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労災保険の特別加入|中小事業主等・社長役員の加入条件と手続き

厚生労働省公式案内 →
山田
先生、単刀直入に聞きます。社長とか役員って、労災保険に入れないものなんですか?うちの会社、社員の労災保険料はちゃんと払ってるのに社長本人がノーガードだったって知って、正直ゾッとしたんですよ。
木村先生
いい質問ですね、山田さん。結論から言うと社長や役員は原則として労災保険の対象外なんです。労災保険はもともと「労働者」を守るための制度なので、雇う側である事業主は対象に入らないんですよ。
山田
えっ、そうなんですか!社員のケガは補償されるのに、社長が現場で同じようにケガしたら何もないってことですか?
木村先生
原則はそうなります。ただ、中小企業の社長さんって実際には現場に出て社員と一緒に作業することも多いですよね。そこで用意されているのが特別加入制度です。労働者に準じて保護するのがふさわしい人を、任意で労災保険に加入させてあげる仕組みなんですよ。
山田
なるほど、そういう救済ルートがあるんですね!ほっとしました(笑)。特別加入って一種類だけなんですか?
木村先生
いえ、実は4種類あるんです。今回お話しするのは社長さんや役員さんが対象になる「中小事業主等の特別加入」、いわゆる第1種特別加入です。ほかに一人親方や個人事業主向けの「一人親方等の特別加入」、特定の作業に従事する人向けの「特定作業従事者の特別加入」、そして海外に社員を送り出す会社向けの「海外派遣者の特別加入」があります。
山田
4つもあるんですか。うちは社員を雇っている普通の中小企業なので、今日は「中小事業主等」の話に絞って教えてください。
木村先生
はい、それがまさに山田さんの会社に関係するパターンですね。じゃあまず、どんな会社の社長さんが対象になるのか、規模の話から見ていきましょう。

労災保険の特別加入とは?中小事業主等が対象になる第1種特別加入

社長・役員が労災保険の特別加入で保護される様子を表したイラスト

山田
このセクションでは特別加入の全体像を教えてもらえるんですよね。そもそもなんで労働者じゃない社長を保険に入れてあげる必要があるんですか?
木村先生
いい着眼点です。中小企業の社長さんは、経営判断だけじゃなく現場作業も兼ねている方が本当に多いんですよ。建設現場で職人さんと一緒に作業したり、工場でラインに入ったり。そうなると業務中のケガのリスクは社員とほぼ同じなのに、労働者じゃないという理由だけで補償がないのはおかしいですよね。
山田
たしかに。うちの社長も現場に顔を出すタイプなので、まさに当てはまりそうです。
木村先生
労災保険は本来、労働者を保護するための制度なので、事業主や自営業者、家族従業者は対象外というのが大原則です。でも業務の実態を見ると、労働者に準じて保護すべき人もいる。そこで本来の建前を崩さない範囲で任意加入を認めたのが特別加入制度なんです。
山田
建前を崩さない範囲で、っていうのが役所らしいですね(笑)。管轄はやっぱり厚生労働省なんですか?
木村先生
そうです。厚生労働省の制度で、実際の窓口は所轄の労働基準監督署になります。ただし今日お話しする中小事業主等の特別加入は、申請の実務を会社が直接やるのではなく、必ず「労働保険事務組合」という団体を通す点が特徴的なんですよ。
山田
事務組合を通す、というのがもう聞きなれない言葉なんですけど…。とりあえず先に、うちの会社がそもそも対象になるのかを知りたいです。何か企業規模の条件ってあるんですか?
木村先生
もちろんあります。業種によって「何人まで中小事業主等として扱われるか」という線引きが決まっているので、次はその表を見てみましょう。

中小事業主等の特別加入、対象になる企業規模は?

山田
木村先生、うちは従業員35人くらいの小売業なんですけど、対象になりますか!?気になって夜も眠れないくらいです(笑)。
木村先生
それはまさに境界線に関わる質問ですね。中小事業主等と認められる企業規模は、業種によって3段階に分かれています。表にするとこんな感じです。
業種労働者数の上限
金融業、保険業、不動産業、小売業50人以下
卸売業、サービス業100人以下
上記以外の業種(製造業・建設業など)300人以下
山田
小売業だと50人以下なんですね。うちは35人だから対象になりそうです、よかった!でもこの「労働者数」って、パートさんとかアルバイトさんもカウントするんですか?
木村先生
はい、雇用形態にかかわらず雇っている労働者を合計してカウントします。それと、工場と本社が別々にある会社みたいに事業所が複数ある場合は、それぞれの労働者数を合計した数字で判断するので注意してくださいね。
山田
なるほど、支店ごとに別カウントじゃないんですね。あと、年間ずっと雇ってなくても対象になるケースってあるんですか?季節労働者だけの会社とか。
木村先生
いい質問です。1年間に100日以上労働者を使用していれば、常時雇用しているものとして扱われます。なので繁忙期だけ人を雇うような会社でも、条件を満たせば中小事業主等に該当する可能性がありますよ。
山田
意外と柔軟なんですね。じゃあ規模がクリアできたら、あとは何をすれば特別加入できるんですか?
木村先生
規模だけじゃなくて、実はもう2つ満たすべき条件があるんです。ここが一番つまずきやすいポイントなので、じっくり説明しますね。

加入するための2つの条件(保険関係の成立+事務組合への委託)

中小事業主等の特別加入で必須の2条件
  • 条件1: 雇用している労働者について、労災保険の保険関係がすでに成立していること
  • 条件2: 労働保険(労災保険・雇用保険)の事務処理を、労働保険事務組合に委託していること
山田
え、社長本人だけが手続きすればいい話じゃないんですか!?社員の保険が絡んでくるんですね。
木村先生
そうなんです。まず社員について労災保険の保険関係が成立していないと、社長は特別加入できません。つまり順番としては「社員を雇って労災保険に加入させる」が先で、「社長が特別加入する」は後、という構造になっているんですよ。
山田
なるほど、社員がいない一人社長の会社だと、そもそも入れないってことですか?
木村先生
鋭いですね、そのとおりです。労働者が1人もいない会社の社長さんは、中小事業主等の特別加入の対象にはなりません。もし従業員なしで働く個人事業主や一人親方であれば、そちらは「一人親方等の特別加入」というまた別の制度の話になりますね。
山田
制度が分かれてるのはややこしいですけど、理屈は分かりました。もうひとつの条件、「事務組合への委託」ってどういうことですか?会社が直接、労働基準監督署に申請しちゃダメなんですか?
木村先生
そこが独特なところで、中小事業主等の特別加入は、労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していることが必須要件になっています。事務組合というのは、中小企業に代わって労働保険の手続きを代行してくれる厚生労働大臣認可の団体で、商工会や事業協同組合などが母体になっていることが多いですね。
山田
つまり会社が単独で「特別加入したいです」って直接申し込むルートは無いんですね。
木村先生
はい、特別加入の申請そのものが、事務組合を経由しないとできないんです。会社側は委託先の事務組合を探して契約し、そこを通じて申請書を出す、という流れになります。
山田
すでに事務組合に労働保険を委託してる会社なら話が早そうですけど、まだどこにも委託してない会社はどうすればいいんですか?
木村先生
その場合はまず委託先の事務組合を探すところから始めることになります。会社の所在地や業種によって対応できる事務組合が変わってくるので、商工会議所や業界団体に問い合わせるのが近道ですよ。じゃあ次は、加入するときに一番悩むポイント、給付基礎日額の話に移りましょう。

給付基礎日額はどう選ぶ?3,500円〜25,000円の一覧

山田
「給付基礎日額」って言葉、労災保険の説明でよく出てくるんですけど、いまいちピンと来てないんです。何を決める数字なんですか?
木村先生
給付基礎日額は、労災保険の給付額を計算するときの基礎になる金額です。社長さん自身の所得水準に見合った額を申請して、労働局長が承認した金額が正式な給付基礎日額になります。
山田
自分で好きな金額を選べるってことですか?
木村先生
選べますが、範囲は決まっています。3,500円から25,000円まで、いくつかの段階に区切られています。一覧にするとこうなります。
給付基礎日額年間の保険料算定基礎額(日額×365日)
25,000円9,125,000円
20,000円7,300,000円
16,000円5,840,000円
12,000円4,380,000円
8,000円2,920,000円
5,000円1,825,000円
3,500円1,277,500円
山田
意外と細かく刻めるんですね。金額が高いとどうなるんですか?
木村先生
シンプルに言うと給付基礎日額が高いほど、ケガをしたときの補償額も保険料も両方上がる関係になっています。ざっくり月収30万円くらいの社長さんなら日額10,000円あたりを選ぶ、というふうに実際の所得に近い水準で選ぶのが基本的な考え方ですね。
山田
高めに設定しておけばお得、みたいな話じゃないんですね(笑)。
木村先生
そうなんです、あくまで所得に見合った額というのが建前なので。極端に実態とかけ離れた高額設定は労働局の承認段階で調整が入ることもありますよ。じゃあ次は、実際に保険料がいくらになるのか、計算方法を見てみましょう。
給付基礎日額を選ぶときの目安
  • 実際の所得に近い水準を選ぶ: 目安として月収の30分の1程度が近い日額になる
  • 迷ったら低めから相談する: 承認後に日額を変更する手続きもあるため、まず事務組合に希望を伝えて相談するのが確実
  • 業種の保険料率と合わせて考える: 同じ日額でも業種によって保険料が変わるため、日額と保険料はセットで検討する

保険料はいくらになる?計算方法と業種別の目安

山田
さっきの表の「保険料算定基礎額」っていうのが、そのまま保険料になるわけじゃないんですよね?
木村先生
はい、そこからもう一段階計算します。保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365日)に、事業の種類ごとに決まっている保険料率を掛けて算出します。保険料率は事業によって数値がかなり違うので、同じ給付基礎日額でも業種によって金額差が出ますよ。
山田
なるほど、建設業とか事務所だと危険度が違うから料率も違うってことですね。ちなみに年度の途中で加入したらどうなるんですか?満額払うんですか?
木村先生
いえ、年度の途中で特別加入した場合は、加入した月数分だけを月割りで計算します。1ヵ月未満の端数がある月は1ヵ月として数えるので、たとえば月の途中の日付で加入しても、その月は1ヵ月分としてカウントされる形ですね。
山田
月初でも月末でも1ヵ月分扱いなら、加入するタイミングって特に急ぐ理由はないんですか?
木村先生
そこは逆で、早めに動いたほうがいい理由がちゃんとあります。特別加入は労働局長の承認があって初めて成立する制度なので、事故が起きてから慌てて申し込んでも間に合いません。
⚠️ 事故が起きてからでは加入できません

特別加入は、事故が発生したあとにさかのぼって加入することを防ぐ趣旨の制度です。申請書を提出した日の翌日から起算して30日以内の範囲で加入を希望する日を指定する仕組みになっているため、現場に出るタイミングが決まっている社長さんは、余裕を持って事務組合に相談しておく必要があります。

山田
「入っておけばよかった」が一番怖いパターンですね…!保険料の負担者は会社なんですか、それとも社長個人なんですか?
木村先生
特別加入者本人が保険料を負担するのが基本ですが、実務上は会社が労働保険料と合わせて事務組合に納付するケースが多いですね。細かい負担ルールは委託先の事務組合によって案内が違うので、契約時に確認しておくと安心ですよ。じゃあ、実際にどんな手順で申し込むのか、流れを整理しましょう。

加入手続きの流れ

中小事業主等の特別加入の申請から承認までの流れを示したイラスト

山田
このセクションで手続きの順番を教えてください。まず何から始めればいいんですか?
木村先生
全体の流れをステップごとに並べると、こんな感じになります。
手順
  1. 自社の労働者について、労災保険の保険関係が成立していることを確認する(すでに従業員を雇って労働保険に加入していれば完了)
  2. 労働保険の事務処理を委託する労働保険事務組合を探し、委託契約を結ぶ
  3. 事務組合を通じて「特別加入申請書(中小事業主等)」を作成し、給付基礎日額の希望額を記入する
  4. 申請書を所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出する
  5. 労働局長の承認を受けて、指定した希望日から特別加入者としての効力が発生する
申請・問い合わせ先

特別加入の相談・申請は、委託先の労働保険事務組合が窓口になります。事務組合が「特別加入申請書(中小事業主等)」を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出します。委託先がまだ決まっていない場合は、商工会議所や業界団体、または厚生労働省 労災保険への特別加入に掲載されている特別加入団体一覧から探せます。

山田
会社が直接、労働基準監督署に行って申請するわけじゃないんですね。
木村先生
そうなんです。申請書の提出自体は事務組合が窓口になって進めてくれるので、社長さんが自分で書類を持って役所を回る必要はありません。ただし申請内容の元になる情報、たとえば従業員数や希望する給付基礎日額は会社側で用意する必要があります。
山田
電子申請とかもできるんですか?紙で出すのって地味に手間ですよね。
木村先生
できますよ。e-Govの電子申請システムから「特別加入」と検索すると関連する手続きが見つかります。給付基礎日額を後から変更したい場合は「給付基礎日額」で検索する案内になっているので、覚えておくと便利ですね。
山田
一度承認されたら、あとはずっとそのままでいいんですか?
木村先生
基本的には継続しますが、給付基礎日額を見直したいときや、事業を廃止・縮小して条件を満たさなくなったときは変更届や脱退の手続きが必要になります。ここからは、加入したあとに気をつけておきたい実務上のポイントをお話ししますね。

特別加入で気をつけたいポイント

山田
手続きの流れは分かりました。加入したあとに注意しておくべきことってありますか?
木村先生
一番よく相談されるのが、補償される業務の範囲についてです。特別加入者はあくまで労働者に「準じて」保護される立場なので、社長本来の業務、たとえば株主総会や役員会への出席、経営判断だけを行っているような場面でのケガは対象にならないことがあります。
山田
えっ、社長ならなんでも補償されるわけじゃないんですね!意外です。
木村先生
そうなんです。現場作業や労働者と同じ内容の業務をしている最中のケガは対象になりますが、純粋な経営業務だけをしている事業主は対象外になる場合があるという整理です。実際にどこまでが業務災害と認められるかは個別の状況判断になるので、迷ったら委託先の事務組合か労働基準監督署に確認するのが確実ですね。
⚠️ 就業実態がないと特別加入自体が認められないことも

実際には現場に出ておらず、経営判断や会議出席のみを行っている事業主については、特別加入の対象として認められないケースがあります。複数の事業所を持つ会社で、片方の事業所には全く関わっていない役員なども同様です。加入を検討する段階で、委託先の事務組合に実際の業務内容を正確に伝えておきましょう。

山田
なるほど、名前だけ役員みたいな人は対象外になりうるってことですね。ほかに気をつけることはありますか?
木村先生
あとは労働者を1人も雇わなくなったら中小事業主等の特別加入は続けられないという点ですね。廃業や大幅な人員縮小で従業員がゼロになった場合は、脱退の手続きが必要になります。もし個人として仕事を続けるなら、一人親方等の特別加入への切り替えを検討することになります。
山田
状況が変わったらちゃんと届け出ないといけないんですね。ちょっと面倒だけど、社員と同じように守ってもらえるなら安心材料になります。ここまでの内容を一度、表で整理してもらえますか?
木村先生
いいですね、まとめておきましょう。

中小事業主等の特別加入 基本情報まとめ

項目内容
制度名労災保険の特別加入(中小事業主等・第1種特別加入)
対象規模金融業・保険業・不動産業・小売業は50人以下、卸売業・サービス業は100人以下、その他の業種は300人以下
加入の条件労働者の労災保険関係が成立していること/労働保険事務組合への事務委託
給付基礎日額3,500円〜25,000円の中から選択・申請
申請窓口労働保険事務組合を通じて所轄労働基準監督署長経由で労働局長に提出
管轄省庁厚生労働省
実施機関労働基準監督署
公式ページ厚生労働省 労災保険への特別加入
山田
こうやって一覧になると頭がすっきりします!うちみたいに社員のいる中小企業の社長には、まさにぴったりな制度だと分かりました。ほかの似たような制度と混同しないためにも、違いも押さえておきたいです。
木村先生
それは大事な視点です。労災保険や労働保険まわりには似た名前の制度がいくつもあるので、次はそのあたりを比較していきましょう。

似ている社会保険トピックとの違い

山田
「特別加入」で検索すると、一人親方向けの制度も出てくるんですよ!うちの社長のケースとは別物なんですよね?
木村先生
はい、別物です。フリーランス・一人親方の労災保険特別加入は、従業員を使わずに個人で働く人が対象の制度で、今回お話しした中小事業主等の特別加入とは加入要件も窓口も変わってきます。従業員を雇っているかどうかが最初の分かれ道ですね。
山田
従業員を雇う前提の話といえば、そもそも労働保険にまだ加入してない会社はどうすればいいんですか?
木村先生
そういう会社は、まず労働保険(雇用保険・労災保険)新規適用手続きから始める必要があります。今回の特別加入は、あくまで社員の労災保険がすでに成立していることが前提の制度なので、社員をまだ雇っていない、または労働保険未加入の会社はこちらが先ですね。
山田
保険料の話も出ましたけど、社員分の労働保険料の手続きとは別なんですか?
木村先生
社員分の保険料は労働保険料の年度更新という毎年6月から7月にかけての手続きで申告・納付します。特別加入者の保険料も、実務上はこの年度更新の中でまとめて計算されることが多いので、セットで押さえておくと理解が早いですよ。
山田
加入した後、実際にケガをしてしまったらどうすればいいんですか?
木村先生
そのときは労災保険の給付申請(療養給付・休業給付)の手続きに進みます。特別加入者もこの給付申請の対象になるので、加入して終わりではなく、いざというときの申請方法も頭の片隅に置いておいてくださいね。
山田
制度同士のつながりが見えてきました!最後に、みんなが疑問に思いそうなことをQ&A形式で聞いてもいいですか?
木村先生
もちろんです、よくある質問をまとめておきましょう。

よくある質問

山田
まず基本的なところから。特別加入の保険料って、会社の経費として落とせるんですか?
木村先生
一般的には法人の場合、労働保険料の一部として損金算入できる扱いになることが多いです。ただし個別の会計処理は顧問税理士さんに確認するのが確実ですね。
山田
役員が複数いる会社の場合、社長だけじゃなくて他の役員も特別加入できるんですか?
木村先生
はい、要件を満たせば代表者以外の役員も特別加入の対象になります。実際に業務執行を行っている役員かどうかがポイントになるので、名前だけの非常勤役員などは対象外になることがありますよ。
山田
家族経営の会社で、社長の奥さんが経理を手伝っている場合はどうですか?
木村先生
事業主の家族従事者も、労働者以外で事業に従事している人として特別加入の対象に含まれる場合があります。ただし実際に業務に従事している実態が必要なので、名義だけの場合は対象になりません。
山田
加入したあと、途中で辞めたくなったら脱退できますか?
木村先生
できます。年度の途中で脱退する場合は、脱退月の翌月以降の未経過分の保険料が調整される扱いになるのが一般的です。手続きは委託している事務組合を通じて行います。
山田
最後に、特別加入した場合の補償内容は、社員の労災保険と全く同じなんですか?
木村先生
基本的な給付の種類は同じですが、給付額の計算のもとになる給付基礎日額は、社員のように実際の賃金から自動計算されるわけではなく、申請して承認された金額が使われます。そこが社員の労災保険と一番違うところですね。

関連書類・参考リンク

山田
最後に、もっと詳しく知りたくなったときに見るべき公式の資料を教えてください。
木村先生
まず基本になるのが[厚生労働省 労災保険への特別加入](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu.html)のページです。申請書の様式や制度のしおり、特別加入団体の一覧までまとまっているので、事務組合を探すときにも役立ちますよ。
山田
制度の全体像を確認できるパンフレットみたいなのもありますか?
木村先生
はい、中小事業主等・一人親方等の特別加入について(厚生労働省パンフレット)というPDFがあって、2種類の特別加入の違いがコンパクトにまとまっています。今日話した内容の復習にちょうどいいと思います。
山田
ありがとうございます!さっそくうちの事務組合に、社長の特別加入について相談してみます。
木村先生
いいですね。社員の労災保険関係がすでに成立している会社なら、あとは事務組合とのやり取り次第でスムーズに進むはずです。給付基礎日額だけは社長さんの実際の所得に見合った金額をしっかり相談して決めてくださいね。

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