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2027年10月~企業規模36人以上|特定適用事業所該当届

施行日: 2027-10-01厚生労働省公式案内 →

特定適用事業所ってそもそも何ですか?

山田
木村先生、実はうちの総務担当をしているんですが、先日「御社、2027年10月から新たに特定適用事業所になるかもしれませんよ」と言われて、正直ピンときませんでした。うちは従業員数がちょうどボーダーライン付近なので他人事じゃすまなそうなんですが、そもそも「特定適用事業所」ってどういう意味なんですか? 普通の会社と何が違うんですか?
木村先生
いい質問ですね! 特定適用事業所とは、パートやアルバイトなどの短時間労働者にも健康保険・厚生年金保険の加入義務が生じる企業のことです。厚生年金保険の被保険者数が一定の人数を超えると、その会社は自動的に特定適用事業所という扱いになります。
山田
え、自動的にですか!? 何か申請しないとなれないものだと思ってました。
木村先生
該当したこと自体は自動的に判定されるんですが、そのあとの届出は事業主が自分で行う必要があるんです。ここが今日いちばん大事なポイントですよ(笑)。日本年金機構が要件を満たしたと確認すると「特定適用事業所に関する重要なお知らせ」という通知を送ってくれるので、それをきっかけに動く会社が多いですね。
山田
なるほど、通知が来たら気づけるってことですね。ちょっと安心しました。
木村先生
ただし、通知が来る前に気づかず放置していても、要件を満たした事実は変わらないので、あとで詳しくお話しする「みなし該当」の扱いになってしまいます。ここは要注意ですよ。さて、特定適用事業所の中身がわかったところで、次はいつからどう変わるのか、企業規模要件の縮小スケジュールを見ていきましょう。

2027年10月から企業規模要件が縮小されます

山田
それで、御社が対象になるかもって話でしたけど、何が変わるんですか?
木村先生
これまで特定適用事業所になる基準は「厚生年金保険の被保険者数が51人以上」でした。これが2027年10月1日から36人以上に引き下げられます。つまり、これまで対象外だった36〜50人の会社が新たに特定適用事業所になるということです。
山田
ほんとですか!? うちは今40人くらいなので、ドンピシャで対象になりそうです…!
木村先生
そうなんです。しかも段階はこれで終わりじゃありません。2029年10月からは21人以上、2032年10月からは11人以上、2035年10月には企業規模要件そのものが撤廃されて、全企業が対象になる予定です。

企業規模要件の段階的縮小スケジュール

山田
段階的にどんどん下がっていくんですね。ざっくり2年おきくらいのペースですか?
木村先生
おおむねそうですね。数字で見ると、こんな感じです。
時期企業規模要件新たに対象になる企業規模
〜2027年9月51人以上
2027年10月〜36人以上36〜50人
2029年10月〜21人以上21〜35人
2032年10月〜11人以上11〜20人
2035年10月〜要件を撤廃10人以下も含む全企業
山田
この「企業規模」って、正社員だけの人数ですか? それともパートさんも含むんですか?
木村先生
良いところに気づきましたね! ここは間違えやすいポイントです。特定適用事業所の判定に使う人数は、あくまで厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く一般被保険者と70歳以上被用者を含む)で、要件を満たすかどうかを判定するために新たに加入する短時間労働者はカウントしません。
山田
じゃあ、パート・アルバイトを何人雇っているかは、企業規模の判定には関係ないんですね。
木村先生
その通りです。次は、実際にどういう基準で「該当した」と判定されるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。

どうなったら「特定適用事業所」に該当するのか

山田
さっき「36人以上」って言ってましたけど、月によって人数が増えたり減ったりしませんか? たまたま1回超えただけでも該当になっちゃうんですか?
木村先生
そこは一時的な変動で振り回されないように、ちゃんとルールがあります。直近1年のうち6か月以上、要件人数を超えることが見込まれる場合に特定適用事業所に該当します。つまり「1年のうち半分以上の月で基準人数を超えていること」が条件です。
山田
なるほど、単発じゃなくて継続性を見るってことですね。
木村先生
そうです。日本年金機構では、直近11か月のうち5か月で基準人数を超えたことが確認できた時点で、対象の事業所に通知を送る運用になっています。法人事業所の場合は、同一法人番号を持つすべての適用事業所の被保険者数を合算して判定するので、支店が複数ある会社は特に注意してくださいね。
山田
え、支店ごとじゃなくて会社全体の合計なんですか!? それは見落としそうです…。
木村先生
はい、ここでの見落としがいちばん多いパターンです。逆に個人事業所の場合は、事業所ごとに単位で判定するので、法人と個人事業主で考え方が違う点も覚えておいてください。
山田
法人と個人事業所で判定単位が違うんですね、しっかりメモしておきます。じゃあ実際に該当した場合、会社は何をすればいいんですか?
木村先生
いよいよ本題ですね。ここからは実際の手続きの流れを説明していきます。

特定適用事業所該当届の提出方法・期限

山田
該当することがわかったら、次は何をすればいいんですか?
木村先生
「特定適用事業所該当届」という書類を、事実発生から5日以内に提出する必要があります。これは日本年金機構の公式ページにもはっきり書かれているルールです。
山田
5日以内!? そんなに急がないといけないんですか。
木村先生
そうなんです、けっこうタイトですよ(笑)。だからこそ通知が届いた時点で早めに準備を始めることをおすすめしています。手続きの流れを図にすると、こんな感じになります。

特定適用事業所該当届の提出フロー

手順
  1. 厚生年金保険の被保険者数が6か月以上、基準人数を超えているか確認する
  2. 要件を満たした事実発生日から5日以内に届出の準備を進める
  3. 「特定適用事業所該当届」を事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出する
  4. 新たに加入対象となる短時間労働者について、それぞれ「被保険者資格取得届」を提出する
山田
提出先は年金事務所だけじゃないんですね。
木村先生
はい、提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請・郵送・窓口持参のいずれかを選べます。法人事業所の場合は、同一法人番号を持つすべての適用事業所を代表して、本店または主たる事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出することになっています。
山田
それは提出先を1か所にまとめられるってことですよね。ちょっと安心しました。
木村先生
そうですね。ただし個人事業所の場合は、各適用事業所からそれぞれ提出することになるので、そこは法人と扱いが違います。提出期限と方法をまとめると、こうなります。
項目内容
提出期限事実発生から5日以内
提出先(法人)本店・主たる事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所
提出先(個人事業所)各適用事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所
提出方法電子申請・郵送・窓口持参
添付書類(該当時)なし
該当届と資格取得届はセットで動く

特定適用事業所該当届を出すだけでは終わりません。新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、対象者ごとに「被保険者資格取得届」も提出する必要があります。該当届だけ出して資格取得届を忘れるケースが実務ではよくあるので、担当者間で漏れなく連携してくださいね。

山田
なるほど、該当届と資格取得届は別物なんですね。忘れないようにしないと…!
木村先生
そうです、ここは本当によく抜け漏れが起きるので、次はもし届出を忘れてしまったらどうなるのかを見ていきましょう。

該当届を出し忘れるとどうなるのか

山田
もし5日以内に気づかなくて、届出が遅れちゃったらどうなるんですか?
木村先生
ここは事業主にとって一番怖いところかもしれません。特定適用事業所に該当したにもかかわらず該当届を提出しなかった場合、日本年金機構が対象の事業所を特定適用事業所に該当したものとみなして「特定適用事業所該当通知書」を送付します。
山田
え、届出してなくても、みなしで該当扱いになっちゃうんですか!?
木村先生
はい、そうなんです。届出をサボったからといって加入義務そのものが消えるわけではありません。むしろ気づかないまま放置すると、短時間労働者の資格取得届の提出も遅れてしまい、保険料の遡及徴収が発生するリスクもあります。
⚠️ 放置は保険料の遡及請求につながる

特定適用事業所への該当を放置すると、対象の短時間労働者の資格取得手続きも連動して遅れます。資格取得日は実際に要件を満たした日にさかのぼるため、届出が遅れるほど遡って保険料を精算する負担が大きくなります。通知が届いたら後回しにせず、すぐに社内で対応スケジュールを組みましょう。

山田
放置するとどんどん厄介になっていくんですね…。じゃあ逆に、対象から外れた場合はどうすればいいんですか?
木村先生
それが次のテーマ、不該当届の話ですね。

特定適用事業所不該当届が必要なケース

山田
会社の規模が縮小して被保険者数が減った場合は、自動的に特定適用事業所じゃなくなるんですか?
木村先生
いいえ、実はそこが誤解されやすいポイントです。被保険者数が常時要件人数を超えなくなった場合でも、原則としては引き続き特定適用事業所として扱われます。自動的に外れるわけではないんです。
山田
え、そうなんですか!? 人数が減ったら普通に対象外になると思ってました。
木村先生
そこで必要になるのが「特定適用事業所不該当届」です。ただし提出には条件があって、使用される被保険者(厚生年金保険の被保険者・70歳以上被用者・短時間労働者を含む)の4分の3以上の同意を得たうえで提出する必要があります。
山田
4分の3以上の同意って、結構ハードル高くないですか?
木村先生
そうですね、簡単に外れられる仕組みにはなっていません。同意の取り方によって添付書類も変わってきます。
不該当届の添付書類パターン
  • 労働組合の同意がある場合: 当該労働組合の同意書と事業主の証明書
  • 4分の3以上を代表する者の同意がある場合: 当該代表者の同意書と事業主の証明書
  • 対象者個々の同意を集める場合: 同意対象者本人の同意書
山田
同意の取り方が3パターンあるんですね。うちの会社だとどれが現実的かな…。
木村先生
従業員数が少なければ個々の同意書を集める方法が現実的ですし、労働組合があるなら組合の同意書のほうがまとめやすいです。不該当届が受理されると、被保険者資格が適用されていた短時間労働者について、それぞれ「被保険者資格喪失届」も提出する必要がありますよ。
山田
該当届のときと同じで、こっちもセットの手続きがあるんですね。
木村先生
そうなんです。ここまでで手続きの骨格はつかめたと思うので、次は「誰が加入対象になるのか」という短時間労働者側の要件も確認しておきましょう。

まだ基準人数に届いていない会社が自主的に加入する方法

山田
ちなみに、うちの会社みたいにまだ基準人数に届いていない場合、社会保険に入りたくても入れないってことですか?
木村先生
実はそんなことはないんです(笑)。厚生年金保険の被保険者数が特定適用事業所の基準に満たない企業でも、被保険者の同意に基づいて事業主が申し出れば、短時間労働者を加入対象とする事業所になれます。これを「任意特定適用事業所」と呼びます。
山田
へえ、任意で先取りできるんですね! どういう会社がそれを選ぶんですか?
木村先生
採用力を強化したい会社が多いですね。社会保険に加入できることを求人でアピールできるので、パート・アルバイトの応募が集まりやすくなるというメリットがあります。任意特定適用事業所になると、加入要件に該当するすべての短時間労働者が加入対象になる点は、特定適用事業所と同じ扱いです。
山田
なるほど、あえて早めに対象になることで採用面でのメリットを取りにいく会社もあるんですね。
木村先生
そうなんです。手続きとしては「任意特定適用事業所申し出」を行い、取りやめたい場合は「取消申し出」という手続きも用意されています。今日の本題は該当届・不該当届なので、任意特定適用事業所の詳しい申請方法はまた別の機会に整理しますね。

そもそも誰が新たに加入対象になるのか

山田
企業が特定適用事業所になったとして、パートさん全員が社会保険に入るわけじゃないですよね?
木村先生
その通りです! 特定適用事業所で働く短時間労働者のうち、以下の要件をすべて満たす人だけが加入対象になります。
要件内容
労働時間週の所定労働時間が20時間以上
賃金所定内賃金が月額8.8万円以上(2026年10月に撤廃予定)
学生でないこと卒業見込みで就職予定の方や休学中の方などは例外あり
雇用見込み2か月を超えて雇用される見込みがあること
山田
賃金要件は撤廃予定なんですね。じゃあ将来的には労働時間だけで判定されるようになるってことですか?
木村先生
そこは別のトピックで詳しく説明していますが、ざっくり言うとそうです。最低賃金で週20時間以上働けば自然と月額8.8万円は超えてしまうので、賃金要件は実質的に形骸化していたんです。だから2026年10月に撤廃される予定になっています。
山田
なるほど、そのあたりはまた別で詳しく教えてもらいたいです。
木村先生
もちろんです。今日の本筋である届出の話に戻りましょうか。届出周りで実務上つまずきやすいポイントをもう少し補足しておきますね。

実務でつまずきやすいポイント

山田
木村先生、実際に担当者として気をつけるべきことって他にありますか?
木村先生
いくつかありますよ。まず、複数の支店を持つ法人は、本社だけでなく全支店の被保険者数を合算して判定されるため、本社担当者が支店の人数変動まで把握できる体制を作っておくことが大切です。
山田
支店の情報共有、うちの会社だとちょっと弱いかもしれません…。
木村先生
そこは今のうちに仕組み化しておくといいですね。もう一つ、該当届の提出後、対象の短時間労働者一人ひとりの資格取得届を漏れなく出す必要があるので、人事データベースから対象者リストを機械的に抽出できるようにしておくと、5日という短い期限にも対応しやすくなります。
⚠️ 5日以内の期限は思ったより短い

提出期限の「事実発生から5日以内」は土日祝日を含めた暦日でカウントされます。通知が届いてから慌てて対象者を洗い出すと間に合わないことがあるので、被保険者数が基準に近づいてきた段階で、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。

山田
うちの会社みたいに、今40人前後で推移している会社は、具体的にいつから準備を始めればいいんですか?
木村先生
2027年10月1日が施行日なので、そこから逆算するのがいいですね。特定適用事業所への該当判定は「直近1年のうち6か月以上」の実績で見られるため、2027年10月時点で該当していると判定されるかどうかは、それより前の被保険者数の推移が影響します。今のうちから毎月の被保険者数を記録しておくと、施行日が近づいたときに慌てずに済みますよ。
山田
毎月記録しておくの、地味だけど大事ですね。
木村先生
地味なようで一番効きます(笑)。人数がボーダーライン付近の会社ほど、記録をつけていないと「気づいたら該当していた」となりがちなので、総務担当者としては今日からでもエクセルで人数の推移表を作っておくことをおすすめします。
山田
さっそく作ってみます! 事前準備が大事なんですね。よくわかりました!
木村先生
では最後に、今日の内容を基本情報として整理しておきましょう。

基本情報まとめ

項目内容
制度名特定適用事業所の該当・不該当届
企業規模要件の変更時期2027年10月1日〜(36人以上)
その後の段階2029年10月(21人以上)、2032年10月(11人以上)、2035年10月(要件撤廃)
該当届の提出期限事実発生から5日以内
提出先事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法電子申請・郵送・窓口持参
不該当届の条件対象被保険者の4分の3以上の同意
管轄省庁厚生労働省
実施機関日本年金機構
公式サイト日本年金機構 特定適用事業所該当・不該当の手続き

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山田
今日教えてもらった内容と関連する話も、もっと知りたくなってきました。
木村先生
それなら社会保険の段階的適用拡大(2027〜2035年):企業規模要件の縮小スケジュールと準備で、今日話した企業規模要件の全体像をもう少し広く整理しています。あわせて、実際に新たに加入する短時間労働者側の手続きとして社会保険(健康保険・厚生年金)被保険者資格取得届:採用後5日以内の社会保険加入手続き、対象から外れる場合の社会保険(健康保険・厚生年金)被保険者資格喪失届:退職・死亡時の社会保険脱退手続きも読んでおくと実務がつながって理解しやすいですよ。
山田
さっき出てきた賃金要件の撤廃についても、詳しく知りたいです。
木村先生
山田
ありがとうございます、順番に読んでみます。届出の手続きだけじゃなくて、制度全体のつながりが見えてくると理解が深まりますね。

よくある質問

山田
最後に、よく聞かれそうな疑問をまとめて教えてもらえますか?
木村先生
いいですよ。まず「うちの会社は何人からが対象ですか?」という質問がよくありますが、2027年9月までは51人以上、2027年10月からは36人以上が基準になります。自社の人数がどの段階に当てはまるか、早めに確認しておいてください。
山田
次に、「該当届を出さないとどうなりますか?」もよく聞かれそうです。
木村先生
それは先ほど説明した通り、届出をしなくても要件を満たした事実に基づいて「特定適用事業所該当通知書」が送付され、みなし該当として扱われます。届出をサボるメリットは実質的にありません。
山田
あと、「不該当届はいつでも出せますか?」という疑問もありそうです。
木村先生
これは被保険者数が要件を下回っただけでは提出できず、対象被保険者の4分の3以上の同意が必要という条件があります。人数が減ったからといってすぐに出せるわけではない点に注意してくださいね。
山田
今日はありがとうございました! うちの会社もそろそろ準備を始めます!
木村先生
ぜひ早めに進めてくださいね。困ったことがあれば、いつでも相談してください!

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