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育児休業給付金の賃金日額上限額|2025年8月改定の仕組み

厚生労働省公式案内 →

育児休業給付金の「賃金日額の上限額」とは何か

山田
先生、育児休業給付金に「賃金日額の上限額」というものがあるって最近知ったんですが、そもそもこれは何を指しているんですか?
木村先生
育児休業給付金は、1支給単位期間ごとに「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始から181日目以降は50%)」で計算します。この計算のもとになる賃金日額そのものに上限が設定されていて、実際の賃金から計算した日額が上限を超えていても、上限額を使って計算される仕組みです。
山田
へえ、じゃあ給料が高い人ほど関係してくるんですね。
木村先生
そのとおりです。休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除く)を180で除した額として計算します。この日額に上限があるので、休業前の月収がおおむね一定額を超える方は、実際の収入がいくら高くても給付額はそこで頭打ちになります。
山田
なるほど、上限があるから「もらいすぎ」が起きない仕組みなんですね。逆に下限もあるんですか?
木村先生
あります。賃金日額が低すぎる方には最低保証となる下限額が設定されていて、上限・下限どちらも毎年見直されます。育休中の従業員から「うちの会社の給付金、なんでこの金額なの?」と聞かれたときに説明できるよう、まずはこの上限・下限の仕組みを押さえておくと安心です。

なぜ毎年8月1日に改定されるのか

山田
上限額が毎年見直されるって聞きましたけど、なぜ8月1日なんですか?年度替わりの4月とかならわかるんですが。
木村先生
実はこれ、雇用保険法にちゃんと根拠があるルールなんです。毎月勤労統計調査で算出される平均定期給与額の対前年度比の増減に応じて、毎年8月1日に賃金日額の上限額・下限額が改定される仕組みになっています。
山田
毎月勤労統計って、あの厚生労働省がやっている調査ですか?
木村先生
はい。厚生労働省が発表している統計で、前年度の平均給与額が上がれば上限額も引き上げられますし、下がれば引き下げられます。2025年8月1日の改定では、令和6年度の平均給与額が令和5年度と比べて約2.7%上昇したことが主な要因でした。
山田
物価や賃上げの流れが、そのまま給付金の上限にも反映されるってことですね。
木村先生
そうです。この改定は育児休業給付金だけの話ではなく、雇用保険の基本手当(失業給付)、高年齢雇用継続給付金、介護休業給付金も同じタイミング・同じ考え方で改定されます。給与計算や労務管理を担当している方は、毎年8月1日は「雇用保険の各種上限額がまとめて変わる日」だと覚えておくと、問い合わせが来たときに慌てずに済みます。
改定の基本ルール
  • 改定日 毎年8月1日
  • 算定根拠 毎月勤労統計調査の平均定期給与額(対前年度比)
  • 対象 育児休業給付金・出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金・基本手当・高年齢雇用継続給付金・介護休業給付金
  • 手続き 受給者側の申請は不要。ハローワークが自動的に新しい上限額を適用

2025年8月1日改定の具体的な変更内容

山田
具体的に、2025年8月1日の改定でどう変わったんですか?
木村先生
育児休業給付金の計算のもとになる休業開始時賃金日額の上限額は、2025年7月31日までの15,690円から、2025年8月1日以降は16,110円に引き上げられました。これを30日で月額換算すると、休業開始時賃金月額の上限額は470,700円から483,300円になります。
山田
賃金日額に30をかけると月額の上限になるんですね。
木村先生
はい、その通りです。この上限日額をもとに計算すると、支給率67%(育休開始から180日目まで)の支給上限額は315,369円から323,811円へ、8,442円引き上げられました。

育児休業給付金の支給額計算の仕組み(賃金日額×支給日数×支給率、上限額で頭打ちになる考え方)を示す図解

項目2025年7月31日まで2025年8月1日から
休業開始時賃金日額 上限額15,690円16,110円
休業開始時賃金月額 上限額470,700円483,300円
休業開始時賃金日額 下限額2,869円3,014円
育児休業給付金 支給上限額(支給率67%)315,369円323,811円
育児休業給付金 支給上限額(支給率50%)235,350円241,650円
山田
表で見ると分かりやすいです。67%の上限額だけじゃなく、181日目以降の50%期の上限額も一緒に上がるんですね。
木村先生
そうです。育休開始から181日目以降は支給率が50%に切り替わりますが、この期間の上限額も同時に引き上げられています。同じ2025年8月1日の改定では、育児休業給付金以外にも、高年齢雇用継続給付金の支給限度額が376,750円から386,922円へ、介護休業給付金の支給上限額が347,127円から356,574円へ引き上げられました。
山田
育休だけじゃなくて、他の給付金も軒並み上がったんですね。
木村先生
はい。すべて毎月勤労統計の平均定期給与額をベースにしているので、雇用保険の各種給付金は横並びで改定される仕組みになっています。実務上は「うちの会社の育休社員、8月をまたぐと金額が変わるかも」という意識を持っておくと、給与計算のミスを防げます。
⚠️ 改定日をまたぐ場合の注意

支給対象期間の途中で8月1日をまたぐ場合、8月1日以後の支給対象期間分から新しい上限額が適用されます。同一の支給単位期間の中でも、7月分と8月分で計算に使う上限額が異なるケースがあるため、給与計算システムの設定を8月1日以降に合わせて更新しておくことが必要です。

支給率67%と50%の切り替わりと上限額への影響

山田
さっきから67%とか50%とか出てきますけど、これはいつ切り替わるんですか?
木村先生
育児休業給付金の支給率は、育児休業を開始した日から数えて180日目までが67%、181日目以降が50%です。ここでいう180日は暦上の6か月ではなく、育休開始日からの通算日数で判定します。
山田
通算日数ってことは、分割して育休を取っても合算されるんですか?
木村先生
そうです。同一の子について育児休業を分割取得した場合、67%が適用される180日は通算でカウントされます。また、父母が交互に育休を取得する場合は、67%が適用される180日は父母それぞれで別々にカウントされる点も押さえておきたいポイントです。
山田
なるほど。じゃあ上限額はどう影響するんですか?
木村先生
67%期と50%期、それぞれに別々の上限額が設定されています。2025年8月1日以降は、67%期の上限額が323,811円、50%期の上限額が241,650円です。月収が高い方は180日を境に、上限額そのものが約8万円下がる形になります。
山田
育休が長引くほど、もらえる金額が段階的に下がっていくイメージですね。
木村先生
そうですね。従業員に説明するときは「180日までは67%、それ以降は50%、それぞれに上限がある」という2段構えで伝えると誤解が少ないです。

実際の計算例で確認する

山田
数字だけだとまだピンとこないので、具体例で教えてもらえますか?
木村先生
では、休業前の月給が平均50万円だった方が、2025年8月1日以降に育児休業を取得したケースで考えてみましょう。
手順
  1. 賃金日額を計算する 育休開始前6か月の総支給額を180で割ります。月50万円が6か月続いていた場合、賃金日額はおよそ16,667円です。
  2. 上限額と比較する 2025年8月1日以降の上限額は16,110円なので、計算結果の16,667円は上限を超えています。この場合は上限額の16,110円を使って計算します。
  3. 支給率をかける 67%期であれば「16,110円×30日×67%=323,811円」、50%期であれば「16,110円×30日×50%=241,650円」が月額の支給額です。
  4. 改定前と比較する 2025年7月31日までの上限額(15,690円)で計算すると67%期は315,369円でした。改定により月々8,442円、半年(180日分)で約5万円手取りが増える計算になります。
山田
上限に達していない人はどうなるんですか?
木村先生
賃金日額の計算結果が上限額を下回る方は、実際の賃金にもとづいてそのまま67%や50%が計算されるので、今回の改定による影響はありません。上限額が関係してくるのは、休業前の月収がおおむね48万円台後半を超えている方です。
山田
高収入の人だけの話じゃなくて、意外とボーダーラインの人にも関係しそうですね。
木村先生
そうなんです。月収45万〜50万円くらいの方は改定前後で上限に引っかかるかどうかが変わることもあるので、給与計算担当としては「うちの従業員の中に該当しそうな人がいないか」を一度チェックしておくと安心です。

2026年8月1日にはさらに改定されている

山田
この2025年8月の改定、今も同じ金額が続いているんですか?
木村先生
いいえ、2026年8月1日にも同じ仕組みで再改定されています。休業開始時賃金日額の上限額は16,110円から16,540円へ、下限額は3,014円から3,203円へさらに引き上げられました。
山田
また上がったんですね。じゃあ支給上限額も変わったんですか?
木村先生
はい。2026年8月1日以降の支給上限額は、支給率67%で332,454円、支給率50%で248,100円になっています。あわせて、出生時育児休業給付金の支給上限額(28日間、支給率67%)は302,223円から310,290円へ、出生後休業支援給付金の支給上限額(28日間、支給率13%)は58,640円から60,205円へ、それぞれ引き上げられました。

育児休業給付金の賃金日額上限額の推移(2025年8月改定16,110円から2026年8月改定16,540円へ段階的に引き上げ)を示す図解

項目2025年8月1日改定2026年8月1日改定
休業開始時賃金日額 上限額16,110円16,540円
休業開始時賃金月額 上限額483,300円496,200円
育児休業給付金 支給上限額(67%)323,811円332,454円
育児休業給付金 支給上限額(50%)241,650円248,100円
出生時育児休業給付金 支給上限額(67%、28日)302,223円310,290円
出生後休業支援給付金 支給上限額(13%、28日)58,640円60,205円
山田
毎年8月1日に改定されるっていう仕組みが、こうして実際に繰り返されているのがよくわかりますね。
木村先生
そうなんです。この仕組みを理解しておけば、来年以降も「また8月に数字が変わるはずだ」と見通しを持って給与計算やご案内ができます。育休中の従業員がいる会社では、毎年7月下旬から8月上旬にかけて厚生労働省の発表を確認しておく習慣をつけておくと安心です。

手続きの流れと申請先

山田
上限額の改定はハローワークが自動でやってくれるとのことでしたが、そもそも育児休業給付金の申請自体はどう進めるんですか?
木村先生
基本的な流れはこのようになります。
手順
  1. 休業開始時賃金月額証明書の提出 事業主が育児休業開始後、被保険者の休業開始前賃金にもとづいて、雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書をハローワークへ提出します。
  2. 賃金日額の確定 ハローワークが提出内容から休業開始時賃金日額を確定し、上限額・下限額と照らして最終的な計算基礎額を決定します。
  3. 支給申請 原則2か月ごとに、育児休業給付金の支給申請書を事業主経由またはご本人がハローワークへ提出します。
  4. 支給決定・振込 ハローワークが支給決定を行い、指定口座に振り込まれます。上限額の適用有無を含め、受給者側で特別な手続きをする必要はありません。
山田
申請自体の手続きは、上限額が変わっても変わらないんですね。
木村先生
はい、支給限度額の改定による申請手続きの変更点は特にありません。ハローワークが支給対象期間に応じて自動的に新しい上限額を適用して計算してくれます。ただし申請手続きそのものは別の見直しが行われることもあるので、その点は別の話として押さえておく必要があります。
山田
別の見直しっていうのは?
木村先生
育児休業給付金の電子申請手続きについては、2026年8月1日に照合省略の範囲拡大など別の見直しが行われています。詳しくは育児休業給付金の電子申請手続き見直し(2026年8月1日施行)で解説しているので、あわせて確認しておくと実務がスムーズです。
お問い合わせ先

実務上の注意点

山田
給与計算担当として、この改定に関連して気をつけておくべきことはありますか?
木村先生
いくつかあります。特に重要なのは、給与計算システムやシミュレーションツールを使って育休社員に概算額を伝えている場合の対応です。
実務上のチェックポイント
  • システムの上限額設定 給与計算システムや概算シミュレーションで固定値の上限額を入力している場合、8月1日以降の計算に新しい上限額が反映されているか確認する
  • すでに育休中の方への適用 改定日以後の支給対象期間から自動的に新しい上限額が適用されるため、追加の手続きは不要
  • 上限に近い従業員への周知 月収45万〜50万円台の従業員は改定前後で上限適用の有無が変わることがあるため、対象者には早めに案内する
  • 他の給付金との横並び確認 高年齢雇用継続給付金や介護休業給付金の対象者がいる場合も、同じ8月1日改定の対象になっていないか確認する
山田
システムの設定確認、忘れがちなポイントですね。
木村先生
手続き自体に変更がない分、かえって「上限額が変わったこと」自体を見落としやすいのが実務上の落とし穴です。毎年7月下旬に厚生労働省が発表するリーフレットや報道発表資料を確認する習慣をつけておくと、8月1日からの給付計算にすぐ対応できます。
⚠️ 賃金日額が上限に達していない場合の誤解に注意

上限額の改定は、あくまで賃金日額の計算結果が上限を超える方にのみ影響します。育休前の月収が上限ラインを下回る従業員については、改定があっても支給額は変わりません。「全員の給付額が上がる」と誤解した案内をしないよう注意してください。

基本情報まとめ

山田
ここまでの内容を、最後に一覧で整理してもらえますか?
木村先生
もちろんです。基本情報を表にまとめました。
項目内容
制度名育児休業給付金(賃金日額の上限額改定)
改定日毎年8月1日
算定根拠毎月勤労統計調査の平均定期給与額(対前年度比)
2025年8月1日改定後の賃金日額上限16,110円(月額換算483,300円)
2025年8月1日改定後の支給上限額(67%)323,811円
2026年8月1日改定後の賃金日額上限16,540円(月額換算496,200円)
管轄省庁厚生労働省
実施機関ハローワーク(公共職業安定所)
公式情報厚生労働省 Q&A~育児休業等給付~
山田
この表があれば、毎年8月の改定があったときにすぐ確認できますね。
木村先生
はい。翌年以降も同じ考え方で改定されるので、この表の「仕組み」の部分だけ覚えておいて、毎年発表される最新の金額を当てはめれば対応できます。

類似する社会保険トピックとの比較

山田
育児休業給付金まわりには他にも似たような制度がいろいろありますよね。整理してもらえますか?
木村先生
そうですね。関連する制度を表で比較してみましょう。
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山田
こう見ると、育休中の給付とお金に関する制度がいくつも組み合わさっているんですね。
木村先生
そうなんです。賃金日額の上限額はあくまで「支給額の計算方法」に関するルールで、支給要件や申請方法そのものを定めているわけではありません。要件や申請方法を知りたい場合は育児休業給付金の申請手続きを、両親で育休を取る場合の上乗せ給付について知りたい場合は出生後休業支援給付金をあわせて確認しておくと理解が深まります。

よくある質問

山田
最後に、よく聞かれそうな質問をいくつか確認させてください。まず、上限額が変わったら自分で何か手続きをする必要はあるんですか?
木村先生
不要です。受給者側で特別な手続きをする必要はなく、ハローワークが支給対象期間に応じて自動的に新しい上限額を適用して計算します。
山田
すでに育休を取得中の人にも、改定後の上限額は適用されますか?
木村先生
適用されます。改定日以後の支給対象期間から新しい上限額が使われます。ただし上限額に達していない方は、実際の賃金にもとづいて計算されているため、支給額自体は変わりません。
山田
月収がいくらぐらいだと上限額の対象になるんですか?
木村先生
目安として、休業前6か月の平均月収が休業開始時賃金月額の上限額を超える場合です。2025年8月1日以降であれば483,300円、2026年8月1日以降であれば496,200円が目安のラインになります。
山田
支給率が67%から50%に変わるのはいつでしたっけ?
木村先生
育児休業を開始した日から数えて181日目以降です。暦上の6か月ではなく通算日数で判定される点に注意してください。
山田
育児休業給付金は課税されるんですか?
木村先生
育児休業等給付は非課税です。あわせて育休中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担もありません。

関連書類・参考リンク

山田
最後に、もっと詳しく調べたいときの参考リンクを教えてください。
木村先生
制度の全体像や最新のQ&Aは、厚生労働省のページにまとまっています。あわせて、育児休業給付金そのものの申請手続きや、関連する給付金についても各記事を参考にしてください。
資料名リンク
Q&A~育児休業等給付~(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158500.html
育児休業等給付について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html
山田
ありがとうございました。毎年8月1日に上限額が改定される仕組みと、2025年8月・2026年8月の具体的な変更内容がよくわかりました。
木村先生
こちらこそ。育休社員を抱える会社の給与計算担当者にとっては地味に見えて影響の大きい改定なので、毎年8月のタイミングでこの記事を見返してもらえたらと思います。

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