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給付・手当

常用就職支度手当|45歳以上・障害者の就職困難者向け給付金

厚生労働省公式案内 →
山田
ぼくは総務担当の山田です。先日、以前ウチの倉庫チームにいた50代のパート従業員から「ハローワークで『常用就職支度手当』っていう制度を紹介されたけど、これって何ですか」と相談を受けました。再就職手当なら聞いたことがあったんですが、常用就職支度手当は初耳で、正直どう答えていいかわかりませんでした。木村先生、これってどういう制度なんですか?

常用就職支度手当ってどんな制度?:再就職手当とは別物です

常用就職支度手当の支給までの流れ

木村先生
雇用保険の「就職促進給付」の一つですね。失業手当(基本手当)の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満しか残っていない受給資格者が対象になる、早期の安定就職を後押しするための一時金です。
山田
残日数が少ない人向けなんですね。再就職手当とは違う制度なんですか?
木村先生
はい、名前は似ていますが別の制度です。再就職手当は支給残日数がまだ3分の1以上残っている人向けで、早く再就職した人に残っている基本手当の一部をお祝い金的に渡す仕組みです。一方、常用就職支度手当は残日数がほとんど残っていない人や、そもそも就職が困難とされる人が対象になります。
山田
そもそも、どうしてこういう制度があるんですか?
木村先生
就職が困難とされる方は、求人が見つかってもなかなか採用に結びつかなかったり、就職活動が長期化しやすい傾向があります。そこで安定した職業に早く就いてもらうための後押しとして、雇用保険法第57条に基づいて設けられているのが常用就職支度手当です。失業給付を受け取り続けるより、早期に就職したほうが本人にとっても得になるように設計されています。
山田
「就職が困難とされる人」って、具体的にどんな人を指すんですか?
木村先生
45歳以上の方や障害のある方など、就職活動が長引きやすいとされる方たちですね。次の章で細かく整理しましょうか。
山田
お願いします。うちの相談者は52歳のパートさんだったので、ちょうど気になっていたところです。
木村先生
ちなみに雇用保険の「就業促進手当」には、常用就職支度手当のほかに「再就職手当」と「就業促進定着手当」の3種類があります。就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が再就職先で賃金が下がった場合に追加で支給されるものなので、常用就職支度手当を受け取った人は対象になりません。まずは常用就職支度手当そのものの要件から見ていきましょう。

支給要件:誰が「就職困難者」にあたるのか

山田
さっそくですが、就職困難者ってどんな人が該当するんですか?
木村先生
厚生労働省の資料に主な区分が挙げられています。表にまとめますね。
対象者区分具体的な内容
身体障害者・知的障害者・精神障害者障害者手帳等の交付を受けている方
45歳以上の受給資格者就職日において45歳以上であること
高年齢受給資格者65歳以上で離職し、高年齢求職者給付金の受給資格がある方
特例受給資格者(季節雇用)短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される方など)として、特例一時金の受給資格の決定を受けた方
日雇受給資格者(45歳以上)日雇労働被保険者として就労することが常態の方
その他の就職困難者駐留軍関係離職者、刑余者、社会的事情により就職が著しく阻害されている方など
山田
対象になる人、けっこう色々なパターンがあるんですね。障害のある方はもちろん対象なんですね。
木村先生
そうです。身体障害者・知的障害者・精神障害者は年齢を問わず対象になります。65歳以上の方も高年齢求職者給付金の受給資格者として対象に含まれますよ。
山田
年齢や障害の区分だけじゃなくて、支給残日数の条件もあるんでしたっけ。
木村先生
そのとおりです。基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であることが前提条件です。ただし残日数がゼロだと対象外なので、「1日以上は残っている」ことも必要になります。
常用就職支度手当の対象になる2つの条件

就職が困難とされる区分(45歳以上・障害者など)に該当していること、そして基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であること。この2つを同時に満たす必要があります。

山田
条件を満たしていれば、どんな仕事に就いても対象になるんですか?
木村先生
いえ、就職の内容にも条件があります。ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により、雇入れの当初から1年以上引き続いて雇用されることが確実と認められる職業に就いたことが必要です。自分で見つけた仕事や、雇用継続が見込めない短期のアルバイトでは対象になりません。
⚠️ 離職前の会社への再雇用は対象外

離職前の事業主に再び雇用された場合は、常用就職支度手当の対象外になります。いわゆる出戻り就職では支給されない点に注意してください。

山田
なるほど、要件はだいぶわかりました。じゃあ実際にいくらもらえるのか気になります。

対象外になるケース:こんな場合は支給されません

山田
逆に、これに当てはまると対象外になる、というケースも知っておきたいです。
木村先生
主なパターンを表にまとめますね。実務でつまずきやすいところです。
こんな場合対象外になる理由
待期期間(7日間)が終わる前に就職した待期が経過した後の就職であることが要件のため
給付制限期間中に紹介を拒否したあとの就職給付制限期間の経過が要件のため
離職前の事業主に再び雇用された「離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと」に反するため
雇用保険の被保険者にならない働き方(短時間勤務など)原則として雇用保険の被保険者となることが要件のため
就職日前3年以内に再就職手当・常用就職支度手当を受給済み短期間での重複受給を防ぐ規定があるため
支給申請前にその再就職先をすでに離職していたハローワークの調査時点で在職していることが要件のため
山田
けっこう細かい条件があるんですね。特にどれが見落としやすいですか?
木村先生
就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給したことがある場合は対象外という点ですね。過去に転職を繰り返している方は、自分がいつ・どちらの給付を受けたか覚えていないことも多いので、ハローワークの窓口で受給履歴を確認してもらうのが確実です。
山田
なるほど、自己判断せずに窓口で確認したほうがよさそうですね。実際の支給額の計算方法も詳しく教えてください。

支給額の計算方法:基本手当日額と支給残日数で決まる

木村先生
支給額の計算式を説明しますね。90日(支給残日数が90日未満の場合はその日数、ただし45日を下回る場合は45日)×40%×基本手当日額で計算されます。
山田
数式だけだとちょっとイメージしづらいです…。
木村先生
ざっくり言うと、基本手当日額の40%相当が、最大90日分もらえるというイメージです。支給残日数が90日以上残っている人は上限の90日分が基準になり、それより少ない人はその残日数分(最低でも45日分)が基準になります。
山田
基本手当日額にも上限があるんですよね?
木村先生
あります。ハローワークインターネットサービスの公表によると、基本手当日額の上限は6,745円(60歳以上65歳未満は5,454円)です。この上限額は毎年8月1日に見直されるので、実際に申請するタイミングの最新額をハローワークで確認してください。
山田
仮に基本手当日額が上限の6,745円で、支給残日数が90日以上残っている場合はどうなりますか?
木村先生
6,745円×90日×40%=約24万2,820円が上限の目安になります。もちろん人によって基本手当日額は違うので、実際の金額はハローワークで計算してもらうのが確実です。
山田
支給残日数が90日より少ない人の場合はどうなるんですか?例えば60日しか残っていない場合とか。
木村先生
その場合は支給残日数の60日がそのまま基準日数になります。基本手当日額が仮に5,000円なら、5,000円×60日×40%=12万円が目安です。逆に支給残日数が30日しかない場合は、45日を下回るので最低保証の45日分が基準になり、5,000円×45日×40%=9万円が目安になります。
山田
残日数が少なくても、45日分は最低限確保されるんですね。それは安心材料になりそうです。
木村先生
そうですね、上限の基本手当日額で計算すると、90日分もらえるケースが最も高額になります。
山田
6,745円のケースだと意外とまとまった金額なんですね。もらったらそれで終わりですか?
木村先生
そうです、常用就職支度手当は一時金として1回だけ支給されます。再就職手当のように、その後の賃金低下を補う「就業促進定着手当」のような追加の給付は用意されていません。
山田
再就職手当のほうがもらえる金額が多そうな気もしますけど、実際どう違うんですか?次はそこを詳しく知りたいです。

再就職手当との比較:どちらが支給されるか

常用就職支度手当と再就職手当の違い

木村先生
表で比較してみましょう。
項目常用就職支度手当再就職手当
支給対象支給残日数が所定給付日数の3分の1未満、または高年齢・特例・日雇受給資格者のうち就職困難者支給残日数が所定給付日数の3分の1以上(かつ45日以上)
支給額の計算90日(上限)×40%×基本手当日額支給残日数×60〜70%×基本手当日額
給付率一律40%残日数割合に応じて60%または70%
併給の可否再就職手当を受けられる場合は支給されない常用就職支度手当より優先して支給される
山田
つまり、残日数が多く残っている人は再就職手当、少ない人や就職困難者は常用就職支度手当、という住み分けなんですね。
木村先生
正確にそのとおりです。再就職手当の支給要件を満たす場合は再就職手当が支給され、常用就職支度手当は支給されません。両方の要件を満たしても、どちらか一方しかもらえない点は覚えておいてください。
⚠️ 両方の給付を同時にもらうことはできない

再就職手当と常用就職支度手当はどちらか一方のみの支給です。また就職日前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがある場合、常用就職支度手当は支給されません

山田
雇用保険 再就職手当・就業促進定着手当については別の記事でも詳しく解説していましたよね。あわせて読むとわかりやすそうです。じゃあ実際の申請はどう進めればいいんですか?

申請の流れ:ハローワークでの手続きステップ

木村先生
申請の流れを順番に説明しますね。
手順
  1. ハローワークで求職の申し込みをし、基本手当の受給資格決定を受ける
  2. 待期期間(7日間)や給付制限期間が経過するのを待つ
  3. ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により、1年以上の雇用が見込まれる安定した職業に就く
  4. 就職日の翌日から1か月以内に、常用就職支度手当支給申請書に受給資格者証を添えてハローワークに提出する
  5. ハローワークが再就職先の状況を確認したうえで支給の可否を決定し、指定口座に振り込む
山田
申請期限、就職日の翌日から1か月以内なんですね。うっかり忘れそうです。
木村先生
申請期限は就職日の翌日から1か月以内です。過ぎてしまうと支給を受けられなくなるので、就職が決まったらすぐにハローワークへ確認しに行くことをおすすめします。
申請時に必要なもの

常用就職支度手当支給申請書のほか、受給資格者証が必要です。本人が来所できない場合は、代理人(委任状が必要)または郵送でも提出できます

山田
郵送でもいいのは助かりますね。総務担当としては何かサポートできることはありますか?
木村先生
そうですね、次はその実務上の注意点を見ていきましょうか。

実務上の注意点:総務担当が知っておきたいポイント

山田
総務としてこの制度を知っておくメリットって何かありますか?
木村先生
直接手続きするのは従業員本人ですが、雇用契約書や雇用期間の見込みを証明する書類の作成に事業主の協力が必要になる場合があるんです。ハローワークから在籍確認や雇用継続の照会が入ることもあります。
山田
なるほど、うちの会社が「1年以上雇用する予定です」って証明することもあるんですね。
木村先生
そのとおりです。雇入れの当初から1年以上引き続いて雇用されることが確実と認められる職業かどうかが支給要件の一つなので、雇用契約の期間や更新の見込みについて、正確な情報を伝えてあげてください。
山田
支給申請後に何か気をつけることはありますか?
木村先生
あります。支給申請書を提出した後、ハローワークが調査を行う際に、すでに再就職先の事業所を離職していると支給されません。つまり、申請してすぐ辞めてしまうと受け取れなくなる可能性があるということです。
山田
早期退職には気をつけないといけないんですね。従業員から相談された場合、うちの会社が何か書類を求められることはありますか?
木村先生
あります。ハローワークが常用就職支度手当の支給に関する調査を行う際に、雇用の実態や雇用期間の見込みについて事業主へ照会が入ることがあるんです。雇用契約書の写しの提出を求められる場合もあるので、総務担当としては雇用契約の内容をきちんと保管しておくと、いざという時にスムーズに対応できますよ。
山田
なるほど、雇用契約書はちゃんとファイリングしておかないとですね。ほかにも似たような制度で気をつけたほうがいいことはありますか?
木村先生
障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)を受給しながら働く方が常用就職支度手当の対象になるケースもあります。障害のある方の就労支援では複数の制度が関わってくるので、個別のケースはハローワークや社労士に確認するのが確実です。
山田
わかりました。最後に、この制度の基本情報を整理しておきたいです。

基本情報まとめ

項目内容
制度名常用就職支度手当
法的根拠雇用保険法第57条
実施機関ハローワーク(公共職業安定所)
管轄省庁厚生労働省
対象者基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の受給資格者、高年齢受給資格者・特例受給資格者・日雇受給資格者のうち就職が困難な方(45歳以上、障害者など)
対象規模個人向けの給付のため事業所の規模要件はなし
支給額90日(支給残日数がそれ未満の場合は残日数、45日を下回る場合は45日)×40%×基本手当日額
申請期限就職日の翌日から1か月以内
公式URLhttps://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_stepup.html
山田
表で見るとすっきりしますね。ありがとうございます。施行日や期限が決まっている手続きと違って、この制度は個人ごとに申請期限が変わってくるんですね。
木村先生
そうです。就職日を基準に1か月以内という期限が個人ごとに発生する制度なので、カレンダー上の一律の締切があるわけではありません。だからこそ、就職が決まったタイミングで確認する習慣が大事になります。

関連する社会保険トピック

山田
似たような給付制度、他にもあるんでしたっけ。
木村先生
雇用保険 再就職手当・就業促進定着手当は今回何度も比較した制度ですね。あわせて確認しておくと、自分がどちらの対象になるか判断しやすくなります。65歳以上の方の失業給付については高年齢求職者給付金、障害のある方の年金制度については障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)も参考にしてください。
山田
一通り読んでおけば、相談されたときに困らなそうです。

よくある質問

山田
最後によくある疑問をいくつか聞いてもいいですか?
木村先生
どうぞ。
山田
パートやアルバイトとして就職した場合も対象になりますか?
木村先生
雇用保険の被保険者となる働き方であることが前提です。週の所定労働時間が20時間未満などで雇用保険に加入しない働き方の場合は対象になりません。
山田
支給申請を忘れて1か月を過ぎてしまったらもう申請できないんですか?
木村先生
原則として就職日の翌日から1か月以内という期限を過ぎると支給を受けられません。就職が決まったら早めにハローワークへ相談することをおすすめします。
山田
常用就職支度手当をもらった後、また転職して基本手当をもらい直すことはできますか?
木村先生
常用就職支度手当を受け取った時点で、その受給資格に基づく基本手当の受給権はなくなります。次に失業した際は、新しい職場での雇用保険加入期間をもとに、あらためて受給資格を判定することになります。
山田
契約社員として就職した場合、正社員じゃなくても対象になりますか?
木村先生
雇用形態が正社員かどうかは問いません。1年以上引き続いて雇用されることが確実と認められる職業であれば、契約社員やパートタイムでも対象になり得ます。ただし、更新の見込みがない有期雇用契約や、1年未満の短期契約は対象外になるので、契約内容をよく確認することが大切です。
山田
支給決定までどれくらいの期間がかかるんですか?
木村先生
ケースによって差はありますが、申請書を提出してからハローワークが雇用状況を確認したうえで支給が決定するため、数週間から1か月程度かかることが一般的です。急ぎで確認したい場合は、申請時に窓口で目安を聞いておくとよいでしょう。

関連書類・参考リンク

山田
どこを見れば公式な情報を確認できますか?
木村先生
ハローワークインターネットサービスの就職促進給付のページに最新の支給額や要件がまとまっています。より詳しい制度趣旨や支給対象者の区分を確認したい場合は、厚生労働省の常用就職支度手当についての資料も参考になります。
問い合わせ先

常用就職支度手当の相談や支給申請は、住所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)の窓口で受け付けています。最新の支給額・要件・必要書類は、ハローワークインターネットサービスの就職促進給付のページで確認できます。

山田
ありがとうございます、木村先生。相談してきた従業員にもきちんと説明できそうです。
木村先生
就職が決まったタイミングを逃さないことが一番大事です。総務としても、雇用契約の内容確認など、できるサポートをしてあげてくださいね。
山田
今日教えていただいた内容を整理して、相談してきたパートさんにも案内してみます。制度を知っているかどうかで、もらえるはずのお金を取りこぼすかどうかが変わってきますもんね。
木村先生
そのとおりです。特に就職が決まった直後はバタバタしがちなので、就職日の翌日から1か月以内という申請期限を忘れないよう、早めに案内してあげてください。

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