入社・退社
入社当日から5日以内!健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届の完全ガイド
厚生労働省公式案内 →
山田
先日、うちの会社で久しぶりに正社員を採用したんですが、総務の同僚から「ねえ、社会保険の手続きって5日以内だよね?」と聞かれてちょっと焦りました。雇用保険は「翌月10日まで」だと覚えていたんですが、健康保険と厚生年金はそれより締め切りが早いんですよね?手続きを1日でも遅らせると何が起きるか、教えてもらえますか。
被保険者資格取得届とは何か

山田
木村先生、社員を採用したら健康保険と厚生年金の手続きが必要ですよね。あれって正式名称なんて言うんでしたっけ。
木村先生
「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」って言います。採用した翌日から5日以内に、日本年金機構へ提出する書類ですね。
山田
5日!思ったより短いですね。
木村先生
そうなんです。雇用保険の被保険者資格取得届が「翌月10日まで」なのに比べると、社会保険の方がずっと短い。事実が発生した日(つまり採用した日)から数えて5日以内、というのが法律で定められた期限です。
山田
「事実発生日」って採用日ですか、入社日ですか?
木村先生
入社日(実際に働き始めた日)ですね。雇用契約書の日付ではなく、実際に勤務が始まった日が起算点になります。たとえば6月1日入社なら、6月5日が期限です。
山田
ほんとに余裕ないですね(笑
木村先生
そうなんです。採用が決まったら速攻で動かないといけない。だから採用決定と同時に書類の準備を始めておくのが正解ですよ。
誰が加入対象になるのか
山田
えっ、そもそも全員が加入しなきゃいけないんですか?パートさんとかアルバイトさんはどうなんでしょう。
木村先生
基本ルールは「適用事業所に常時使用される人はすべて加入」なんですけど、パートさんの場合はちょっと判断が複雑になります。大きく2つのパターンに分かれますね。
山田
どう分かれるんですか?
木村先生
まず4分の3基準というものがあって、同じ事業所で同様の業務をする正社員の所定労働時間と所定労働日数を基準に、その4分の3以上働いている人は加入対象になります。週40時間が正社員の標準なら、週30時間以上のパートさんは対象、ということですね。
山田
じゃあ週20時間のパートさんは関係ない?
木村先生
それがそうとも言い切れないんです。もうひとつのパターンとして「短時間労働者」向けのルールがあって、特定適用事業所に勤務する場合は、4分の3未満でも加入要件を満たすことがあります。
山田
「特定適用事業所」って何ですか?
木村先生
簡単に言うと、社会保険の適用拡大の対象になった事業所のことです。2024年10月からは従業員51人以上の事業所が対象になっていますね。詳しくは社会保険の適用拡大の記事にまとまっているので、そっちも見てみてください。
山田
なるほど!じゃあ短時間労働者の加入要件って具体的にどんな条件ですか?
木村先生
3つの条件が全部揃う必要があります。
短時間労働者の社会保険加入要件(3つすべて必要)
- 条件①: 週の所定労働時間が20時間以上あること
- 条件②: 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
- 条件③: 学生でないこと
山田
月8万8千円、週20時間か……これ、思ったより幅広い人が引っかかりそう。
木村先生
そうなんです。最近は時給が上がってますから、週20時間ちょっとで月8.8万円を超える方もいる。採用時に「この人は加入対象かどうか」をちゃんとチェックする仕組みを作っておくことが大事ですね。
年齢による加入ルールの違い
山田
ところで、年配の方を採用したとき、何か特別なことってありますか?
木村先生
ありますよ。まず、70歳以上の方は健康保険のみ加入、厚生年金は対象外になります。これは厚生年金保険法の規定で、70歳になった時点で厚生年金の被保険者資格は自動的に喪失するんです。
山田
じゃあ、70歳以上の方を採用したときも届出が必要なんですか?
木村先生
過去に厚生年金の被保険者期間がある方を採用した場合、「70歳以上被用者該当届」が必要になります。在職老齢年金の計算に影響するので、届出漏れには気をつけてください。
山田
あと、定年後に再雇用するケースはどうなりますか?
木村先生
これはよくある質問ですね。60歳以上の方が退職した日の翌日に再雇用された場合、「同日得喪」と呼ばれる特別な処理ができます。退職と同時に資格喪失届を出して、同日付けで新しい標準報酬月額で資格取得届を出すわけです。給与が下がることが多いので、保険料の適正化につながります。詳しくは定年再雇用・同日得喪の手続き記事で解説しています。
手続きの流れ

山田
じゃあ、実際の手続きはどうやるんですか?ステップを教えてください。
木村先生
大きく4つのステップですね。
手順
-
書類・情報の収集 採用が決まったら、従業員から基礎年金番号またはマイナンバーを確認します。基礎年金番号通知書(旧年金手帳)かマイナンバーカードの提示を受けてください。
-
届書の記入 日本年金機構のサイトからダウンロードできるエクセル様式(「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」)に必要事項を記入します。マイナンバーまたは基礎年金番号の記入は必須です。未記入だと返戻されます。
-
提出 事務センターまたは管轄の年金事務所へ、電子申請・電子媒体(CD/DVD)・郵送・窓口持参のいずれかで提出します。入社日から数えて5日以内が期限です。
-
被保険者証(資格情報のお知らせ)の受け取り 協会けんぽ管掌の事業所であれば、協会けんぽから「資格情報のお知らせ」と「資格確認書(必要な場合のみ)」が交付されます。従業員への速やかな配布を忘れずに。
山田
電子申請もできるんですね。どれが一番ラクですか?
木村先生
電子申請が圧倒的に楽です。紙の書類を印刷・郵送する手間も省けますし、大企業は電子申請が義務化されていますよ。GビズIDで事業所登録すれば、日本年金機構の「事業所向けオンラインサービス」から申請できます。
山田
添付書類は原則いらないって聞きましたが、例外はありますか?
木村先生
2ケースあります。1つ目は60歳以上で退職後すぐに再雇用した場合。就業規則・退職辞令の写しと雇用契約書の写し、または事業主の継続再雇用証明書が必要です。2つ目は国民健康保険組合への加入継続を希望する場合。事実発生日から14日以内に適用除外承認申請書を提出しなければなりません。
届出を怠ると何が起きるか
山田
5日過ぎちゃったらどうなるんですか…?
木村先生
遅延すると、さかのぼって資格取得届を提出して、入社日にさかのぼって保険料を支払う義務が生じます。遅れた分の追加徴収になるわけですね。
山田
それは痛いな…。会社側だけじゃなく従業員側にも影響が出ますよね。
木村先生
そうです。保険証(資格確認書)が交付されていない状態が続くので、従業員が医療機関を受診できない、あるいは10割負担になる、というリスクがあります。入社直後に病院に行きたくなる方もいますから、これは深刻ですよ。
⚠️ 届出漏れのリスク
- 保険料の遡及徴収: 遅延発覚後は入社日にさかのぼって保険料が請求される
- 医療費の問題: 被保険者証(資格確認書)が交付されない間に受診した場合、一時的な全額負担が生じることがある
- 老齢厚生年金への影響: 年金受給中の方が加入対象の場合、遡及による年金停止・返納が発生することがある
山田
ほんとに、早めに動くしかないですね。
木村先生
採用が決まった時点でチェックリストを用意しておくのが一番です。「採用日に情報収集 → 翌営業日に記入 → 3日目以内に提出」くらいのペースで動けば、5日の期限はクリアできますよ。
基本情報まとめ
山田
ここまで話してきた内容を一覧にしてまとめてもらえますか?
木村先生
もちろんです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 |
| 提出期限 | 事実発生(入社)日から5日以内 |
| 提出先 | 事務センター または 管轄の年金事務所 |
| 管轄省庁 | 厚生労働省 |
| 実施機関 | 日本年金機構 |
| 提出方法 | 電子申請・電子媒体(CD/DVD)・郵送・窓口持参 |
| 主な対象 | 適用事業所に常時使用される70歳未満の従業員 |
| 公式ページ | 日本年金機構 就職したときの手続き |
山田
わかりやすい!ところで、従業員に扶養家族がいる場合はどうなりますか?
木村先生
一緒に「健康保険 被扶養者(異動)届」も提出する必要があります。配偶者の収入要件(年収130万円未満等)を確認して、加入資格があれば同時に手続きするのが効率的です。また、20歳以上60歳未満の配偶者が厚生年金に未加入であれば、国民年金第3号被保険者の手続きも必要になりますよ。
加入要件まとめと除外ケース
山田
改めて「この人は加入しなきゃいけないの?」を判断するための要件を整理してほしいのですが。
木村先生
大きく3つのカテゴリーに分けると整理しやすいですね。
| 分類 | 条件 | 加入 |
|---|---|---|
| フルタイム(正社員等) | 適用事業所に常時使用 | 必須(70歳未満) |
| 短時間就労者(4分の3基準) | 週労働時間・月労働日数が正社員の4/3以上 | 必須 |
| 短時間労働者(適用拡大対象) | 特定適用事業所で週20時間以上・月8.8万円以上・学生でない | 必須 |
| 上記に該当しないパート等 | 週20時間未満または月8.8万円未満等 | 不要 |
山田
加入させなくていいケースって何がありますか?
木村先生
主に以下のようなケースは被保険者から除外されます。
被保険者にならない主なケース
- 日雇い労働者: 日々雇用される人(ただし1カ月以上継続して使用されると対象)
- 2カ月以内の期間を定めて使用される人: 契約期間が2カ月以内(ただし2カ月超継続すると対象)
- 所在地が一定しない事業所に使用される人
- 4分の3基準・適用拡大要件を満たさない短時間労働者
山田
2カ月以内の契約って、短期アルバイトとかですか?
木村先生
そうです。たとえば繁忙期だけの2カ月契約のアルバイトさんは、当初は被保険者になりません。でも実際に2カ月を超えて継続雇用すると、その翌日から被保険者になるので、3カ月目の初日に資格取得届の提出が必要になります。うっかり忘れやすいので要注意ですよ。
電子申請のメリットと手続き
山田
電子申請の話をもう少し詳しく教えてください。どうやるんですか?
木村先生
主に2つの方法があります。1つは「e-Gov電子申請」、もう1つは日本年金機構の「事業所向けオンラインサービス」ですね。どちらもGビズIDのアカウントが必要です。
山田
GビズIDってなんですか?
木村先生
デジタル庁が運営している、法人・個人事業主向けの認証サービスです。一度取得すれば、e-Govだけでなく各種行政サービスのオンライン申請に使えます。
山田
電子申請にするメリットって何ですか?
木村先生
大きく3つ挙げると、①窓口に行く必要がない(郵送コスト・移動時間の削減)、②添付書類を画像データで提出できる、③受理状況をオンラインで確認できる、ですね。従業員が多い会社ほど恩恵が大きいです。
山田
デメリットはありますか?
木村先生
初期設定に少し時間がかかることと、操作に慣れるまでの学習コストくらいですね。GビズIDの取得に1〜2週間かかることもあるので、採用予定がある会社は早めに準備しておくといいですよ。
電子申請の準備リスト
- GビズID取得: デジタル庁のウェブサイトで申請(郵送で印鑑証明書等が必要)
- e-Gov電子申請またはオンラインサービスへの登録
- 届書フォーマットの確認: 日本年金機構のサイトからエクセル様式をダウンロード
- 添付書類の電子化: 必要に応じてPDF/JPEGで準備
記入のポイントと注意事項
山田
書類の記入で気をつけることってありますか?
木村先生
絶対に間違えてはいけないのがマイナンバーまたは基礎年金番号の記入です。この2つのどちらかが未記入だと書類が返戻されてしまいます。
山田
外国人の従業員の場合はどうなりますか?
木村先生
個人番号(マイナンバー)と基礎年金番号が結びついていない外国籍の従業員の場合、資格取得届と一緒に「ローマ字氏名届」も提出が必要です。これも忘れやすいポイントですね。
山田
資格取得届を出した後、何か事業主に戻ってくるんですか?
木村先生
協会けんぽ管掌の事業所であれば、「資格情報のお知らせ」が交付されます。以前は保険証(カード)が発行されていましたが、マイナ保険証への移行に伴い、今は資格情報のお知らせと必要な場合のみ資格確認書が交付される形になっています。
山田
マイナ保険証を持っていない人はどうなるんですか?
木村先生
マイナ保険証が利用できない場合や、資格確認書の交付を申請した場合は、紙の資格確認書が発行されます。入社日直後に医療機関にかかりたい従業員がいる場合は、「健康保険被保険者資格取得後、早急に保険医療機関等で診療等を受けようとするとき」という手続きがあるので、年金事務所に相談するといいですよ。
⚠️ マイナ保険証への移行に注意
- 2024年12月2日に紙の健康保険証の新規発行が終了
- 現在は資格情報のお知らせ+マイナ保険証が基本
- マイナ保険証未利用者には資格確認書が発行される(申請なしに自動交付されるケースもある)
- 新入社員の医療費精算でトラブルにならないよう、資格確認の方法を採用時に案内しておくことが重要
関連する他の手続きとの比較
山田
資格取得届、よくわかってきました!他の入社手続きと比べると、どんな違いがあるんですか?
木村先生
入社時に必要な主な社会保険・雇用保険の手続きを並べてみましょう。
| 手続き名 | 提出先 | 提出期限 | 関連制度 |
|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届 | 年金事務所または事務センター | 入社から5日以内 | 健康保険・厚生年金 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | ハローワーク | 翌月10日まで | 雇用保険 |
山田
社会保険の方が期限が圧倒的に短いですね!
木村先生
そうなんですよ。雇用保険は翌月10日まで余裕があるんですが、健康保険・厚生年金は5日しかない。ここを間違える担当者が多いので、入社手続きのチェックリストに「社会保険は5日以内!」と大きく書いておくことをすすめますよ。
山田
退職したときの手続きとは別物ですよね?
木村先生
そうです。退職した場合は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」を提出します。こちらも5日以内の提出が必要ですよ。詳しくは被保険者資格喪失届の記事を参照してください。
山田
じゃあ、ざっくりまとめると、採用→5日以内に資格取得届、退職→5日以内に資格喪失届、ということですね。
木村先生
完璧な整理です!あとは、従業員の給与が大幅に変わったときに「月額変更届(随時改定)」が必要になります。これは月額変更届の記事で詳しく説明していますね。
届書の記載事項と標準報酬月額の決め方
山田
実際に書類を書くときに、どんな項目を記入するんですか?
木村先生
主な記載事項を一覧にすると、こんな感じです。
| 記載項目 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 事業所整理記号・番号 | 年金事務所から通知された番号 | 必ず正確に |
| 被保険者氏名 | 入社者の氏名 | 戸籍上の正式な氏名 |
| 生年月日 | 入社者の生年月日 | 元号(昭和・平成・令和)も記入 |
| 種別 | 健保・厚年・船保・船厚 | 通常は健保・厚年 |
| 取得年月日 | 実際に使用関係が生じた日(入社日) | 契約締結日ではなく勤務開始日 |
| 報酬月額 | 入社時の月給・各種手当を合算した額 | 交通費・役職手当も含む |
| マイナンバーまたは基礎年金番号 | 入社者のマイナンバー(個人番号)または基礎年金番号 | どちらか必須 |
山田
「報酬月額」って、どう計算するんですか?
木村先生
入社時に支払われる予定の1カ月分の報酬を合計します。基本給だけでなく、毎月固定で支払われる手当(通勤手当・役職手当・住宅手当等)も含めるんですよ。
山田
残業代とか賞与は含めないんですか?
木村先生
残業代(時間外手当)は通常含めません。賞与は別扱いで「賞与支払届」で申告します。報酬月額から標準報酬月額等級が決まって、毎月の保険料が確定するわけですね。
山田
入社時の報酬月額と実際の給与がずれた場合はどうなりますか?
木村先生
毎年4〜6月の3カ月間の平均報酬をもとに、7月に「定時決定(算定基礎届)」を行って標準報酬月額を改定します。それ以外にも、給与が大幅に変わった場合は「月額変更届(随時改定)」で随時対応できます。詳しくは月額変更届の記事を参照してください。
山田
なるほど、取得時の報酬月額は暫定的なものということですね。
木村先生
そうです。だから入社時に正確な報酬月額を記入することが大事です。あとで「記入ミスだった」となると修正が面倒になりますよ。
入社後の保険料の流れ
山田
被保険者になった後、保険料はいつから引かれるんですか?
木村先生
保険料は資格取得した月から発生します。たとえば6月1日入社であれば、6月分の保険料から徴収開始です。
山田
6月1日入社なのに、6月分の給与から引かれるんですか?
木村先生
いいえ、実は少し複雑なんです。健康保険・厚生年金の保険料は「翌月徴収」が原則で、6月分の保険料は7月の給与から徴収することが多いです。ただし、会社の給与規定によって「当月徴収」の場合もあります。
山田
退職したとき、最後の月はどうなりますか?
木村先生
月末退職の場合と月途中退職で扱いが違います。月末退職(例: 6月30日退職)は6月分まで保険料がかかります。月途中退職(例: 6月15日退職)の場合、退職月の保険料は発生しません。だから、月末退職より1日前(6月29日)退職にすると保険料が1カ月分少なくて済む、という話もありますよ。
山田
えっ、それって合法なんですか?
木村先生
完全に合法です(笑 退職日をいつにするかは事業主と従業員が合意すれば自由に決められますから。ただし、退職月の翌月から国民健康保険や後期高齢者医療制度等に切り替える必要があるので、その手続き漏れには注意が必要ですよ。退職時の手続きについては被保険者資格喪失届の記事で詳しく説明しています。
採用時の社会保険手続き 失敗しないためのチェックリスト
山田
ここまでいろいろ教えてもらいましたが、実務でよくある失敗って何ですか?
木村先生
現場でよく聞く失敗パターンをまとめましょう。このチェックリストを採用のたびに使ってほしいですね。
⚠️ 採用時によくある失敗パターン
- 期限超過: 「雇用保険は翌月10日まで」と混同して5日を過ぎてしまう
- 基礎年金番号未確認: マイナンバーも基礎年金番号も確認しないまま届出して返戻される
- 短時間労働者の見落とし: 週20時間・月8.8万円の条件を満たすパートの加入届を忘れる
- 試用期間の誤解: 「正社員になってから加入させればいい」と思って届出を遅らせる
- 外国人社員のローマ字氏名届漏れ: 資格取得届と一緒に提出が必要なのに忘れる
- 扶養家族手続き漏れ: 本人の資格取得は済ませたが、被扶養者(異動)届を忘れる
山田
特に多いのはどれですか?
木村先生
ダントツで「期限超過」ですね。雇用保険と社会保険の期限を混同してしまうケースが一番多い。あとは「試用期間の誤解」も多くて、試用期間中は加入させなくていいと思っている事業主さんが結構いらっしゃいます。
山田
試用期間中の未加入が発覚したら、どうなるんですか?
木村先生
本来加入すべき日(入社日)にさかのぼって、保険料を全額支払う義務が生じます。しかも、試用期間が3カ月あったとすれば、その3カ月分の保険料を一度に支払うことになるので、会社のキャッシュフローに影響する場合もあります。
山田
保険料って会社と従業員で折半ですよね?
木村先生
そうです。健康保険と厚生年金保険の保険料は労使折半(会社と従業員で半分ずつ負担)が原則です。遡及分を支払う際も、理論上は従業員から半分を徴収する権利があります。ただし、何カ月も前にさかのぼって「今更あなたから徴収します」と言いづらい場合もあって、会社が全額負担せざるを得ないこともありますね。
山田
それは痛いですね…。やっぱり最初から正確にやるのが一番ということですね。
木村先生
本当にそうです。採用チェックリストに「社会保険届出: 入社日から5日以内」という項目を必ず入れて、担当者が変わっても引き継ぎしやすい仕組みを作ることが大切です。
よくある質問
山田
最後に、よくある質問を教えてもらえますか?
木村先生
現場でよく出る質問を5つまとめますね。
山田
まず、5日の期限を土日に絡めてしまった場合はどうなりますか?
木村先生
5日目が土日祝日にあたる場合、翌営業日が期限になります。ただし、余裕を持って3日目くらいに出してしまうのが一番安全ですよ(笑
山田
試用期間中の社員はどうなりますか?
木村先生
試用期間であっても、常時使用される状態にある場合は加入対象です。「正社員になるまで加入させない」は違法になる可能性があるので注意してください。
山田
代表取締役や役員も対象になりますか?
木村先生
法人の代表者・役員も原則として被保険者になります。ただし「非常勤役員」で報酬がない(または極めて少ない)場合は除外されることもあります。
山田
複数の会社を掛け持ちしている従業員はどうなりますか?
木村先生
2カ所以上の適用事業所で同時に勤務する場合、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が10日以内に提出して、主たる保険者を選択する必要があります。
山田
最後に、届出後に氏名や住所が変わったときはどうすればいいですか?
木村先生
氏名変更は「被保険者氏名変更(訂正)届」を年金事務所へ提出します。住所変更については、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている場合は届出不要になっていますよ。
山田
完璧です!これで自信を持って手続きできます。ありがとうございました。
木村先生
採用のたびに同じことを調べることになるので、社内のマニュアルに「社会保険5日ルール」をしっかり書き残しておくといいですよ!