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本店移転・商号変更の社会保険手続き|名称/所在地変更届

日本年金機構公式案内 →

ぼくの会社、来月ついに本店を移転することになった。総務担当になってから初めての「登記が変わる」イベントで、正直どこから手を付ければいいのか全然わからない。役所への届出は登記変更だけかと思っていたら、社会保険の手続きも別に必要らしいと聞いて、今日は木村先生に教えてもらうことにした。

適用事業所名称/所在地変更(訂正)届とは

山田
先生、うちの会社が本店を移転するんですけど、社会保険の手続きって何か必要なんですか? 登記だけ変えればいいのかと思ってました。
木村先生
それだけだと不十分ですね。健康保険と厚生年金保険に入っている会社は、日本年金機構にも別途届出が必要になります。使う書式は「健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」という届出です。
山田
名前が長いですね(笑)。所在地が変わるとき専用の届け出ってことですか?
木村先生
そうです。実は所在地変更だけじゃなく、商号(会社名)変更のときも同じ届出を使います。日本年金機構の説明では、次の3パターンが対象になっています。
この届出が必要になる3つのケース
  • 同一の年金事務所の管轄地域内で所在地を変更する場合
  • 適用事業所の名称(商号)を変更する場合
  • 同一の年金事務所の管轄地域内で所在地および名称を変更する場合
山田
なるほど、本店移転だけじゃなくて、社名変更のときもこれを出すんですね。
木村先生
はい。提出期限は事実発生から5日以内と決められています。登記の変更日や社名変更の効力発生日から数えるので、うっかり後回しにしていると気づいたら期限が過ぎていた、というケースが結構あるんです。
山田
5日って、思ったより短いですね…! どこに出せばいいんですか?
木村先生
提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。方法は電子申請、郵送、窓口持参のどれでも大丈夫です。ただし、さっき話した「管轄地域内」というのがポイントで、これが変わると届出の中身がガラッと変わります。
山田
管轄地域内と管轄地域外で違うんですか? それは知らなかったです。
木村先生
そうなんです。次はそこを詳しく見ていきましょう。

管轄内と管轄外で何が変わるか

適用事業所の名称・所在地変更届 管轄内と管轄外の提出先の違いを示す図解

木村先生
まず前提として、日本年金機構の年金事務所にはそれぞれ管轄区域があります。今と同じ年金事務所の管轄内で移転するのか、別の年金事務所の管轄に移るのかで手続きが変わるんです。
山田
うちは同じ市内での移転なんですけど、これって管轄内になるんですか?
木村先生
多くの場合そうなりますが、市区町村単位ではなく年金事務所の管轄区域単位なので、念のため管轄の年金事務所に確認するのが確実ですね。管轄内の場合は提出先も宛先も特に変わらず、事務センターか今までの年金事務所に出せばOKです。
山田
じゃあ管轄外に引っ越すときは何が大変なんですか?
木村先生
管轄外への移転は、日本年金機構の説明で「適用事業所が、これまでの年金事務所が管轄する地域外へ所在地変更する場合」と定義されています。この場合、提出先は変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所です。移転先の年金事務所に出すわけじゃないので注意してください。
山田
え、移転先じゃなくて今までの年金事務所に出すんですか? ちょっと意外です。
木村先生
はい。ただし手続き後は自動的に引き継がれるので安心してください。日本年金機構も「変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ行いますが、変更後の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ引き継がれます」と案内していて、改めて移転先の年金事務所に出し直す必要はありません。
山田
それは助かります。管轄が変わると、いつから新しい年金事務所の管轄になるんですか?
木村先生
これも都道府県内か都道府県外かで変わります。同一都道府県内の移転なら「届出日の翌月1日より変更されます」。都道府県をまたぐ移転だと「届出日の翌月1日または翌々月1日より変更されます」となっていて、届書の受付日によって差が出ます。
山田
都道府県をまたぐと、他にも変わることってあるんですか?
木村先生
協会けんぽに入っている会社だと、健康保険料率が変わる可能性があります。協会けんぽの保険料率は都道府県ごとに決まっているので、他都道府県に移転すると料率が切り替わるんです。日本年金機構の説明では「他の都道府県に事業所が移転する場合、健康保険料率が変更になる場合があります」とされていて、届書に書いた事業開始年月日から新しい料率が適用され、すでに納めた保険料に過不足があれば管轄変更後の最初の納付で精算されます。
⚠️ 都道府県をまたぐ移転は資格確認書等の回収が必要

都道府県外への移転では、協会けんぽから交付されている資格確認書・高齢受給者証・特定疾病療養受療証・限度額適用認定証などの記号が変わります。そのため事業主は従業員から交付済みの資格確認書等を回収し、協会けんぽ支部へ返送する必要があります。同一都道府県内の所在地変更や名称変更だけの場合は記号が変わらないため返納は不要です。

山田
資格確認書まで関係してくるんですね…。名称だけ変えるときとか、同じ都道府県内での移転はそこまで気にしなくていいってことですか?
木村先生
そうです。管轄内での所在地変更や名称変更だけなら、資格確認書等の記載内容自体は変わらないので、そのまま使い続けられます。日本年金機構も「記載されている内容に変更がなく引き続き使用可能なため、返納不要」と案内しています。
山田
なるほど、管轄が変わるかどうかで手間がだいぶ違うんですね。じゃあ実際に出す書類って何が必要なんですか?

添付書類は法人と個人で違う

健康保険厚生年金保険適用事業所名称所在地変更届の添付書類チェックリスト、法人は登記簿謄本、個人所在地変更は住民票、個人名称変更は領収書

木村先生
添付書類は、法人事業所か個人事業所か、そして所在地変更か名称変更かで変わります。表にすると次のとおりです。
事業所区分変更内容必要な添付書類
法人事業所所在地変更・名称変更共通法人(商業)登記簿謄本のコピー
個人事業所所在地変更事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)
個人事業所名称変更公共料金の領収書のコピー等
山田
うちは法人なので、登記簿謄本を出せばいいんですね。何か古い謄本でもいいんですか?
木村先生
そこは注意が必要です。登記簿謄本のコピーと住民票のコピーは、提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものという決まりがあります。移転が決まってから慌てて古い謄本を引っ張り出しても使えないので、届出の直前に取り直すのがおすすめです。
山田
90日以内、覚えておきます。登記簿謄本ってどこで取ればいいんですか?
木村先生
登記事項証明書は法務局の窓口のほか、法務局のオンライン申請システムからも交付請求できます。窓口に行く時間がなければオンラインの方が早いですよ。
山田
あと、事業所の住所が登記上の住所と違う場合ってどうなるんですか? うちみたいにオフィスを借りてるケースです。
木村先生
その場合は賃貸借契約書のコピーなど、事業所の所在地が確認できる書類を追加で添付します。登記上の本店所在地と実際にオフィスがある場所が異なる会社は多いので、忘れずに用意してください。
山田
電子申請するときも同じ書類が必要なんですか?
木村先生
はい。電子申請の場合は、これらの添付書類をJPEG形式またはPDF形式の画像ファイルとして添付します。紙で出すより手間が少ないので、電子申請できる環境があるならそちらがおすすめですね。
山田
書類の準備はイメージできました。次は実際の手続きの流れを教えてもらえますか?

手続きの流れ

木村先生
では、本店移転や商号変更が決まってから届出を出すまでの流れをステップで見ていきましょう。
手順
  1. 事実発生日を確認する 登記簿上の本店移転日、または商号変更の効力発生日を確認します。この日から5日以内が提出期限になります。
  2. 管轄内か管轄外かを確認する 移転先が今と同じ年金事務所の管轄区域内かどうかを、年金事務所または年金機構のホームページで確認します。
  3. 添付書類を用意する 法人なら登記簿謄本、個人事業所なら住民票または公共料金の領収書を、提出日からさかのぼって90日以内のもので準備します。
  4. 届書に記入する 「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」の様式に、変更前後の名称・所在地、事業開始年月日などを記入します。
  5. 提出方法を選んで提出する 電子申請、郵送、窓口持参のいずれかで、管轄内なら事務センターまたは管轄の年金事務所、管轄外なら変更前の所在地を管轄する年金事務所に提出します。
  6. 他の届書と同時提出する場合は備考欄に記載する 電子申請でこの届出と同時に他の届書も提出する場合は、備考欄に「適用事業所名称/所在地変更届を同時に提出している」旨を入力します。
山田
ステップ6の「他の届書と同時提出」って、具体的にどういうときに使うんですか?
木村先生
たとえば移転と同時に賞与を支払っていて賞与支払届も出す、といったケースですね。同時に複数の届出を電子申請すると、システム側でどれとどれが紐づいているか分かりにくくなることがあるので、備考欄への記載が案内されています。
山田
郵送や窓口持参のときも同じように気をつけることってありますか?
木村先生
郵送や窓口持参でも考え方は同じです。同時に別の届出を出すなら、まとめて封筒に入れず、それぞれの届書に不備がないか個別に確認してから提出する方が、後から問い合わせが来にくいですよ。
山田
なるほど、細かいところまで気をつけないといけないんですね。もし5日過ぎちゃったらどうなるんですか?

提出が遅れるとどうなるか

木村先生
提出期限そのものに罰則規定が明記されているわけではありませんが、遅れるとトピックの概要にもあるとおり、被保険者の資格に関連する書類に不整合が起きるリスクがあります。
⚠️ 届出が遅れると起きること
  • 年金機構・協会けんぽ側の記録と、実際の会社名・所在地が一致しない状態が続く
  • 都道府県をまたぐ移転なのに資格確認書等の記号が古いままになり、医療機関の受診時に確認が必要になる場合がある
  • 標準報酬決定通知書や各種通知書の送付先が古い住所のままになり、重要書類が届かなくなる
  • 保険料率の切り替えが遅れ、変更後にまとめて精算が発生し経理処理が煩雑になる
山田
通知書が届かなくなるのは怖いですね…。移転が決まったら、なるべく早めに動いた方がいいってことですね。
木村先生
そうですね。登記の変更日が決まった時点で、5日というカウントダウンが始まると考えて、添付書類の準備だけでも先に進めておくのがおすすめです。
山田
ほかに実務で気をつけたほうがいいポイントってありますか?

実務上のポイント

移転前に社内でやっておくこと
  • 登記の変更予定日を早めに把握し、5日の起算日をカレンダーに登録しておく
  • 登記簿謄本は届出の直前(90日以内)に取り直す前提でスケジュールを組む
  • オフィスの賃貸借契約書など、登記上の住所と実際の所在地が異なる場合の追加書類を準備しておく
  • 都道府県をまたぐ移転なら、協会けんぽの保険料率が変わる前提で給与計算のスケジュールも見直しておく
従業員への周知でやっておくこと
  • 都道府県外への移転で資格確認書等の記号が変わる場合は、事前に従業員へ回収・返送の流れを説明しておく
  • 新しい所在地や年金事務所の管轄が変わることで、今後の通知書の送付先が変わる旨を共有しておく
  • 名称変更のみの場合は資格確認書等の返納が不要であることも合わせて伝え、余計な不安を与えないようにする
山田
社内周知まで含めてセットで考えるんですね。ちなみに、似たような名前の届出で間違えそうなものってありますか?

間違えやすい「事業所関係変更(訂正)届」との違い

木村先生
いい質問です。実は日本年金機構には、名前が似ている「事業所関係変更(訂正)届」という別の届出があります。こちらは所在地や名称の変更ではなく、もっと細かい事業所情報の変更を扱う届出です。
山田
同じ「事業所」がつく届出なのに中身が違うんですか? 混乱しそうです。
木村先生
対象になる変更内容を見ると違いがはっきりします。日本年金機構の案内では、事業所の連絡先電話番号の変更、事業主の変更、事業主の氏名の変更、昇給月や賞与支払予定月の変更、社会保険労務士への業務委託の開始・解除、会社法人等番号や法人番号の変更(訂正)など、合計14項目が対象として挙げられています。
山田
すごい数ですね…。うちが今回出そうとしている届出とは、はっきり別物なんですね。
木村先生
そうです。この事業所関係変更(訂正)届も提出時期は事実発生から5日以内(諸変更については、事実発生後、速やかに)で、提出先も事務センターまたは管轄の年金事務所と同じです。ただし対象になる変更内容がまったく違うので、混同すると出すべき届出を間違えてしまいます。
山田
具体的にどう使い分ければいいですか?
木村先生
シンプルに考えると、会社の「名前」や「住所」が変わるなら適用事業所名称/所在地変更(訂正)届、電話番号や事業主本人、法人番号などそれ以外の登録事項が変わるなら事業所関係変更(訂正)届という切り分けです。ただし1つだけ注意点があって、個人事業主の氏名が変わった場合は、事業所関係変更(訂正)届と合わせて、今回説明した適用事業所名称/所在地変更(訂正)届も一緒に提出する必要があります。日本年金機構も留意事項として「個人事業主の氏名の変更の場合は、この届書とあわせて『適用事業所名称/所在地変更(訂正)届』を提出してください」と案内しています。
山田
個人事業主の氏名変更だけは両方出す、と。うっかり片方だけ出して終わったつもりになりそうです。
木村先生
そうなんです。法人の商号変更は名称/所在地変更届だけで完結しますが、個人事業主の氏名変更は例外的に2枚セットになると覚えておくと安心です。
山田
覚えておきます。じゃあ次は、他の社会保険の手続きとの違いも整理してもらえますか?

類似する社会保険手続きとの比較

木村先生
適用事業所に関する届出はいくつかあるので、混同しないように整理しておきましょう。
届出使う場面参考
適用事業所名称/所在地変更(訂正)届本店移転・商号変更のときこのページで解説している届出
適用事業所設立届法人を新しく設立して初めて社会保険に加入するとき適用事業所設立届と新規適用手続き
特定適用事業所の該当・不該当届従業員数が要件を超えて短時間労働者も加入対象になる・外れるとき特定適用事業所の該当・不該当届
資格確認書の申請マイナ保険証を持たない従業員向けの証明書が必要なとき健康保険の資格確認書
山田
設立のときの届出とは別物なんですね。あと、電子申請ってどこでもできるものなんですか?
木村先生
e-Govを使った電子申請に対応しています。紙より早く処理されることが多いので、詳しい申請方法は別のページでまとめています。e-Gov電子申請で行う社会保険・労働保険手続きも参考にしてください。
山田
ありがとうございます、だいぶイメージがつかめました。最後に、よくある質問も教えてもらえますか?

よくある質問

山田
支店だけを移転する場合も、この届出が必要になるんですか?
木村先生
一括適用を受けていない支店で、その支店自体が独立した適用事業所になっている場合は、その支店を管轄する年金事務所への届出が必要です。本社が一括適用を受けている場合は取り扱いが変わるので、迷ったら管轄の年金事務所に確認してください。
山田
個人事業主が屋号だけを変えた場合も対象になりますか?
木村先生
はい、対象になります。個人事業所の名称(屋号)変更の場合は、登記簿謄本ではなく公共料金の領収書のコピーなど、屋号が確認できる書類を添付します。
山田
届出が管轄内か管轄外か、自分では判断がつかないときはどうすればいいですか?
木村先生
迷ったときは自己判断せず、現在の管轄の年金事務所か事務センターに事前に電話やオンラインサービスで確認するのが確実です。管轄をまたぐかどうかで提出先や添付書類の扱いが変わるので、確認してから届書を作成すると手戻りがありません。
山田
電話番号が変わっただけとか、事業主本人が交代しただけのときも、今回の届出を出すんですか?
木村先生
いいえ、それは今回説明した適用事業所名称/所在地変更(訂正)届ではなく、先ほど触れた事業所関係変更(訂正)届の対象です。名称・所在地以外の変更は基本的にそちらで届け出ると覚えておいてください。両方が同時に発生する場合は、それぞれの届出を両方とも提出する必要があります。
山田
電子申請で提出したあと、控えみたいなものはもらえるんですか?
木村先生
電子申請の場合は事業所向けオンラインサービス上で受付状況や処理結果を確認できます。郵送や窓口持参の場合も、必要であれば控えに収受印をもらえるか窓口で相談してみてください。

基本情報まとめ

項目内容
届出名称健康保険・厚生年金保険 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届
提出期限事実発生から5日以内
提出先(管轄内)事務センターまたは管轄の年金事務所
提出先(管轄外)変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所
提出方法電子申請、郵送、窓口持参
対象健康保険・厚生年金保険の適用事業所(企業規模を問わない)
管轄省庁・実施機関日本年金機構
公式ページhttps://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20120406.html
山田
表にまとまっていると分かりやすいです。うちも早速、登記の変更日を確認して準備を始めます。
木村先生
それがいいと思います。5日という期限は短く感じますが、添付書類さえ先に準備しておけば十分間に合いますよ。
山田
最後に、今回の話を振り返ってチェックしておくべきことをまとめてもらえますか?
木村先生
では簡単に振り返りましょう。まず、所在地変更か名称変更かにかかわらず提出期限は事実発生から5日以内です。次に、移転が同じ年金事務所の管轄内か管轄外かで、提出先や資格確認書等の扱いが変わります。そして添付書類は法人か個人か、90日以内発行かどうかを必ず確認してください。この3点を押さえておけば、慌てずに手続きを進められるはずです。
山田
ありがとうございます! 移転が決まったら、まず登記の予定日を確認して、90日ルールを意識しながら登記簿謄本を準備するところから始めます。

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