育休・産休
産前産後・育児休業中の社会保険料免除:申出書1枚で保険料がゼロになる手続き
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産前産後・育児休業中の社会保険料免除とは

山田
木村先生、従業員が育休に入るんですけど、社会保険料が免除になるって聞いたんですが、これって本当ですか?
木村先生
本当です!(笑) 産前産後休業中と育児休業中は、健康保険料と厚生年金保険料の両方が免除になります。しかも従業員分だけじゃなくて、事業主(会社)が負担する分も免除になるんです。
山田
えっ、会社の負担分もですか? それは知らなかったです!
木村先生
そうなんです。毎月の保険料って、従業員と会社が半分ずつ負担しますよね。産前産後・育児休業中はその両方がゼロになります。賞与にかかる保険料も免除されるケースがありますよ。
山田
申出書1枚で、というのはどういうことですか?
木村先生
事業主が「産前産後休業取得者申出書」または「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構や健康保険組合に提出するだけで手続きが完了します。複雑な審査はありません。申出書を出した瞬間から遡って免除が適用されるイメージです。
山田
申請さえすれば確実に免除されるんですね。では、この制度はどんな人が対象なんですか?
木村先生
健康保険・厚生年金保険の被保険者であれば、正社員でもパートでも対象です。産前産後休業か育児休業等を実際に取得していることが前提です。
この制度の2大メリット
- 被保険者(従業員)分の保険料がゼロ: 育休中の手取りが実質的に増える。育児休業給付金と合わせると生活費を大きくカバーできる
- 事業主(会社)分の保険料もゼロ: 産休・育休取得者の在籍中のコスト負担が減る。会社にとっても積極的に育休を推奨しやすくなる
産前産後休業の免除
山田
まず産前産後休業の保険料免除について教えてください。
木村先生
産前産後休業の免除は、産前産後休業開始月から終了日の翌日が属する月の前月までの期間が対象です。産前産後休業終了日が月末の場合は、その終了月までが免除期間になります。
山田
「産前産後休業」というのは具体的にどの期間ですか?
木村先生
法律上の定義があります。出産予定日の42日前(多胎妊娠の場合は98日前)から出産後56日までの期間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間のことです。
山田
多胎妊娠って双子とかですか?
木村先生
そうです!双子や三つ子の場合は産前が98日間に延長されます。単胎妊娠なら産前42日ですが、多胎妊娠なら98日になる。覚えておいてください。
山田
給料が出ている場合でも免除されるんですか?
木村先生
はい!産前産後休業中に給与が支払われているかどうかは関係ありません。有給・無給に関わらず申出書を提出すれば免除されます。
| 区分 | 産前産後休業の免除期間 |
|---|---|
| 単胎妊娠 | 出産予定日の42日前〜出産後56日まで |
| 多胎妊娠(双子等) | 出産予定日の98日前〜出産後56日まで |
| 免除の起点 | 産前産後休業開始月 |
| 免除の終点 | 産前産後休業終了日の翌日が属する月の前月(終了日が月末の場合は終了月) |
山田
申出書の提出期限はいつですか?
木村先生
産前産後休業期間中か、終了後1か月以内に提出してください。この期限を超えると免除が受けられなくなる場合があるので注意です。
山田
なるほど。産前産後が終わったら次は育休ですね。どのようにつながるか教えてください。
木村先生
申出書を別々に出す必要があります。産前産後休業の免除と育児休業の免除は、それぞれ別の申出書で申請します。次のセクションで育休の免除を詳しく見ていきましょう。
育児休業等の免除
山田
育休中の免除については、産前産後と何か違いがあるんですか?
木村先生
いくつか違いがあります。まず対象期間ですが、育児休業等を開始した月から終了日の翌日が属する月の前月までが免除期間です。これは産前産後と同じ計算式ですね。
山田
同じ月に開始して終了する場合はどうなりますか?
木村先生
令和4年(2022年)10月1日以降に開始した育児休業等については、開始日と終了日の翌日が同じ月でも、その月に14日以上育児休業等を取得した場合は免除されます。
山田
14日という基準があるんですね。
木村先生
はい。令和4年10月1日以降の改正ポイントです! 短期育休でも月の半分以上取得すれば、その月の保険料が免除されます。取得日数をきちんと確認して申告してください。
山田
賞与にかかる保険料はどうなりますか?
木村先生
育児休業等期間に月末が含まれる月に支給された賞与の保険料も免除されます。ただし令和4年10月1日以降に開始した育児休業等については、その賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除となります。
山田
短期育休では賞与の免除は受けられないんですね。
木村先生
そうです。賞与の免除は1か月超の育休が条件です。細かいルールですが、担当者は押さえておきましょう。
⚠️ 令和4年10月1日改正のポイント(育休等に限る)
- 月内完結の育休でも免除あり: 開始日と終了日の翌日が同じ月でも、14日以上取得すれば月の保険料免除
- 賞与免除の要件が厳格化: 賞与月末日を含む連続1か月超の育休が必要(1か月以下では賞与免除なし)
- 令和4年10月1日以降に開始した育児休業等に適用。それ以前のルールは改正前を参照
山田
育休はいつまでに申出書を出せばいいですか?
木村先生
育児休業等期間中か、終了後1か月以内に提出です。産前産後と同じ期限ですね。延長する場合や終了予定日前に終了した場合も、それぞれ別の届書を出す必要があります。
| 育休の段階 | 必要な届書 |
|---|---|
| 育児休業を開始したとき | 育児休業等取得者申出書(新規・延長) |
| 育休終了予定日前に終了したとき | 育児休業等取得者終了届 |
| 育休終了後に報酬変動があったとき | 育児休業等終了時報酬月額変更届 |
山田
手続きがたくさんありますね。どこに提出するんですか?
木村先生
日本年金機構の事務センターか、管轄の年金事務所に提出します。電子申請、郵送、窓口持参の3つから選べます。最近は電子申請が増えていますよ。次は実際の手続きの流れを確認しましょう。
申出書の提出手順

山田
具体的な手続きの流れを教えてください。
木村先生
産前産後と育児休業で申出書の種類が違います。それぞれ確認していきましょう。
手順
-
従業員(被保険者)が事業主に産前産後・育児休業の取得を申し出る
-
事業主は申出書を準備する 産前産後休業の場合は「産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」 育児休業の場合は「育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」
-
日本年金機構の事務センターまたは管轄年金事務所に提出する 電子申請・郵送・窓口持参のいずれかで提出
-
申出が受理されると、指定期間の保険料が免除される 翌月分以降の天引きが停止。すでに控除されていた分は還付される
-
育休終了後は報酬変動に応じて「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出する
山田
添付書類は何か必要ですか?
木村先生
申出書のみで添付書類は不要です! これが「申出書1枚で」と言われる所以ですね。ただし記入に誤りが多いと返戻されるので、記入例を参考に丁寧に書いてください。
山田
申出書はどこで入手できますか?
木村先生
日本年金機構のウェブサイトからPDFまたはExcelでダウンロードできます。産前産後休業取得者申出書の様式と育児休業等取得者申出書の様式から入手できます。
山田
オンラインでも手続きできますか?
木村先生
できます! 日本年金機構の「事業所向けオンラインサービス」を使えば電子申請が可能です。一度設定すれば、複数の育休申請も効率よく処理できます。
提出方法の比較
- 電子申請: 事業所向けオンラインサービス(e-Gov)経由。マイナンバーカード等が必要。一度設定すると継続申請が楽
- 郵送: 管轄の事務センターへ郵送。到着日が提出日扱いになる
- 窓口持参: 管轄の年金事務所のみ。その場で内容確認してもらえる
産休・育休と保険料の関係を整理する
山田
産前産後と育児休業の免除期間って、どんな関係になるんですか?
木村先生
重要な点があります。育児休業の保険料免除期間と産前産後休業の保険料免除期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます。
山田
重複する場合があるんですか?
木村先生
まれにありますよ。たとえば産後8週間の産後休業が終わる前に育児休業を開始した場合などです。そういう場合は産前産後休業の免除が優先適用されます。
山田
免除期間中も年金はもらえるんですか?将来の年金に影響しますか?
木村先生
免除期間中も被保険者資格は継続します。将来の年金額を計算するときも、保険料を納めた期間として扱われます! これが素晴らしいポイントで、保険料を払わなくても年金の計算では払ったことと同じ扱いになるんです。
山田
それは安心できますね!(笑)
木村先生
健康保険の被保険者資格も継続するので、産休・育休中に病院にかかっても保険証は使えます。産前産後休業取得者申出書を出していても、健康保険の利用に支障はありません。
| 項目 | 産前産後休業中 | 育児休業中 |
|---|---|---|
| 健康保険料(被保険者分) | 免除 | 免除 |
| 健康保険料(事業主分) | 免除 | 免除 |
| 厚生年金保険料(被保険者分) | 免除 | 免除 |
| 厚生年金保険料(事業主分) | 免除 | 免除 |
| 雇用保険料 | 原則免除なし(支払う賃金に連動) | 原則免除なし |
| 将来の年金計算 | 保険料納付期間として扱う | 保険料納付期間として扱う |
| 健康保険証の利用 | 可能 | 可能 |
山田
雇用保険料は免除にならないんですね。
木村先生
そうです。雇用保険料は払った賃金に連動するので、育休中で賃金がゼロなら自動的に雇用保険料もゼロになります。別途手続きは不要です。
山田
ちなみに、事業主でも免除を受けられるんですか?
木村先生
産前産後休業の免除は事業主でも受けられます! ただし育児休業については、通常の事業主(代表者等)は育児・介護休業法上の育児休業を取得できないため、育児休業等取得者申出書による保険料免除は受けられません。
育休終了後の手続き
山田
育休から職場復帰したあと、何か手続きが必要ですか?
木村先生
はい、復帰後に気をつけることがあります。育休終了後から仕事に戻ると、報酬が変わることがありますよね。たとえば時短勤務で給与が下がった場合などです。
山田
給与が変わると保険料が変わりますよね。
木村先生
そうです。通常は定時決定(毎年7〜9月の3か月間の平均報酬で決まる標準報酬月額)か、随時改定(昇降給後3か月の平均で2等級以上変動した場合)で見直されます。
山田
でも育休明けは別のルールがあるんですよね?
木村先生
そうなんです。育休終了後の特別な手続きとして「育児休業等終了時報酬月額変更届」があります。これを提出すると、育休終了後3か月の報酬実績に基づいて速やかに標準報酬月額を改定できます。
山田
通常の随時改定と何が違うんですか?
木村先生
通常の随時改定は「2等級以上の変動」という条件がありますが、育休終了時改定は1等級の変動でも適用できる点が違います。時短勤務で給与が少し下がった場合でも対象になりやすいです。
山田
それは助かりますね。
木村先生
復帰した人の実態に合わせた保険料に速やかに調整できるので、従業員にとってもメリットがあります。忘れずに手続きしてあげましょう。
育休後の標準報酬月額改定 2つの方法
- 育児休業等終了時報酬月額変更届: 育休終了後3か月の報酬平均で改定。1等級変動でも可。本人の申出が必要
- 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置: 3歳未満の子を養育中に標準報酬月額が下がった場合、将来の年金計算で育休前の標準報酬月額を使用する特例。将来の年金額を守る仕組み
山田
「養育期間のみなし措置」というのも初めて聞きました。
木村先生
これも大事な制度です! 時短勤務で給与が下がると標準報酬月額が下がります。標準報酬月額が下がると将来の厚生年金が減るんです。このみなし措置を使うと、「育休前の標準報酬月額で年金計算をしてもらえる」ので、将来の年金を守れます。
山田
子育て中の保護が手厚いですね。手続きは何が必要ですか?
木村先生
「養育期間標準報酬月額特例申出書」を提出します。子どもが3歳になるまで、毎年提出が必要です。手続きを忘れると保護が受けられないので、復職時に必ず確認しましょう。
基本情報まとめ
山田
全体をまとめてほしいです!
木村先生
まとめましょう! 育児休業給付金の手続きと合わせると、産休・育休中の金銭的サポートの全体像が見えてきますよ。
| 項目 | 産前産後休業の免除 | 育児休業等の免除 |
|---|---|---|
| 対象者 | 健康保険・厚生年金保険の被保険者 | 健康保険・厚生年金保険の被保険者 |
| 申出書 | 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届 | 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届 |
| 提出先 | 日本年金機構 事務センターまたは年金事務所 | 日本年金機構 事務センターまたは年金事務所 |
| 提出期限 | 産前産後休業期間中か終了後1か月以内 | 育児休業等期間中か終了後1か月以内 |
| 免除対象 | 健康保険料・厚生年金保険料(被保険者・事業主双方) | 健康保険料・厚生年金保険料(被保険者・事業主双方) |
| 添付書類 | 不要 | 不要 |
| 管轄省庁 | 厚生労働省 | 厚生労働省 |
| 実施機関 | 日本年金機構・健康保険組合 | 日本年金機構・健康保険組合 |
| 公式サイト | 日本年金機構 産前産後 | 日本年金機構 育児休業 |
山田
ちなみに、育児休業給付金の手続きと、この社会保険料免除の手続きは別物ですよね?
木村先生
完全に別です!(笑) 育児休業給付金(雇用保険)はハローワークへの申請、社会保険料免除(健康保険・厚生年金)は日本年金機構への申請です。窓口が全然違うので注意してください。
山田
忘れると損しますね。
木村先生
そうです。両方の手続きを忘れずに行うのが総務担当者の腕の見せどころです!
よくある質問
山田
最後によくある質問を教えてください。
木村先生
よく聞かれる質問をまとめますね!
山田
申出書の提出が遅れた場合、遡及して免除されますか?
木村先生
はい。申出書の提出が遅れた場合でも、産前産後・育児休業期間中であれば遡及して免除が適用されます。ただし提出できる期限(産前産後・育休終了後1か月以内)を過ぎると申出自体ができなくなります。期限内なら焦らず手続きしてください。
山田
健康保険組合に加入している場合、手続き先は違いますか?
木村先生
健康保険組合に加入している場合、健康保険料分は組合へ、厚生年金保険料分は日本年金機構の事務センターへ、それぞれ申出書を提出します。申出書の様式も組合によって異なる場合があるので、事前に組合に確認してください。
山田
同じ月に産前産後と育児休業が重なった場合はどうなりますか?
木村先生
重複期間があっても、保険料免除は1か月分として計算されます。産前産後休業の免除が優先されます。育児休業等取得者申出書を出しても、産前産後期間は産前産後の免除として扱われます。
山田
産前産後休業中に出産して、そのまま育休に入る場合は申出書を2回出すんですか?
木村先生
そうです!産前産後休業と育児休業は制度が別なので、それぞれ申出書を提出します。産前産後休業取得者申出書を出した後、育児休業が始まったら改めて育児休業等取得者申出書を出してください。
山田
男性(パパ)の育休でも適用されますか?
木村先生
もちろんです!(笑) パパが育休を取得した場合も、育児休業等取得者申出書を提出すれば同様に保険料免除が受けられます。男女関係なく同じ手続きです。最近は産後パパ育休(出生時育児休業)も増えていますが、こちらも同じように免除対象になります。
山田
産後パパ育休って何ですか?
木村先生
令和4年(2022年)10月1日から始まった制度です。子どもの出生後8週間以内に、最大4週間を2回に分割して育休が取れる制度です。パパが育休を取りやすくするための改正です。
産後パパ育休(出生時育児休業)の保険料免除
- 対象: 子の出生後8週間以内に、最大4週間(分割2回まで)の育休を取得するパパ
- 保険料免除: 通常の育児休業と同じく健康保険・厚生年金保険料が免除
- 申出書: 育児休業等取得者申出書(新規)を提出(産後パパ育休の期間を記載)
- 注意: 2回に分割して取得する場合は、取得のたびに申出書の提出が必要
山田
なるほど、使える制度がたくさんあるんですね。
木村先生
そうです!産休・育休関連の制度は特に変更が多いので、日本年金機構の最新情報を確認しながら手続きしてください。
⚠️ 手続きの注意点まとめ
- 申出書の提出期限は産前産後・育休期間中か終了後1か月以内(期限厳守!)
- 産前産後と育休は別々の申出書が必要(1枚で両方は不可)
- 健康保険組合加入の場合は組合にも確認が必要
- 育休終了後は「育児休業等終了時報酬月額変更届」と「養育期間特例申出書」も検討
- 育児休業給付金(ハローワーク)と混同しないこと