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国民年金保険料の産前産後免除|4カ月分が全額免除に

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国民年金の産前産後免除、そもそもどんな制度?

国民年金産前産後期間免除制度の概要図

山田
木村先生、国民年金にも産休中の保険料免除ってあるんですね。ぼくフリーランスなので国民年金の第1号被保険者なんですけど、こういう制度があるって恥ずかしながら初めて知りました。
木村先生
ありますよ。2019年4月から始まった「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」ですね。次世代育成支援の観点から、自営業やフリーランスの方など国民年金第1号被保険者が出産したときに、出産前後の一定期間の保険料が免除される仕組みです。
山田
えっ、2019年からってことは結構前からある制度なんですね。ぼく全然知らなかったです(笑)。
木村先生
意外と知られていないんですよ。会社員の産休・育休中の社会保険料免除は産前産後・育児休業中の社会保険料免除としてよく知られているんですが、フリーランスや自営業の方向けの国民年金版はまだまだ認知度が低いですね。
山田
対象になるのはどんな人なんですか?
木村先生
「国民年金第1号被保険者」で、出産日が2019年2月1日以降の方が対象です。自営業、フリーランス、学生、無職の方など、国民年金に第1号被保険者として加入している方ですね。ただし国民年金の任意加入期間は対象外なので注意してください。
山田
ぼくみたいなフリーランスはまさに対象ってことですね。ちなみにこの制度、何のために作られたんですか?
木村先生
少子化対策の一環です。国民年金保険料を月額100円程度引き上げることで、国民年金の被保険者全体で産前産後期間の保険料負担を支え合う仕組みになっているんですよ。
山田
なるほど、みんなで少しずつ負担して子育て世帯を支えるってことか。ちなみにこの100円ってどういう理屈で決まったんですか?
木村先生
国民年金保険料を月額100円程度引き上げることにより、国民年金の被保険者全体によって支えられているというのが日本年金機構の説明です。出産する本人だけが負担するのではなく、制度全体で広く薄く支え合う仕組みになっているんですね。
山田
出産する本人だけじゃなくて、社会全体で支える制度なんですね。想像していたよりスケールが大きい話でびっくりしました(笑)。じゃあ具体的にいつからいつまでの保険料が免除になるのか、次に聞いてもいいですか?

免除される期間はいつからいつまで?

木村先生
出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間が免除されます。単胎、つまり一人のお子さんを妊娠している場合はこの4カ月間ですね。
山田
出産月の前月から4カ月間か。ちょっと図で整理してもらえますか?
木村先生
もちろんです。表にまとめますね。
妊娠の種類免除される期間
単胎妊娠(お子さん1人)出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間
多胎妊娠(双子・三つ子など)出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間
山田
多胎妊娠のほうが免除期間が長いんですね。
木村先生
そうなんです。多胎妊娠は出産前の休養期間が長く必要になることが多いので、免除期間も6カ月間と手厚く設定されています。ちなみに「出産」とは妊娠85日(4カ月)以上の出産を指していて、死産、流産、早産された方も対象に含まれます。
山田
そこまでカバーされてるのは知らなかったです。ほんとに?って思うくらい丁寧な制度ですね。
木村先生
はい。あと産前産後期間中も付加保険料の納付ができる点も覚えておくといいですよ。免除中だから何もできないわけじゃなくて、将来の年金額を増やしたい人は付加保険料を上乗せして納めることも可能なんです。
山田
免除期間の長さはわかりました。じゃあ「免除される」ってことは、将来もらえる年金は減っちゃうんですか?そこが一番気になります。

保険料が免除されても将来の年金は減らない

木村先生
マジですか、そこ聞いてくれて嬉しいです(笑)。実はこの制度の最大のポイントがそこなんですよ。
山田
え、どういうことですか?
木村先生
通常の国民年金保険料の「全額免除」だと、老齢基礎年金の受給額の計算上は保険料を全額納めた場合の半分程度の扱いになります。でも産前産後期間の免除は違っていて、「保険料を納付したもの」として老齢基礎年金の受給額に反映されるんです。
山田
つまり満額扱いってことですか?
木村先生
その通りです。免除された4カ月間(多胎なら6カ月間)も、保険料を実際に納めたのと同じように将来の年金額に計算されます。だからこの制度は「保険料を払わなくていい」というだけでなく「年金額が減らない」というのが大きなメリットなんです。
産前産後免除の2大メリット
  • 保険料負担ゼロ: 対象期間中の国民年金保険料の支払いが不要になる
  • 年金額は減らない: 免除期間も保険料納付済み期間として老齢基礎年金の受給額に反映される
山田
これはすごいですね。ほかの免除制度と何か違いってあるんですか?
木村先生
大きな違いがひとつあります。すでに国民年金保険料の免除・納付猶予や学生納付特例が承認されている場合でも、産前産後免除の届出は別途できるんです。二重に手続きする形になりますが、産前産後免除のほうが年金額への反映が有利なので、対象になる方は必ず届出をしたほうがいいですね。
⚠️ 他の免除制度と併用している方への注意

学生納付特例や通常の保険料免除をすでに利用している場合でも、産前産後期間の免除は別枠で申請可能です。届出をしないと「保険料納付済み扱い」の恩恵を受けられないままになるので、対象期間中は必ず市区町村に届出をしてください。

山田
将来の年金が減らないってわかって安心しました!ほんとにありがたい制度ですね。
木村先生
そうなんです。もうひとつ安心材料をお伝えすると、免除の承認結果は後から確認できるので、届出をしたら記録が残っているかどうかも気にしておくといいですよ。
山田
え、確認する方法ってあるんですか?
木村先生
「ねんきんネット」に登録しておくと、産前産後免除の期間が「保険料納付済み期間」として記録に反映されているかを自分で確認できます。届出から少し時間が経ってから、念のためチェックしておくと安心ですね。
山田
それは知らなかったです!届出して終わりじゃなくて、ちゃんと記録に反映されているか自分でも確認したほうがいいってことですね。
木村先生
その通りです。もし記録に反映されていないように見える場合は、最寄りの年金事務所に問い合わせて確認してもらいましょう。届出から審査・認定までは1カ月程度かかることもあるので、届出直後はまだ反映されていなくても焦らなくて大丈夫ですよ。
山田
なるほど、タイムラグがあるのは覚えておきます!ところで、ぼくの友人に会社員として働きながら妊娠している人がいるんですけど、その人の産休中の保険料免除とはどう違うんですか?

会社員(厚生年金)の産前産後休業免除とどう違う?

木村先生
いい質問ですね。実は制度としては別物なんですよ。国民年金第1号被保険者向けの今回の制度と、健康保険・厚生年金保険に加入している会社員向けの産前産後・育児休業中の社会保険料免除は仕組みが異なります。
山田
どう違うんですか?
木村先生
表で比較してみましょう。
項目国民年金第1号被保険者(今回の制度)会社員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)
免除される期間出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間(多胎は3カ月前から6カ月間)出産日以前42日(多胎は98日)から出産日後56日までのうち労務に従事しなかった期間
手続きをする人本人が市区町村へ届出事業主が年金事務所へ届出
免除される保険料国民年金保険料(本人負担のみ)健康保険・厚生年金保険料(被保険者・事業主の両方)
施行開始2019年4月(対象は2019年2月1日以降の出産)平成26年(2014年)4月30日以降に産前産後休業が終了する被保険者から
山田
会社員の場合は会社が手続きしてくれるけど、フリーランスや自営業は自分で市区町村に届出しなきゃいけないってことですね。
木村先生
そうです。国民年金第1号被保険者の場合、届出をしないと免除は自動的には適用されません。会社員のように事業主が代わりにやってくれる仕組みがないので、自分自身で気づいて動く必要があるんです。
山田
それは知らないと損しちゃいますね……。会社員の場合は事業主・被保険者の両方の保険料が免除されるのに、フリーランスの場合は自分の国民年金保険料だけが免除対象ってことですよね?
木村先生
そうです。会社員は健康保険料と厚生年金保険料の両方、しかも被保険者負担分と事業主負担分の両方が免除されます。一方でフリーランスや自営業の場合は、そもそも健康保険は国民健康保険(市区町村や国民健康保険組合が運営)に加入していることが多く、今回の免除制度の対象はあくまで国民年金保険料だけです。国民健康保険料の免除については、別途お住まいの市区町村の制度を確認する必要がありますね。
山田
なるほど、国民健康保険料は今回の制度の対象外なんですね!そこは勘違いしないように気をつけないと。ちなみに、具体的な日付で計算例を見せてもらえると分かりやすいんですけど!

具体例で見る免除期間の計算方法

木村先生
いいですね、具体例で見てみましょう!たとえば出産予定日が2024年9月15日の単胎妊娠のケースを考えてみます。
山田
お願いします。
木村先生
この場合、出産予定日が属する月は2024年9月なので、その前月の2024年8月から2024年11月までの4カ月間が免除対象になります。表にすると分かりやすいですね。
項目内容
出産予定日2024年9月15日
出産予定日が属する月2024年9月
免除期間の開始2024年8月(前月)
免除期間の終了2024年11月まで(4カ月間)
届出可能な時期2024年3月15日以降(出産予定日の6カ月前から)
山田
なるほど、9月出産なら8月〜11月の4カ月分が丸ごと免除ってことですね!わかりやすいです。
木村先生
もし多胎妊娠だったら、出産予定日が属する月の3カ月前からになるので、同じ2024年9月出産予定なら2024年6月から2024年11月までの6カ月間が免除対象になります。免除される月数がぐっと増えるのが分かりますよね。
山田
単胎と多胎でこんなに差が出るんですね。じゃあ実際にどうやって届出すればいいのか、手続きの流れを教えてください。

手続きの流れ

国民年金産前産後免除の届出フロー図

木村先生
手続きの流れを順番に見ていきましょう。
手順
  1. 届出可能になるタイミングを確認する: 出産予定日の6カ月前から届出が可能です。出産後でも届出できます。
  2. 必要書類を準備する: 出産前なら母子健康手帳または医療機関発行の出産予定日証明書、出産後なら戸籍謄本や母子健康手帳など出産日を確認できる書類を用意します(出産後の届出は原則添付書類が不要です)。
  3. 「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を入手する: 年金事務所または市区町村役場の国民年金窓口で入手するか、日本年金機構のサイトからダウンロードします。
  4. 住民登録をしている市区町村役場の国民年金担当窓口へ提出する: 窓口持参のほか郵送でも提出できます。電子申請にも対応しています。
  5. 審査・認定を待つ: 添付書類を省略した場合は審査・認定まで1カ月程度かかることがあります。急ぐ場合は添付書類をつけて提出しましょう。
山田
届出先は市区町村なんですね。年金事務所じゃないんだ。
木村先生
はい、そこが引っかかりやすいポイントです。届出先は年金事務所ではなく、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口なんですよ。窓口に行くのが難しい方は郵送でも受け付けています。
山田
それは助かります!ちなみに電子申請にも対応してるって言ってましたけど、窓口や郵送よりそっちのほうが早いんですか?
木村先生
電子申請は手続きの簡素化・迅速化が見込めるので、日本年金機構としても個人の方の電子申請の利用を勧めています。パソコンやスマートフォンから提出できるので、窓口に行く時間が取りにくい方や、妊娠中で外出が大変な方には特におすすめですよ。
山田
それはありがたいです!つわりがひどい時期とか窓口に行くのがしんどいですもんね。出産前に届出するのと出産後に届出するのとで、必要な書類が変わるって話でしたよね?

必要書類と届出先

木村先生
そうです。表にまとめておきますね。
届出のタイミング必要な添付書類
出産前に届出する場合母子健康手帳、または医療機関が発行した出産予定日等の証明書のいずれか一つ
出産後に届出する場合原則添付不要。急ぐ場合は戸籍謄(抄)本、住民票、母子健康手帳などいずれか一つ
死産の場合死産証明書、死胎埋火葬許可証、母子健康手帳などいずれか一つ
山田
出産後の届出は原則書類が要らないのは楽ですね。
木村先生
そうなんですが、添付書類を省略すると審査・認定まで1カ月程度時間がかかることがあるので、急いで確定させたい方は書類を添付して提出するのがおすすめです。
⚠️ 口座振替・クレジットカード納付を使っている方への注意

口座振替やクレジットカード納付による前納の手続きをしている場合、産前産後期間の前後で振替方法が変更になることがあります。詳しくは最寄りの年金事務所へ問い合わせておきましょう。

山田
振替方法まで変わることがあるんですね。ちなみに届出はいつまでにやればいいとか、期限ってあるんですか?
木村先生
明確な締切という意味での期限はないんですが、出産予定日の6カ月前から届出が可能で、日本年金機構としては「お早めの届出」を推奨しています。出産後でも届出はできますが、早く届出をしたほうが免除の適用や年金記録の反映がスムーズになりますよ。
山田
なるほど、実務上気をつけたほうがいいことって他にもありますか?

実務上の注意点

届出前にチェックしておきたいポイント
  • 対象者の確認: 国民年金第1号被保険者で、出産日が2019年2月1日以降であること
  • 届出先の確認: 年金事務所ではなく住民登録している市区町村の国民年金窓口であること
  • 既存の免除制度との関係: 学生納付特例や通常の免除を利用中でも別途届出が必要であること
木村先生
それと、フリーランスの方でこれから法人成りを考えている場合は、産前産後免除の対象期間と厚生年金への切り替えタイミングが重なることもあるので注意が必要です。個人事業主の法人成りのタイミングと合わせて社会保険労務士に相談するのも手ですね。
山田
たしかに、切り替えのタイミングって考えたことなかったです。あと、出産にまつわる他の給付金とかもあわせて知っておいたほうがいいですよね?
木村先生
そうですね。国民年金の被保険者かどうかに関わらず受け取れる出産育児一時金もあわせて確認しておくといいですよ。産前産後免除は「保険料が免除される」制度、出産育児一時金は「出産費用の補助を受け取る」制度なので、あわせて活用すると出産前後の負担をぐっと減らせます。
山田
制度をセットで押さえておくと安心ですね。最後によくある疑問についても教えてもらえますか?

よくある質問

山田
木村先生、読者の方からよく聞かれそうな質問をいくつかぶつけてもいいですか?
木村先生
どうぞ、答えられる範囲でお答えします。
山田
まず、会社員からフリーランスに転職したタイミングで妊娠がわかった場合はどうなりますか?
木村先生
出産日の時点で国民年金第1号被保険者であれば対象になります。逆に出産日の時点で厚生年金保険の被保険者(会社員)であれば、今回の制度ではなく会社員向けの産前産後・育児休業中の社会保険料免除が適用されます。どちらの制度が適用されるかは出産日時点の被保険者の種別で決まるということですね。
山田
なるほど、出産日時点の立場がポイントなんですね。次に、届出を忘れて出産から半年以上経ってしまったらどうなりますか?
木村先生
出産後でも届出は可能です。ただし免除の適用がさかのぼって認定されるまでの手続きに時間がかかることもあるので、気づいた時点でできるだけ早く市区町村の窓口に相談してください。
山田
最後に、免除期間中に付加保険料だけ納めることってできるんですか?
木村先生
できますよ!産前産後期間は通常の保険料は免除されますが、付加保険料の納付は可能です。将来の年金額を少しでも増やしたい方は検討してみてください。
山田
付加保険料の話が出たので聞いてみたいんですけど、多胎妊娠で6カ月免除される場合、途中で早産になって出産月がずれた場合はどうなりますか?
木村先生
いい着眼点ですね!免除期間は「出産予定日または出産日が属する月」を基準に計算されるので、実際の出産日が予定日とずれた場合は、確定した出産日をもとに市区町村の窓口で改めて確認してもらうことになります。予定日で先に届出をしていても、実際の出産日が分かった時点で調整してもらえるので安心してください。
山田
予定と違っても後から調整してもらえるんですね、それを聞いて安心しました!
山田
すごくよくわかりました。最後にこの制度の基本情報を整理してもらえますか?

基本情報まとめ

項目内容
制度名国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
施行開始2019年4月(対象は2019年2月1日以降の出産)
対象者国民年金第1号被保険者(任意加入者を除く)
免除期間(単胎)出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間
免除期間(多胎)出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間
届出可能時期出産予定日の6カ月前から(出産後も届出可能)
届出先住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口(郵送可)
管轄省庁厚生労働省
実施機関日本年金機構・市区町村
公式ページhttps://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html
困ったときの問い合わせ先
  • 制度の詳細・公式情報: 日本年金機構公式ページ(https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html)
  • 届出窓口: 住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口(郵送可)
  • 記録の確認や不明点の相談: 最寄りの年金事務所
木村先生
一番大事なのは「保険料が免除されても将来の年金額は減らない」という点と、「会社員と違って自分で市区町村に届出しないと適用されない」という2点ですね。
山田
ぼくも妻の出産予定日が決まったら、6カ月前を目安に忘れずに届出してみます!今日はありがとうございました。
木村先生
ぜひ早めに動いてみてください。困ったときは最寄りの年金事務所にも気軽に相談してくださいね。
山田
はい!今日聞いた話だと、届出は市区町村の窓口、免除期間は出産月の前月から4カ月間(多胎は3カ月前から6カ月間)、年金額は減らない、この3つを覚えておけば大丈夫そうですね。
木村先生
完璧です!あとは出産予定日が決まったタイミングで、6カ月前の日付をカレンダーにメモしておくと届出を忘れずに済みますよ。フリーランスや自営業の方は自分で気づいて動く必要があるので、早めのメモがいちばんの対策です。
山田
さっそくカレンダーに書き込んでおきます!今日は本当にありがとうございました。

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