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法人成り時の社会保険|国保・国民年金から健保・厚生年金への切り替え手続き完全ガイド

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法人成りで社会保険はどう変わる?

個人事業主から法人成りしたときの社会保険切り替えの全体像

山田
先生、個人事業をやっていたときは国民年金と国民健康保険に入っていたんですけど、法人化したら何が変わるんですか?
木村先生
大きく変わりますよ。個人事業主のときは国民年金と国民健康保険に入っていたと思いますが、法人を設立すると健康保険と厚生年金保険に強制加入になります。一人社長でも例外はありません。
山田
えっ、一人でも?従業員がいなくてもですか?
木村先生
そうです。法人である以上、役員が1人だけでも社会保険の加入義務があります。これは個人事業所とは根本的に違うところです。個人事業所は常時5人以上の従業員がいる場合に義務化されますが、法人はそもそも規模に関係なく強制適用です。
山田
なるほど!じゃあ保険料の仕組みも変わりますよね?
木村先生
大きく変わります。国民健康保険と国民年金はどちらも全額自己負担でしたが、健康保険と厚生年金は会社と本人が保険料を折半する仕組みです。つまり、役員報酬を自分で設定できるため、うまく活用すれば実質的な保険料負担を抑えることも可能になります。
山田
それはちょっとメリットありそうですね。具体的にどれくらい負担が変わるんですか?
木村先生
例えば東京都・40歳未満で役員報酬を月額20万円に設定した場合、健康保険料の個人負担が約9,910円、厚生年金保険料の個人負担が約18,300円。合計で月額約28,000円ほどです。会社(自分)が同額を法定福利費として負担します。
山田
国民年金はどうなるんですか?
木村先生
国民年金の第1号被保険者から、厚生年金経由の第2号被保険者に自動的に種別が変わります。個人で市区町村に「種別変更届」を出す必要は原則なく、年金事務所への厚生年金加入手続きが完了すれば、日本年金機構のシステムで自動連携されます。
山田
国民年金は自動で切り替わるんですね。じゃあ国民健康保険は?
木村先生
国民健康保険は自動では脱退しません。これが一番注意が必要なポイントです。社会保険に加入した後、自分で住民票のある市区町村役場に行って脱退手続きをしないと、健康保険料を会社から天引きされながら、市区町村からも国民健康保険料の請求が届き続けます。二重払いになってしまうんです。
山田
ほんとに?それは怖いですね!手続きを忘れたら大変なことになりますね。全体像がわかってきたので、次は具体的に何をいつまでにやればいいか教えてください。
法人成りで変わる社会保険の要点
  • 国民年金 → 厚生年金:第1号被保険者から第2号被保険者へ自動切替(個人手続き不要)
  • 国民健康保険 → 健康保険(協会けんぽ等):手動で脱退手続きが必要(自動脱退しない)
  • 保険料:会社と個人の折半負担に変わる
  • 法人は規模問わず強制加入:一人社長でも例外なし

手続きのタイムラインと提出期限

山田
先生、法人設立後の手続きにはどんな期限があるんですか?
木村先生
これが一番大切なところです。健康保険・厚生年金保険の新規適用届は、会社設立(登記)の日から5日以内に年金事務所へ提出しなければなりません。5日というのはかなり短いので、設立の準備と並行して書類も用意しておく必要があります。
山田
5日以内!それは急がないといけないですね。他にも期限がある手続きはありますか?
木村先生
あります。労災保険の「保険関係成立届」は、雇用を開始した翌日から10日以内に労働基準監督署へ。雇用保険の「適用事業所設置届」は、雇用した月の翌月10日までにハローワークへ提出が必要です。一人社長の場合は労災・雇用保険は不要ですが、従業員を雇うときにすぐ必要になります。
山田
まとめて覚えるのが大変ですね。
木村先生
そうですね。ただ社会保険(健保・厚生年金)の5日以内という期限が特に厳しいので、まずそこを最優先で動く、と覚えておいてください。期限を過ぎると遡及加入となり、遅延分の保険料を後から一括請求されることもあります。
手続き提出先期限
健康保険・厚生年金保険 新規適用届管轄の年金事務所会社設立から5日以内
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届管轄の年金事務所会社設立から5日以内
労災保険 保険関係成立届労働基準監督署雇用開始翌日から10日以内
雇用保険 適用事業所設置届ハローワーク雇用した月の翌月10日まで
国民健康保険 脱退届住民票のある市区町村役場社会保険加入後できるだけ早く
⚠️ 5日ルールを超えた場合の注意
  • 遡及加入になり、設立日に遡って保険料が計算される
  • まとめて請求が来るため、資金繰りへの影響が出ることがある
  • 悪質とみなされると行政指導の対象になる場合もある
  • 5日を過ぎても「気づいた時点で即手続き」することが重要
山田
わかりました。絶対に5日以内を死守しないといけないですね。じゃあ実際にどんな書類が必要か教えてください。

必要書類と提出の流れ

法人成り時の社会保険手続き必要書類と提出フロー

山田
年金事務所に出す書類って何が必要なんですか?
木村先生
主に3種類の書類セットが必要です。まず「健康保険・厚生年金保険新規適用届」、それから被保険者(社長・役員・従業員)ごとの「被保険者資格取得届」、扶養家族がいれば「健康保険被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号被保険者関係届」も一緒に出します。
山田
書類本体の他に添付書類もありますよね?
木村先生
法人の場合は法人(商業)登記簿謄本の原本が必須です。コピーは不可で、提出日から遡って90日以内に発行されたものを用意する必要があります。あと「法人番号指定通知書」のコピーも必要です。登記上の住所と事業所の場所が違う場合は、賃貸借契約書などで所在地を証明する書類も求められます。
山田
登記簿謄本は設立直後に取得できますよね?
木村先生
設立登記が完了してから通常1〜2週間で取得できます。ただ設立後5日以内という期限があるので、設立登記が完了したらすぐに法務局で取得するか、オンライン登記情報提供サービスを利用するとスムーズです。
山田
提出はどうやってするんですか?直接行かないとダメですか?
木村先生
窓口・郵送・電子申請のどれでも対応しています。e-Gov(イーガブ)を使った電子申請なら、窓口に行かなくても手続きできます。「法人設立ワンストップサービス」というオンライン窓口を使えば、登記後に一括して社会保険手続きもできるので便利です。
書類名提出先添付書類
健康保険・厚生年金保険 新規適用届管轄の年金事務所法人登記簿謄本(原本・90日以内)、法人番号指定通知書コピー
被保険者資格取得届管轄の年金事務所本人確認書類(必要に応じて)
健康保険被扶養者(異動)届管轄の年金事務所住民票・課税証明書等(状況による)
国民年金第3号被保険者関係届管轄の年金事務所扶養配偶者の本人確認書類
国民健康保険 脱退届市区町村役場健康保険の被保険者証(取得後)
山田
国民健康保険の脱退は、社会保険の保険証をもらってから行くんですか?
木村先生
その通りです。年金事務所での手続きが完了して、新しい健康保険証を受け取ってから市区町村役場の国保担当窓口に行って脱退の申請をします。社会保険加入証明書類があれば脱退できます。これを忘れると、先ほど言ったように二重払いになってしまいます。
山田
手続きの順番としては、まず年金事務所→その後市区町村役場、ということですね。具体的なステップを教えてもらえますか?
手順
  1. 法人設立登記を行う(登記完了が起点)
  2. 登記完了後すぐに法人登記簿謄本を取得する
  3. 「健康保険・厚生年金保険新規適用届」と「被保険者資格取得届」を準備する
  4. 会社設立から5日以内に管轄の年金事務所へ提出(窓口・郵送・e-Govのいずれか)
  5. 扶養家族がいる場合は「被扶養者(異動)届」「国民年金第3号被保険者関係届」も同時提出
  6. 健康保険証が発行されたら(通常1〜2週間後)市区町村役場で国民健康保険の脱退手続き
  7. 国民年金は年金機構システムで自動連携されるため原則追加手続き不要
  8. 従業員を雇用する場合は労働基準監督署・ハローワークにも届出

役員報酬と保険料の関係

山田
先生、役員報酬の設定が社会保険料に影響するって聞いたんですが、どういうことですか?
木村先生
厚生年金と健康保険の保険料は標準報酬月額を基に計算されます。つまり役員報酬を高く設定するほど保険料も上がり、低く設定するほど下がります。個人事業主のときの国民年金(定額)や国民健康保険(前年所得ベース)とは計算の仕組みが全然違います。
山田
役員報酬を低くすれば保険料が安くなるんですか?
木村先生
そうです。ただし保険料が安くなる反面、将来受け取れる厚生年金の額も少なくなります。また役員報酬が低すぎると傷病手当金や出産手当金も少なくなるので、メリットとデメリットのバランスを考える必要があります。
山田
具体的に月額報酬がいくらだと保険料はいくらくらいになりますか?
木村先生
東京都・40歳未満の例で説明しますね。月額20万円の場合、健康保険料(協会けんぽ)の個人負担が月額約9,910円、厚生年金保険料の個人負担が月額約18,300円。合計で個人負担は月額約28,210円です。会社も同額を負担するので、会社全体では約56,420円が毎月かかります。
山田
マジですか。会社負担分も自分が払うわけだから、実質的には自分が全部払っているようなものですよね。
木村先生
正確にはそうです(笑)。ただし会社負担分は経費(法定福利費)として計上できるので、税務上のメリットがあります。個人事業主が国民健康保険料を全額負担していたことと比べると、法人化することで会社の経費に算入できる分、税負担の観点では有利になるケースがあります。
山田
なるほど!ちなみに厚生年金の保険料率って何%なんですか?
木村先生
厚生年金保険料率は全国一律18.3%です。これを会社と個人で折半するので、それぞれ9.15%負担することになります。健康保険(協会けんぽ)は都道府県によって料率が違って、東京都は令和6年3月改定後は9.98%です。
報酬月額(例)健康保険料(個人負担/月)厚生年金保険料(個人負担/月)合計個人負担(月)
月額10万円約4,989円約9,150円約14,139円
月額20万円約9,910円約18,300円約28,210円
月額30万円約14,970円約27,450円約42,420円
月額40万円約19,948円約36,600円約56,548円
木村先生
※上記の数値は東京都・40歳未満・協会けんぽ加入の場合の目安です。実際は標準報酬月額等級表に基づいて決まります。
山田
等級が1段階変わると保険料が大きく変わるって聞いたんですが本当ですか?
木村先生
本当です。わずか数千円の報酬差で等級が1段階変わり、保険料が一気に数千円変動することもあります。標準報酬月額の等級表については標準報酬月額の仕組みと保険料計算で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
役員報酬設定の3つのポイント
  • 保険料と将来の年金額はセット:低い報酬 = 安い保険料 + 少ない老齢厚生年金
  • 等級の境界線に注意:数千円の報酬差で月の保険料が大きく変わることがある
  • 傷病手当金・出産手当金も報酬連動:報酬を低く設定すると給付額も下がる
山田
役員報酬の設定は慎重に考えないといけないんですね。では具体的な手続き全体を整理してもらえますか?

よくある疑問

山田
先生、手続きのことで気になることがもう少しあるんですが、聞いてもいいですか?
木村先生
もちろん!何でも聞いてください。
山田
個人事業を廃業して法人を設立する場合、個人事業の社会保険はどうなりますか?
木村先生
個人事業主として国民健康保険に入っていた場合、法人成りと同時に個人事業は廃業するケースが多いですよね。廃業した時点で国民健康保険の資格は継続しますが、法人の健康保険に加入した段階で脱退手続きが必要です。ただし廃業日と法人設立日が同日でも問題ありません。
山田
個人事業の廃業届を税務署に出す日と、法人設立日が同じでもいいんですか?
木村先生
大丈夫です。法人設立登記の日に法人成りする形が一般的です。その日から法人として社会保険の加入義務が生じます。
山田
法人成り直後は健康保険証がないときがありますよね。その間に病院に行ったらどうなりますか?
木村先生
健康保険証が発行されるまでの間(通常1〜2週間)は、「健康保険被保険者資格証明書」を年金事務所で発行してもらえます。それを病院の窓口に提示することで、通常通り3割負担で診療を受けられます。
山田
それは知らなかった!ちゃんと用意しておく必要がありますね。
木村先生
実はこの間に病院に行って後で精算、という手続きは手間がかかるので、できれば健康保険証が手元に届いてから病院に行けるようスケジュールを調整することをおすすめします。
山田
配偶者がいる場合の手続きはどうなりますか?
木村先生
配偶者が専業主婦(主夫)で国民年金の第3号被保険者だった場合は影響ありません。自分が厚生年金の第2号被保険者になれば、配偶者は引き続き第3号のままです。一方、配偶者が国民健康保険に一緒に加入していた場合は、自分の会社の健康保険の被扶養者として手続きするか、別途国民健康保険を継続するかを選ぶ必要があります。
山田
被扶養者として一緒に入れるんですか?
木村先生
年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であれば健康保険の被扶養者になれます。被扶養者は追加の保険料負担なしで加入できるので、要件を満たすなら活用した方がお得です。

法人成り後の社会保険のメリットと注意点

山田
先生、法人化すると社会保険の面でどんなメリットがあるんですか?個人事業主のままでいるのとの違いを整理したいんです。
木村先生
いい質問ですね。まず大きなメリットとして、会社が保険料の半額を負担するという点があります。個人事業主の時は国民年金(令和6年度: 月額16,980円)を全額自己負担でしたが、厚生年金は報酬に連動した保険料を会社と折半します。報酬次第では実質負担が同程度かそれ以下になることもあります。
山田
なるほど。他にもメリットはありますか?
木村先生
傷病手当金と出産手当金が使えるようになります。個人事業主は国保に加入していても傷病手当金は出ませんが、健康保険に加入すると病気やけがで働けない期間、最長1年6か月間、標準報酬日額の3分の2が給付されるので、一人社長でもセーフティネットが厚くなります。
山田
えっ、それは知らなかった!それは大きいですね。
木村先生
あともう一つ。将来の年金額も変わります。国民年金だけだと老後に受け取れるのは基礎年金だけですが、厚生年金に加入することで老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金も受給できるようになります。加入期間が長くなるほど、将来の年金額が増えます。
山田
じゃあ注意点はどうですか?
木村先生
最大の注意点はやはり保険料の総額です。健康保険と厚生年金を合わせた保険料は会社負担分も含めると、月額報酬の約30%程度になります。資金繰りに余裕がない時期の法人成りは、月々の固定費が一気に上がるリスクがあります。また、一度決めた役員報酬は原則として事業年度開始から3か月以内しか変更できないという税務上のルールもあるので、慎重に設定する必要があります。
山田
報酬を決めたら簡単に変えられないんですね。
木村先生
そうです。役員報酬を変更すると「不相当に高い」役員給与として経費否認されるリスクがあります。だから最初の設定が本当に重要なんです。社労士だけでなく税理士にも相談しながら設定することをおすすめします。
⚠️ 役員報酬設定の3か月ルール
  • 役員報酬の変更は原則として事業年度開始後3か月以内にしか認められない
  • 期中での増額・減額は「定期同額給与」の要件を外れ、法人税の経費として否認されるリスクがある
  • 業績が読めない創業期は、低めに設定して後で増額する方向が無難
  • 変更する場合は必ず株主総会または取締役会の議事録を作成すること
山田
社会保険の切り替えと同時に税務面の準備も必要なんですね。わかりました、次は関連制度を教えてください。

関連制度との比較

山田
先生、今回の手続きに関連する他の制度も知っておいた方がいいですか?
木村先生
そうですね。法人成りの手続きと密接につながっているものがいくつかあります。
山田
例えばどんなものですか?
木村先生
まず適用事業所設立届と新規適用手続きは、今回の記事の核心部分とほぼ重なります。法人設立後5日以内の届出の詳細な手順が書いてあるので合わせて読んでみてください。次に社会保険(健康保険・厚生年金)被保険者資格取得届も重要です。法人の新規適用届と一緒に出す書類です。
山田
他には?
木村先生
役員報酬を途中で変更したいときは月額変更届(随時改定)が必要になります。あと転職した場合の国保切り替えとの比較という観点では転職・就職時の国民健康保険から健康保険への切り替えも参考になりますよ。
関連制度トピックポイント
適用事業所設立届と新規適用手続きID:50法人設立5日以内の届出詳細
被保険者資格取得届ID:36社長・従業員の加入手続き
月額変更届(随時改定)ID:19役員報酬変更後の保険料改定
標準報酬月額の仕組みID:44等級表と保険料計算方法
国保→健保切り替えタイムラインID:72保険証の空白を防ぐ方法
山田
しっかり把握しておきますね。最後に先生から法人成りする人へのアドバイスをまとめてもらえますか?
木村先生
はい。まず設立登記と同時に社会保険の書類準備も始めること。5日間はあっという間です。次に国民健康保険の脱退を忘れないこと。二重払いが一番もったいないミスです。そして役員報酬の設定は保険料・税務・将来年金のバランスを考えて、慎重に決めること。判断が難しければ社労士や税理士に早めに相談することをおすすめします。
山田
ありがとうございました!法人成りを安心して進められそうです。
法人成り時の社会保険チェックリスト
  • 設立から5日以内に:健康保険・厚生年金保険新規適用届を年金事務所へ提出
  • 同時に提出:被保険者資格取得届、(必要なら)被扶養者(異動)届
  • 健康保険証が届いたら:市区町村役場で国民健康保険の脱退手続き
  • 国民年金の種別変更:年金機構が自動処理するため個人手続きは原則不要
  • 役員報酬設定:標準報酬月額の等級表を確認し保険料を試算してから決定

手続き基本情報まとめ

項目内容
手続き種別社会保険新規適用・制度切り替え
提出期限会社設立(登記)日から5日以内
提出先管轄の年金事務所(社会保険手続き)
管轄省庁厚生労働省
実施機関日本年金機構・市区町村
公式情報日本年金機構 新規適用の手続き

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