給付・手当
遺族基礎・遺族厚生年金:従業員死亡時の会社手続きと給付解説
厚生労働省公式案内 →
会社が知っておくべき「遺族年金」の全体像
山田
木村先生、従業員が亡くなったとき、会社としてまず何をしなきゃいけないんですか?葬儀の対応とは別に、社会保険の手続きがあるって聞いて、ちょっと焦っています。
木村先生
そうですね、まず最優先でやるべきことは「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届」の提出です。事実発生(死亡日)から5日以内が提出期限なので、葬儀の準備と並行して動かなければいけません。
山田
えっ、5日以内!そんなに早いんですか。
木村先生
厳しいですよね。ただ、この届出は年金事務所か事務センターに電子申請・郵送・窓口持参のいずれかで出せます。資格喪失日は死亡日の翌日になります。死亡日が退職日扱いになるので、翌日が喪失日というルールです。
山田
提出先はどこですか?協会けんぽと健康保険組合で違うと聞いたんですが。
木村先生
協会けんぽ加入の会社なら、年金機構の事務センターか管轄の年金事務所だけに出せばOKです。健康保険組合に加入している場合は、健康保険組合には別途健康保険の喪失届を出す必要があるので、2か所への提出になります。なお、資格確認書(健康保険証の代わりのもの)が手元にあれば、回収して一緒に提出してください。
山田
わかりました。その資格喪失届って、詳しくはどこかに記事がありますか?
木村先生
ありますよ。被保険者資格喪失届の手続き詳細で退職時・死亡時の届出フローを詳しく解説しています。今日は遺族への給付のほうに進みましょう。
山田
そうですね。遺族年金ってよく聞くんですけど、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」って別物なんですか?
木村先生
別物です。日本の公的年金は2階建て構造になっていて、1階が国民年金(遺族基礎年金)、2階が厚生年金(遺族厚生年金)です。会社員が亡くなった場合、両方が重なって支給される可能性があります。

山田
なるほど、2階建てってことは、会社員の遺族は有利なんですね。
木村先生
そうです。厚生年金に加入していた会社員が亡くなった場合、遺族は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる可能性があります。ただし、受給要件はそれぞれ違うので、一つ一つ確認しましょう。
遺族基礎年金:子がいる遺族への基礎的な給付
山田
まず遺族基礎年金から教えてください。誰がもらえるんですか?
木村先生
遺族基礎年金の対象者は「子のある配偶者」または「子」だけです。ここが意外と知られていないポイントで、子どもがいない配偶者は遺族基礎年金を受け取れません。
山田
えっ、子どもがいないともらえないんですか!それは驚きました。
木村先生
よく誤解されるんですよね。ここでいう「子」の定義は、18歳到達年度の3月31日まで、または20歳未満で障害等級1〜2級の方です。高校を卒業するくらいの年齢が目安です。
山田
受給要件はどうなっていますか?
木村先生
亡くなった方について、次の3つのうちどれかに当てはまることが必要です。1つ目は国民年金の被保険者期間中に死亡したこと。2つ目は60〜65歳の元加入者で日本国内に住所があって死亡したこと。3つ目は老齢基礎年金の受給資格を満たしていた方が死亡したことです。
山田
それに加えて保険料の支払い状況も関係するんでしょうか。
木村先生
はい、重要です。死亡日の前日において、保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上であることが原則です。ただし特例があって、死亡日が令和18年(2036年)3月末までであれば、65歳未満の場合は「直近1年間の保険料未納がない」ことで要件を満たせます。
山田
じゃあ、直近1年間きちんと払っていればOKということですか?
木村先生
そうです。保険料を長期間払い続けてきたか不安な方でも、直近1年間に未納がなければ遺族基礎年金を請求できる可能性があります。この特例は令和18年3月末までの時限措置なので、忘れずに確認してください。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 子のある配偶者または子(18歳年度末まで・障害等級1〜2級なら20歳未満) |
| 支給要件 | 国民年金加入中の死亡 / 60〜65歳元加入者の死亡 / 老齢基礎年金受給資格者の死亡 |
| 保険料要件 | 加入期間の3分の2以上納付済み(特例:直近1年間未納なし) |
| 子のない配偶者 | 受給不可(遺族基礎年金は対象外) |
山田
年金額はどのくらいになりますか?
木村先生
令和8年4月分からの金額で説明します。配偶者が受け取る場合は基本額847,300円に子の加算が上乗せされます。第1子・第2子はそれぞれ243,800円、第3子以降は81,300円の加算です。子が受け取る場合は、この847,300円を子の数で割った額が1人分の基本額になります。
山田
年額847,300円ということは、月額だとざっくり7万円くらいですね。
木村先生
そうです。お子さんが2人いれば847,300円+243,800円×2人=1,334,900円が年額になります。月にすると約11万円です。これに遺族厚生年金が上乗せされるので、会社員の遺族は手厚い保障を受けられます。
山田
なるほど、子の人数によって大きく変わるんですね。じゃあ次に遺族厚生年金を教えてください。
遺族厚生年金:会社員の遺族が受け取れる上乗せ給付
木村先生
遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入していた会社員が亡くなったときの給付です。遺族基礎年金より対象者が広いのが特徴です。
山田
どのくらい広いんですか?
木村先生
遺族厚生年金の受給対象者は優先順位順に、1位が子のある配偶者、2位が子(18歳年度末まで)、3位が子のない配偶者、4位が父母(55歳以上)、5位が孫、6位が祖父母(55歳以上)です。子のない配偶者でも受け取れるのが遺族基礎年金との大きな違いです。
山田
ほんとに?子がいなくてももらえるんですか!
木村先生
もらえます。ただし父母・孫・祖父母は55歳以上が条件で、実際に受け取れるのは60歳になってからという制限があります。
山田
受給要件はどうなっていますか?
木村先生
4つの場合があります。1つ目は厚生年金保険の被保険者期間中に死亡したとき。2つ目は被保険者期間中に初診日がある病気やけがが原因で、初診日から5年以内に死亡したとき。3つ目は障害厚生年金の1級・2級の受給者が死亡したとき。4つ目は老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したときです。
山田
「被保険者期間中に死亡」ということは、在職中に亡くなった従業員の遺族は確実に対象ですね。
木村先生
そのとおりです。保険料納付要件は遺族基礎年金と同じで、加入期間の3分の2以上納付済み、または令和18年3月末までは直近1年間未納なしという特例があります。

山田
年金額はどう計算するんですか?
木村先生
亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が遺族厚生年金の基本額です。具体的な計算式は「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数 × 3/4」です。
山田
加入月数が少ない人はどうなりますか?入社2年目の若い社員が亡くなった場合とか。
木村先生
そこは手厚い救済措置があります。厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月として計算します。入社直後でも25年分で計算してくれるので、若い方の遺族でもある程度の給付が受けられます。
山田
それは大事な情報ですね。あと「中高齢寡婦加算」というのも聞いたことがあるんですが、何ですか?
木村先生
40歳から65歳未満の子のない妻(遺族基礎年金が受け取れない状況の妻)に、年額635,500円(令和8年度)が上乗せされる制度です。子どもが18歳年度末を過ぎて遺族基礎年金が終わったタイミングから65歳まで加算されます。
山田
セーフティネットが重なっているんですね。じゃあ、遺族基礎年金と遺族厚生年金をまとめて整理してもらえますか?
| 比較項目 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 子のある配偶者・子 | 配偶者(子なし可)・子・父母等 |
| 加入保険 | 国民年金 | 厚生年金(会社員) |
| 支給額の目安 | 847,300円+子の加算(年額) | 報酬比例部分の4分の3(年額) |
| 特徴 | 子がいないともらえない | 子がいなくてももらえる |
| 加算制度 | 子の加算 | 中高齢寡婦加算(635,500円) |
木村先生
会社員が亡くなった場合は、子がいれば遺族基礎年金+遺族厚生年金の両方が受け取れます。子がいなくても遺族厚生年金は受け取れます。手続きの面でも、遺族の方が戸惑わないように会社側から情報提供できるといいですね。
会社がやるべき手続きの具体的な流れ
山田
会社として、従業員が亡くなったあとの手続きをステップで教えてもらえますか?
木村先生
はい、大きく2つのフェーズに分かれます。まず会社として行う社会保険の手続き、そして遺族の方が自分で行う年金請求手続きです。会社は前者を担当し、後者についても遺族をサポートする姿勢が大切です。
手順
-
死亡日当日〜翌日: 死亡の事実を確認し、必要書類(死亡診断書のコピー等)を取得
-
死亡日から5日以内: 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届を年金事務所または事務センターに提出(資格喪失日 = 死亡日の翌日)
-
同時進行: 協会けんぽ以外の健康保険組合に加入している場合は、組合にも別途喪失届を提出
-
資格確認書等の回収: 交付済みの資格確認書・限度額適用認定証等があれば回収して提出(紛失の場合は回収不能届を添付)
-
遺族への情報提供: 遺族基礎年金・遺族厚生年金・未支給年金の請求手続きについて、年金事務所への相談を案内する
-
給与・賞与の精算: 死亡日を退職日とみなして最終給与の計算・支払いを行う
-
雇用保険の手続き: 雇用保険被保険者資格喪失届を死亡日の翌日から10日以内にハローワークへ提出
山田
5日以内って本当に短いですね。葬儀の最中でもやらなきゃいけないということか。
木村先生
そうなんです。だからこそ、あらかじめ手順を把握しておくことが大切です。電子申請なら24時間対応なので、ぎりぎりでも対応しやすいですよ。
⚠️ 5日ルールを守れなかった場合
- 提出期限の5日を過ぎても、速やかに提出することで受け付けてもらえるケースがほとんどです
- ただし、健康保険の資格が正式に喪失されないと、遺族が保険証を使い続けてしまうリスクがあります
- 特に遺族が大病院受診中などの場合は影響が大きいため、5日以内の提出を徹底してください
山田
雇用保険の手続きも10日以内なんですか。社会保険と雇用保険で期限が違うんですね。
木村先生
そうです。社会保険(健康保険・厚生年金)は5日以内、雇用保険は10日以内です。雇用保険は被保険者資格喪失届をハローワークへ提出します。雇用保険の資格喪失届の詳細手続きも参考にしてください。
山田
わかりました。では遺族の方が請求する手続きはどうなっていますか?
遺族が自分で行う年金請求手続き
木村先生
遺族の方が行う手続きには、大きく「遺族年金の請求」と「未支給年金の請求」があります。この2つはセットで考えてください。
山田
未支給年金ってなんですか?
木村先生
亡くなった方がまだ受け取っていなかった年金のことです。年金は2か月ごとに後払いで支給されるので、亡くなった月までの分がまだ受け取れていない状態になります。これを生計を同じくしていた遺族が請求できます。請求期限は死亡日から5年以内です。
山田
年金を受け取っていた方が亡くなった場合は、年金受給権者死亡届も出すんですか?
木村先生
はい。年金を受け取っていた方が亡くなった場合は、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は14日以内に年金受給権者死亡届を年金事務所へ提出する必要があります。未支給年金の請求と同時に行えます。
山田
遺族厚生年金の請求に必要な書類を教えてください。
木村先生
主な必要書類は次のとおりです。
遺族厚生年金の請求に必要な書類
- 年金請求書(様式第105号): 最寄りの年金事務所または日本年金機構ウェブサイトから取得
- 戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し: 死亡者と請求者の関係を証明
- 世帯全員の住民票の写し
- 死亡者の住民票の除票
- 請求者の収入確認書類: 直近の源泉徴収票や課税証明書等
- 子がいる場合: 子の収入確認書類
- 死亡診断書のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
- 受取先金融機関の通帳等
山田
マイナンバーがあれば戸籍謄本とか省略できますか?
木村先生
条件付きで省略できることがあります。マイナンバーを年金請求書に記載することで、戸籍謄本や住民票の添付を省略できるケースがあります。ただし事務所によって対応が異なるので、事前に年金事務所に確認してください。
山田
提出先はどこですか?
木村先生
最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターです。郵送でも受け付けています。受付時間外は事前予約を推奨します。窓口は混み合うことが多いので、電話で予約してから行くと効率的です。
山田
請求には時効があるんですか?
木村先生
遺族厚生年金の受給権は時効で消滅しますが、受給資格があれば最大5年分遡って受け取れます。ただし、早めに請求するほうが安心です。
国民年金第1号被保険者独自の給付:死亡一時金と寡婦年金
山田
遺族基礎年金と遺族厚生年金以外にも、死亡に関連した給付があると聞きました。
木村先生
国民年金の第1号被保険者(自営業者等)専用の給付として、「死亡一時金」と「寡婦年金」があります。
山田
どういう場合に対象になりますか?
木村先生
第1号被保険者(自営業者等)が亡くなった場合で、遺族基礎年金が受け取れないときに対象になります。つまり子どもがいない場合です。
| 給付名 | 対象者 | 内容 |
|---|---|---|
| 死亡一時金 | 保険料を36か月以上納付した第1号被保険者が死亡し、遺族基礎年金も寡婦年金も受け取れない場合 | 保険料納付月数に応じた一時金(12〜32万円程度) |
| 寡婦年金 | 第1号加入期間が10年以上の夫が死亡し、婚姻10年以上の妻(60〜65歳)に支給 | 夫の老齢基礎年金額の4分の3(60〜65歳の5年間) |
山田
これらは会社員(厚生年金加入者)には関係ないですか?
木村先生
そうです。会社員は第2号被保険者なので、死亡一時金と寡婦年金は対象外です。ただし、過去に自営業をしていた期間がある場合は、その期間分について対象になる可能性があります。
⚠️ 死亡一時金と寡婦年金の注意点
- 死亡一時金と寡婦年金はどちらかしか選べません(同時受給は不可)
- 遺族基礎年金が受給できる場合は、どちらも受け取れません
- 請求期限は、死亡一時金が死亡日の翌日から2年以内(短いので要注意)
山田
死亡一時金は2年以内なんですね。遺族年金の5年より短い!
木村先生
そうです。気づかないまま2年が過ぎてしまうと請求できなくなります。会社員でも配偶者が自営業だった期間がある方などは、一度年金事務所で確認するといいでしょう。
2028年改正:遺族厚生年金が大きく変わる
山田
最近、遺族厚生年金の制度が変わるって聞いたんですが、どういう内容ですか?
木村先生
厚生労働省が2028年4月の施行を予定している見直しがあります。主な変更点は「子のない遺族への有期給付化」です。
山田
有期給付化ってどういうことですか?
木村先生
現在は子のない配偶者でも終身(一生涯)受け取れる遺族厚生年金が、特定の条件の方については5年間の有期給付に変更されます。
山田
どういう人が影響を受けるんですか?
木村先生
影響を受けるのは「18歳年度末までの子がいない方」のうち、女性は2028年度末時点で40歳未満の方、男性は60歳未満の方が新たに有期給付対象となります。
| 対象区分 | 影響の内容 |
|---|---|
| 既に受給中の方 | 現行制度のまま変わらない |
| 2028年度に40歳以上の女性 | 現行制度のまま変わらない |
| 60歳以降に受給権が発生する方 | 変わらない |
| 18歳以下の子を養育中の方 | 遺族基礎年金があるため影響なし |
| 2028年度末時点で40歳未満の女性(子なし) | 新たに5年間の有期給付対象 |
| 60歳未満の男性(子なし) | 新たに5年間の有期給付対象 |
山田
有期給付になると不利になるんですか?
木村先生
単純に不利とは言い切れません。有期給付には「有期給付加算」が上乗せされ、現在の約1.3倍の給付額になります。また5年終了後でも、障害状態にある方や月額約10万円以下の就労収入の単身者は継続して受給できる仕組みが設けられます。
山田
なるほど、加算があるんですね。ただ制度が変わるということは、これから結婚する方や若い社員の遺族にとっては大事な情報ですね。
木村先生
そのとおりです。民間の生命保険や遺族保障の見直しを考える際に、この公的給付の変化を踏まえて検討することが重要になります。
遺族年金・関連手続きの基本情報まとめ
山田
今日話してもらった内容を一覧でまとめてもらえますか?
木村先生
まとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 遺族基礎年金・遺族厚生年金 |
| 管轄省庁 | 厚生労働省 |
| 実施機関 | 日本年金機構 |
| 会社の手続き期限 | 被保険者資格喪失届:死亡日から5日以内 |
| 遺族の請求期限(年金) | 原則5年以内(受給権発生日から) |
| 遺族の請求期限(未支給年金) | 死亡日から5年以内 |
| 遺族基礎年金の年金額 | 847,300円+子の加算(令和8年度) |
| 子の加算額 | 第1子・2子:各243,800円、第3子以降:各81,300円 |
| 遺族厚生年金の年金額 | 報酬比例部分の4分の3(300月未満は300月計算) |
| 中高齢寡婦加算 | 635,500円(令和8年度、40〜65歳の子のない妻) |
| 2028年改正 | 子のない若い遺族への有期給付化(5年)+有期給付加算 |
| 公式窓口 | 最寄りの年金事務所・街角の年金相談センター |
会社担当者がおさえるべき3つのポイント
- 5日以内の資格喪失届: 健康保険・厚生年金の被保険者資格喪失届は死亡から5日以内に年金事務所へ
- 遺族への情報提供が重要: 遺族年金・未支給年金の請求手続きを遺族に案内することが会社の重要な役割
- 協会けんぽ vs 健康保険組合: 加入保険によって提出先が異なる(組合加入は2か所)
よくある疑問
山田
最後に、よくある疑問をいくつか聞かせてください。入社したばかりの社員が亡くなった場合でも、遺族厚生年金はもらえますか?
木村先生
もらえます。厚生年金の加入月数が300月(25年)未満でも、300月として計算してくれます。入社1か月で亡くなった場合でも、保険料納付要件を満たしていれば遺族厚生年金が支給されます。
山田
ほんとに!それは知らなかったです。じゃあ、共働き夫婦の場合、妻が自分の厚生年金を受け取りながら遺族厚生年金ももらえますか?
木村先生
自分の老齢厚生年金と遺族厚生年金の両方には同時に受け取れません。65歳以降は調整があって、原則として「自分の老齢厚生年金を優先的に受け取り、遺族厚生年金のほうが高い場合はその差額分が支給」という形になります。詳しくは在職老齢年金との関係も参考にしてください。
山田
なるほど。最後に、遺族年金を請求しないまま亡くなってしまった場合はどうなりますか?
木村先生
遺族年金自体は本人しか請求できないので、請求しないままでは受け取れません。ただし受給権が発生してから5年以内であれば遡及請求が可能です。気づいたときに早めに年金事務所へ相談してください。
山田
遺族の方は悲しみの中での手続きになるから、5年という期限を知っておくのは大事ですね。
木村先生
そうです。会社として、退職証明書や標準報酬月額の情報を提供することも、遺族の請求手続きを助ける大切なサポートになります。標準報酬月額の仕組みも理解しておくと、遺族からの問い合わせにも答えやすくなりますよ。
山田
今日は遺族年金の全体像から会社の手続き、遺族の請求方法まで教えてもらって、かなり整理できました。遺族の方をしっかりサポートできるように、会社として手順を整備しておこうと思います。
木村先生
従業員が亡くなったとき、遺族の方は精神的に大変な状況です。会社として「次はこれをしてください」と一歩一歩案内できると、遺族の方の大きな助けになります。関連する手続きとして、標準報酬月額の仕組みや傷病手当金も合わせて確認しておくと、従業員やその家族に対する手厚いサポートができますよ。