定時決定」のための書類です。
山田
「定時決定」、初めて聞きました。いつ、誰が対象になるんですか?
木村先生
毎年7月1日現在で在籍しているすべての被保険者が対象です。ただし例外があって、6月1日以降に入社した方7月に月額変更届を出す予定の方8月か9月に随時改定が予定されている方、この3パターンに当てはまる人は対象外になります。
山田
なるほど。全員分って言っても、入ったばかりの人は除くってことですね。
木村先生
そうです。あと、今回決定した標準報酬月額は、9月から翌年8月まで1年間適用されます。これが保険料の計算にも、将来の年金受給額にも影響するので、正確に届け出ることが大切なんです。
山田
9月から適用されるんですね。ってことは、7月に届け出て、9月から変わる?
木村先生
正確には8月末に標準報酬月額の「決定通知書」が届いて、9月分の保険料(10月末納付分)から新しい額が適用されます。今から準備を始めれば、全然間に合いますよ。

提出期限と提出先:7月10日を絶対に忘れない

算定基礎届の提出フロー

山田
提出期限は7月10日って聞いてますけど、どこに何を出せばいいんですか?
木村先生
提出先と提出方法をまとめると、こんな感じです。
提出方法提出先
紙の届出用紙(郵送)事務センター(返信用封筒が同封されてきます)
電子申請(e-Gov等)日本年金機構の電子申請窓口
電子媒体(CD・DVD)事務センターへ持参または郵送
山田
令和7年(2025年)の算定基礎届の提出期間はいつですか?
木村先生
令和7年度は7月1日(火)から7月10日(木)までです。日本年金機構から事前に「算定基礎届」の用紙と返信用封筒が郵送で届くので、それを使って返送するのが一番簡単ですね。
山田
あ、向こうから送ってきてくれるんですね。知らなかった。
木村先生
そうです。ただ、新設した事業所や届出漏れがある場合もあるので、6月末になっても届かなければ早めに管轄の年金事務所に連絡してください。
⚠️ 絶対に忘れてはいけないこと
山田
7月10日を過ぎたらどうなるんですか?
木村先生
遅れると行政指導の対象になる可能性があります。また、届出がない場合は年金事務所が「従前の標準報酬月額」で決定してしまうこともあります。実際の給与と乖離が起きると、保険料の過不足が生じてしまうので、絶対に期限内に出してください。
山田
7月10日がたまたま土曜日や日曜日にあたる年はどうなるんですか?
木村先生
いい質問ですね。提出期限の7月10日が土曜・日曜にあたる場合は、翌営業日が期限になります。年によってカレンダーが変わるので、6月のうちにその年の正確な期限を日本年金機構のサイトや年金事務所で確認しておくと安心です。
山田
わかりました。では、次はどうやって金額を計算するか教えてもらえますか?

標準報酬月額の計算方法:4月・5月・6月の給与が基準

支払基礎日数と標準報酬月額の決定ルール

山田
標準報酬月額って、どの月の給料で計算するんですか?
木村先生
算定基礎届では、4月・5月・6月に支払った給与の平均額をもとに標準報酬月額を決定します。ただし、「支払基礎日数」が17日以上の月だけを対象にするというルールがあります。
山田
「支払基礎日数」って何ですか?
木村先生
その給与の支払い対象となった日数のことです。月給制なら原則は暦日数(30日とか31日)、日給制や時給制なら実際の出勤日数になります。欠勤で給料が引かれる場合は、就業規則に基づいた所定日数から欠勤日数を引いた数です。
山田
月給制なら暦日数だから、ほぼ全員17日以上になりますよね。
木村先生
そのとおり。問題はパートさんや短時間の方の場合です。次の表を見てください。
対象者基準日数
一般の被保険者(月給制等)17日以上
短時間就労者(パートタイマー等)17日以上(17日未満の月は15日以上で算定)
短時間労働者(特定適用事業所の要件を満たす者)11日以上
山田
短時間就労者と短時間労働者って何が違うんですか?
木村先生
短時間就労者は正社員より少ない時間で働くパートさん全般のこと。短時間労働者は、特定適用事業所(従業員51人以上など)で週20時間以上・月8.8万円以上・2か月超の雇用見込みといった要件を満たして被保険者になった方のことです。
山田
ああ、社会保険の適用拡大で入ってきた人たちですね。社会保険適用拡大について前に読みました。
木村先生
そうです。彼らは支払基礎日数が11日以上あれば算定対象になります。計算の流れを整理しましょう。
手順
  1. 4月・5月・6月に支払った給与を集計する(各月ごと)
  2. 各月の支払基礎日数を確認する
  3. 17日(パートは15日、短時間労働者は11日)以上の月だけを対象にする
  4. 対象月の報酬合計を対象月数で割り、報酬月額を算出する
  5. 「標準報酬月額等級表」に当てはめ、該当する等級の標準報酬月額を決定する
  6. 算定基礎届の所定欄に記入する
山田
全部17日以上ある場合は3か月の平均で、1か月でも17日未満だったら、その月を除いた平均で計算するということですか?
木村先生
正確にそのとおりです。3か月とも17日未満のときは「従前の標準報酬月額」をそのまま維持します。この場合、算定基礎届自体は提出が必要で、備考欄の記載の仕方が変わります。
山田
報酬って給料だけじゃないですよね?
木村先生
そうなんです。通勤手当・住宅手当・家族手当・残業手当・定期券(現物)なども報酬に含まれます。一方で、退職金・見舞金・年3回以下の賞与・交通費の実費精算などは報酬に含めません。
報酬に含まれるものと含まれないもの
  • 含まれるもの: 基本給・通勤手当・住宅手当・家族手当・役付手当・残業手当・通勤定期券・食事(会社負担分)など
  • 含まれないもの: 年3回以下の賞与・退職金・見舞金・解雇予告手当・出張旅費・慶弔費など
  • 要注意: 社会保険適用促進手当は、月額10.4万円以下の被保険者に限り報酬から除外可(最大2年間)
山田
通勤手当が入るのは知ってたんですが、現物支給の定期券まで入るとは思ってませんでした。
木村先生
見落としがちですよね。現物給与(定期券・食事・社宅等)は、厚生労働大臣が定める価額に換算して報酬に算入します。次は、実際の記入方法を見ていきましょうか。

算定基礎届の記入方法:よくあるミスと対処法

山田
算定基礎届の用紙って、どんな項目を書けばいいんですか?
木村先生
主な記入欄はこんな感じです。
記入欄内容
被保険者整理番号日本年金機構が発行している番号(用紙に印字済みが多い)
氏名・生年月日印字内容を確認し、誤りがあれば訂正
給与計算の基礎日数4・5・6月の支払基礎日数(各月)
報酬月額各月の給与総支給額(通勤手当等を含む)
合計・平均額上記を自動計算(手計算の場合は1円未満切り捨て)
備考欄月額変更予定・途中入社・病休等の特記事項
山田
印字済みの情報は基本的に確認するだけでいいんですね。
木村先生
そうです。ただ、氏名や生年月日が誤っていたら必ず訂正してください。そのまま出すと、後でトラブルになります。
山田
よくあるミスって何ですか?
木村先生
現場でよく見る失敗を教えますね。
算定基礎届の典型的なミス
  • 通勤手当を入れ忘れる: 現金支給でも定期券でも報酬に含める。「通勤手当は別扱い」という誤解が多い
  • 育休・病休中の方を除外しない: 「育児休業等を取得している被保険者報酬月額登録・改定申出書」で別途処理が必要
  • 支払基礎日数を出勤日数にしてしまう: 月給制は暦日数が基本(欠勤控除がある場合のみ差し引く)
  • 6月1日以降入社の方を含めてしまう: 対象外なので記入しない
  • 賞与を月給として計上してしまう: 年3回以下の賞与は報酬ではなく標準賞与額として別途届け出る
山田
育休中の人は特別な書類が必要なんですね。知らなかった。
木村先生
育休中は報酬が支払われていないケースが多いので、通常の算定方法では対応できません。年金事務所に相談するのが安全です。次は、提出後の流れについてお話しします。

算定基礎届の記入例:具体的な数値でシミュレーション

山田
言葉で説明を聞いてもピンとこないので、実際の数字を当てはめて教えてもらえますか?
木村先生
いいですね。ではAさん(月給制の社員)を例に計算してみましょう。4月は基本給25万円に残業手当2万4千円と通勤手当2万円を加えて29万4千円、5月は残業手当2万8千円がついて29万8千円、6月は残業手当3万6千円がついて30万6千円だったとします。3か月とも月給制で支払基礎日数は17日以上あるので、全部の月が算定対象になります。
山田
3か月分を足して3で割ればいいんですよね?
木村先生
そのとおりです。29万4千円+29万8千円+30万6千円=89万8千円。これを3で割ると29万9千333円(1円未満切り捨て)が報酬月額になります。
支払基礎日数基本給残業手当通勤手当報酬月額合計
4月30日250,000円24,000円20,000円294,000円
5月31日250,000円28,000円20,000円298,000円
6月30日250,000円36,000円20,000円306,000円
合計----898,000円
平均(報酬月額)----299,333円
山田
29万9千333円だと、標準報酬月額はいくらになるんですか?
木村先生
標準報酬月額等級表では「29万円以上31万円未満」が30万円の等級(健康保険22等級・厚生年金19等級)にあたるので、Aさんの標準報酬月額は30万円になります。算定基礎届にはこの計算過程(各月の金額と平均額)を記入欄にそのまま書き写す形になります。
山田
なるほど、報酬月額を先に計算してから、それを等級表に当てはめるという2段階なんですね。
木村先生
そうです。この2段階を意識しておくと記入ミスが減ります。次は、支払基礎日数が17日未満の月がある場合の記入例も見ておきましょうか。
山田
お願いします。
木村先生
例えばBさん(パートタイマー、短時間就労者)の場合、4月の支払基礎日数が16日、5月が18日、6月が20日だったとします。4月は17日未満なので算定対象から外れ、5月と6月の2か月分だけで平均を計算します。5月14万円、6月15万円なら、合計29万円を2で割って14万5千円が報酬月額です。
山田
対象月数が変わると、割る数も変わるんですね。3で割るか2で割るか、うっかり間違えそうです。
木村先生
そこが一番の注意ポイントです。対象になった月の数(分母)を、集計対象の月数と必ず一致させてください。次は、記入時によくあるミスをQ&A形式で整理しておきましょう。

算定基礎届のよくある記入ミスQ&A

山田
記入例のおかげでだいぶイメージがつかめました。あと、実務で「これって合ってますか?」とよく聞かれる質問もまとめて聞いていいですか?
木村先生
もちろんです。Q&A形式でいきましょう。
山田
6か月分の通勤定期代をまとめて3月に前払いしている会社は、算定基礎届の4月・5月・6月の報酬にどう計上すればいいんですか?
木村先生
6か月定期代は支給した月にまとめて計上するのではなく、6で割って対象期間の各月に按分します。3月に4月分から9月分の定期代を前払いしたなら、4月・5月・6月にはその6分の1ずつを報酬として加算してください。支給した月にまとめて載せてしまうミスがとても多いポイントです。
山田
提出したあとに記入誤りへ気づいたら、どうすればいいですか?
木村先生
まずは管轄の年金事務所か事務センターに電話で連絡してください。そのうえで、訂正内容を記載した書類を作成し、案内に従って再提出します。「標準報酬月額決定通知書」が届く前なら比較的スムーズに直せますが、届いたあとだと標準報酬月額の変更手続きが必要になることもあるので、気づいた時点ですぐ連絡するのが一番です。
山田
6月30日で退職する予定の人の分も届出用紙に印字されていたら、そのまま出さなきゃいけないですか?
木村先生
いいえ、6月30日以前に退職した(する)方は算定基礎届の提出対象外です。届出用紙に従前の情報が印字されたまま送られてくることがあるので、退職予定者が含まれていないか提出前に必ず確認して、対象外の方は記入欄を空欄にしてください。
山田
2つの会社に同時に勤めている社員の届出用紙が、両方の会社から届いたらどうすればいいですか?
木村先生
二以上事業所勤務者の場合、届出用紙は選択事業所を管轄する事務センターに提出する分だけで大丈夫です。5月中旬以降に新たに二以上事業所勤務者になった方がいると、複数の届出用紙に重複して情報が印字されることがありますが、選択していないほうの事業所からの提出は不要です。迷ったら空欄にせず、事務センターに確認してから提出するのが安全です。
山田
どのミスも「うっかり」で起きそうなものばかりですね。提出前にダブルチェックする習慣をつけます。
木村先生
そうですね。特に通勤手当の按分と退職予定者の除外は見落としが多いので、提出前のチェックリストに加えておくと安心です。次は、提出時に必要な添付書類を確認しておきましょう。

手続き完了後の流れ:9月の保険料変更まで

山田
算定基礎届を出した後、何か手続きが必要ですか?
木村先生
提出後は年金事務所側で審査が行われます。問題がなければ8月中旬から下旬にかけて「標準報酬月額決定通知書」が届きます。
山田
その通知書を受け取ったら何をすればいいんですか?
木村先生
記載されている新しい標準報酬月額を給与システムに反映させます。9月分(翌月10月末納付)の健康保険料と厚生年金保険料から、新しい額で計算するようにします。
山田
社員にも通知する必要がありますか?
木村先生
義務はありませんが、給与明細で保険料が変わることを社員が気にする場合もあります。「9月分から社会保険料が変わります」と一言伝えておくと、総務への問い合わせが減りますよ。
手順
  1. 7月10日までに算定基礎届を提出
  2. 8月中旬〜下旬に「標準報酬月額決定通知書」が届く
  3. 給与計算システムの設定を更新
  4. 9月分の給与計算から新しい保険料額を適用
  5. 10月末に新しい金額で保険料を納付
山田
随時改定(月額変更届)との違いについても教えてもらえますか?
木村先生
随時改定は、固定的賃金(基本給・通勤手当など)に変動があって、かつ変動後3か月間の報酬の平均が従前の標準報酬月額と2等級以上差が出たときに行います。算定基礎届とは別の書類で、変動があった都度届け出る仕組みです。月額変更届と随時改定について詳しく知りたい方は合わせてご覧ください。
山田
じゃあ、定時決定と随時改定がぶつかる場合もあるんですか?
木村先生
あります。7月改定の月額変更届を出す方は算定基礎届の提出不要になるし、8月・9月に随時改定が予定されている旨の申出をした方も対象外になります。備考欄の「3.月額変更予定」に○をつけて区別します。
山田
細かいルールがあるんですね。手続き的には難しくないですが、見落としが怖い。

よくある質問

山田
最後に、現場で「これって大丈夫ですか?」ってよく聞かれる質問を教えてください。
木村先生
ではまとめてお答えします。
山田
4月に昇給したのに算定で平均が低く出る場合、どうなりますか?
木村先生
その場合は「年間平均」という方法で申し立てができます。1〜3月や7〜9月の給与も使って、より実態に近い平均額で届け出る仕組みです。ただし、年金事務所に事前相談が必要です。
山田
同じ人が2つの会社で働いているケースは?
木村先生
二以上の事業所に勤務する方は、各社の報酬を合算して標準報酬月額を決定します。選択事業所を管轄する事務センターから算定基礎届が届きますので、選択事業所だけが提出します。
山田
70歳以上の従業員がいる場合は?
木村先生
70歳以上の方は厚生年金保険の被保険者ではありませんが、健康保険は加入している場合があります(70歳以上被用者)。算定基礎届では、健康保険と厚生年金保険の欄それぞれに記入するため、届出用紙に2項目で表示されることがあります。
山田
細かい配慮がいろいろ必要なんですね。木村先生、ありがとうございました!

算定基礎届の添付書類チェックリスト:提出時に必要なもの

山田
算定基礎届を提出するとき、届出用紙のほかに何か添付書類は必要ですか?
木村先生
基本的なケースでは、算定基礎届の用紙そのものを提出するだけで、追加の添付書類は不要です。以前は「算定基礎届総括表」という表紙も必要でしたが、総括表は令和3年3月に廃止されているので、今は用意しなくて大丈夫です。
山田
え、総括表っていうのがあったんですね。じゃあ、添付書類が必要になるのはどんなときですか?
木村先生
主に次のようなケースで追加書類が必要になります。整理しておきましょう。
⚠️ 算定基礎届の添付書類チェックリスト
  • 通常の届出(紙・郵送): 算定基礎届の用紙のみで添付書類は不要(総括表は令和3年3月廃止)
  • 電子媒体(CD・DVD)で申請する場合: 「電子媒体届書総括票」を作成して同封する
  • 年間平均で算定する場合: 様式1「年間報酬の平均で算定することの申立書」と様式2「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較および被保険者の同意書等」の2点が必要
  • 育児休業等を取得している被保険者がいる場合: 「育児休業等を取得している被保険者報酬月額登録・改定申出書」を別途提出
  • 二以上の事業所に勤務する被保険者がいる場合: 選択事業所を管轄する事務センターへ提出する届出のみでよく、非選択事業所からの提出は不要
山田
電子申請の場合はどうですか?CSVを送るだけでいいんですか?
木村先生
e-Govで電子申請する場合は、届書作成プログラムで作成したCSVデータを添付書類として一緒に送信します。総括票は電子媒体(CD・DVD)申請のときだけ必要で、e-Gov経由の電子申請では原則不要です。
山田
添付書類のパターンが意外と多いんですね。うちの会社はどれに該当するか、事前に確認しておいたほうが良さそうです。
木村先生
そうですね。年間平均で算定するケースは事前に年金事務所への相談も必要なので、6月のうちに該当するかどうか確認しておくと安心です。それでは次に、電子申請の具体的な操作手順を見ていきましょう。

電子申請と書面申請:どちらを選べばいいか

山田
最近、電子申請が推奨されてますよね。算定基礎届も電子でできますか?
木村先生
もちろんです。日本年金機構では電子申請を積極的に推奨しています。電子申請を使うと、郵送の手間がなくなるだけじゃなく、受付確認がその場でできて、郵便事故のリスクもゼロになります。
山田
電子申請はどうやればいいんですか?
木村先生
主に e-Gov(https://www.e-gov.go.jp/)を通じた申請と、日本年金機構が提供する「届書作成プログラム」を使った方法があります。
電子申請の方法(算定基礎届)
  • e-Gov経由: 電子政府の総合窓口 e-Gov から「被保険者報酬月額算定基礎届」を選んで申請する。電子証明書(マイナンバーカード等)が必要
  • 届書作成プログラム: 日本年金機構ホームページからダウンロードして作成し、e-Gov等で送信する
  • CSV一括申請: 大人数の場合はCSVファイルを作成して一括申請する方法もある
  • 電子媒体(CD・DVD): CD/DVDに記録して事務センターへ持参または郵送する方法もある
山田
e-Govと届書作成プログラムを使うって聞きましたけど、実際の操作の流れも教えてもらえますか?
木村先生
はい、大きく分けて「準備」と「申請」の2段階です。順番に見ていきましょう。
手順
  1. GビズIDプライムアカウントを取得する(発行までに数週間かかることがあるので早めに準備する)
  2. 日本年金機構の「届書作成プログラム」と「e-Gov電子申請アプリケーション」をパソコンにインストールする
  3. 届書作成プログラムに事業所情報と被保険者情報を登録する
  4. 届書作成プログラムの「算定基礎」タブで、被保険者ごとに4月・5月・6月の報酬月額と支払基礎日数を入力する
  5. 入力が終わったら電子申請用データ(CSVファイル)を作成し、保存する
  6. e-GovにGビズIDでログインし、「算定基礎届」の手続きを検索する
  7. 総括票の項目を入力し、作成したCSVファイルを添付書類として登録する
  8. 提出先(事務センター)を選択し、内容を確認して送信する
山田
結構ステップが多いですね。初めてでも迷わずできますか?
木村先生
慣れるまでは1時間くらい見ておくと安心です。GビズIDの取得だけは審査に時間がかかるので、早めに申請しておくのがコツですね。一度環境を整えてしまえば、翌年以降は入力だけで済むので大幅に時短になります。
山田
中小企業でも電子申請できますか?
木村先生
できます。マイナンバーカードや電子証明書があれば問題ありません。ただ、初回は設定に少し手間がかかるので、5月〜6月のうちに一度試してみることをお勧めします。今年初めて電子申請を試みる場合は、早めに年金事務所に問い合わせてみてください。
山田
紙でも全然OK ですよね?
木村先生
もちろんです。日本年金機構から送られてきた返信用封筒で郵送すれば問題ありません。ただ、郵送の場合は消印が7月10日まで有効なので、日付に余裕を持って送ってください。

算定基礎届の準備スケジュール:6月から動き始める

山田
じゃあ、実際の年間スケジュールで教えてもらえますか?いつから何をすればいいか。
木村先生
はい、6月から準備を始めれば余裕をもって対応できます。
時期やること
5月下旬〜6月初旬日本年金機構から算定基礎届の用紙と返信用封筒が届く
6月中旬4月・5月の賃金台帳を確認し、集計準備を開始
6月末6月分の給与計算完了後、支払基礎日数と報酬額を確定
7月1日〜5日算定基礎届に記入・確認。電子申請の場合は送信
7月10日(期限)郵送の場合は消印有効。電子申請は当日中に受付完了すること
8月中旬〜下旬「標準報酬月額決定通知書」が届く
9月新しい標準報酬月額を給与システムに反映
10月末9月分の新しい保険料を納付
山田
6月末の給与計算が終わってからじゃないと書けないから、7月初旬に一気に作業する感じですね。
木村先生
そうです。ですから、4月と5月分の賃金台帳は先にまとめておくと7月初旬が楽になります。通勤手当の金額が変わった月がないか、現物給与(定期券更新等)の有無も事前にチェックしておくといいですよ。
山田
気をつけることをまとめてもらえますか?
木村先生
準備段階でのチェックポイントはこちらです。
⚠️ 算定基礎届の準備段階チェックリスト
  • 4月〜6月に昇給・降給があった従業員を把握しておく
  • 育児休業・産前産後休業中の従業員を確認しておく(別途手続きが必要)
  • 6月1日以降に入社した従業員は対象外であることを確認
  • 通勤定期券の区間変更や現物支給の変更がなかったか確認
  • 二以上の事業所に勤務している従業員の有無を確認
山田
チェックリストがあると助かります。毎年この時期に慌てないように、事前準備を徹底しますね。
木村先生
算定基礎届は難しい書類ではないですが、ミスがあると保険料の過不足につながります。基礎を押さえたうえで、疑問点は早めに年金事務所に相談するのが一番確実です。

標準報酬月額の等級表とは:保険料への影響

山田
標準報酬月額って、実際の給与とは微妙にずれることありますよね。なぜ「等級」があるんですか?
木村先生
標準報酬月額には決まった等級(健康保険は50等級、厚生年金保険は32等級)があって、算出した報酬月額を最も近い等級の金額に当てはめます。例えば報酬月額が28万円なら「28万円等級」、29万円なら「30万円等級」のように、区切りの金額で決まります。
山田
毎月ぴったり同じ金額で計算できるから、事務作業が楽になるんですね。
木村先生
そうです。月ごとに保険料が変わると計算が大変ですし、社員にとっても給与明細が毎月違う保険料になると混乱します。等級制にすることで、1年間安定した保険料になります。
山田
等級が上がると保険料も上がるんですか?
木村先生
そのとおりです。標準報酬月額が高い等級になるほど保険料も高くなりますが、同時に厚生年金の将来受取額も増えます。一概に損とは言えません。事業主も保険料を折半負担していますから、人件費計算には重要な数字です。
山田
等級が変わるのは定時決定のときだけですか?
木村先生
主なタイミングは2つです。
タイミング手続き適用開始
毎年7月(定時決定)算定基礎届9月〜翌年8月
固定的賃金変動後3か月(随時改定)月額変更届変動後4か月目〜
山田
なるほど。給料が上がったタイミングで随時改定、毎年7月に定時決定という二本立てで管理するんですね。
木村先生
正確に整理されました。あと、昇給のときだけじゃなく、降給(基本給の引き下げ)や手当の廃止でも2等級以上差が出れば随時改定の対象です。総務担当者として、給与変更があったときは随時改定の要否を必ずチェックする習慣をつけておくといいです。
山田
わかりました。算定基礎届と月額変更届は一体で覚えておきます。定時決定でしっかり基準を固めて、途中で大きな変動があれば随時改定で対応というセットですね。木村先生、わかりやすく教えてもらってありがとうございました。
木村先生
こちらこそ。算定基礎届は社会保険実務の中でも毎年必ず発生する基本中の基本ですから、ぜひ今年から余裕を持って対応してみてください。疑問点があれば管轄の年金事務所に相談するのが一番です。

基本情報まとめ

項目内容
手続き名被保険者報酬月額算定基礎届(定時決定)
提出期間毎年7月1日〜7月10日
提出先年金事務所管轄の事務センター(郵送)または電子申請
対象7月1日現在のすべての被保険者(例外あり)
効果発生9月分の保険料から新標準報酬月額が適用
管轄省庁厚生労働省
実施機関日本年金機構
公式情報日本年金機構 算定基礎届ガイドブック

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